通貨スワップ「ドルの補給路」…ＫＯＳＰＩと為替レートの安定を図る
韓米通貨スワップ(対等交換)協定締結の知らせにより、国内の金融市場は急速に安定を取り戻した。専門家は一次的な市場の安全弁が用意されはしたが、国際資金市場のドル逼迫は解決しておらず、不安要因は残っていると見ている。
20日のソウル外国為替市場でウォン・ドル為替レートは39.2ウォン(3.05％)急落(韓国ウォンの価値急騰)して1246.5ウォンで取引を終えた。2008年10月の韓米通貨スワップ締結当時の韓国ウォンの価格上昇幅(12.4％)には遠く及ばない数値だ。KOSPIも108.51(7.44％)急騰したが、外国人の売り傾向は止まっていない。この日の外国人はKOSPI市場で5846億ウォン(約520億円)の株式を売り越した。
韓国銀行のイ・ジュヨル総裁はこの日の出勤途中に記者らと会い、「韓米通貨スワップ契約書が作成されれば、直ちにドル資金を市場に供給する予定」と明らかにした。イ総裁は契約期間延長の可能性に対しては「6カ月間の市場状況を見なければならないだろう」として「2008年の際も契約が1年3カ月ほど継続した」と語った。彼は続けて「米国は基軸通貨国としてドル資金不足現象を緩和すべきとの判断があり、韓国としてもドル資金供給が極めて必要な状況だった」と締結の背景を説明した。通貨スワップは別にしても国内の外貨準備高は適正水準であるとイ総裁は強調した。
前日、韓国銀行と米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、600億ドル(約6兆7000億円)相当の両者間の通貨スワップ契約を締結することにしたと明らかにした。期間は最短6カ月(2020年9月19日)だ。通貨スワップとは、自国通貨を相手の中央銀行に預けてマイナス通帳(銀行が認めた金額の範囲内でその銀行の口座を通じて資金を自由に借りて使用できるローン)のようにいつでも外貨を交換できる制度だ。米国から必要であればいつでもドルを借りることができるようになったのだ。
ホン・ナムギ副総理兼企画財政部長官はこの日、外信との記者会見で「韓米通貨スワップ契約は外国為替市場の安定性に大きく寄与をすると考えられる」とし、「ただし、市場というのは生きて動くものであるから今後も変動性は不可避であるが、今のように過度な幅での動きはしないと見ている」と語った。彼は続いて「企業の外国為替需要を充当する助けとするために、いくつかの基金を活用する案もあり得るだろう」と付け加えた。大信証券のコン・ドンラク研究員も「現在世界第9位の外貨準備高(4092億ドル、約45兆円)に今回の通貨スワップの影響で、ウォン・ドル為替レートは速やかに1220ウォン台で下方安定するだろう」と予想した。
しかし、韓米通貨スワップで状況を楽観視するのは早いとの見通しも多い。「ドル供給パイプライン」を確保したことになり、短期的には為替レートの安定に役立つだろうが、国際金融市場の状況による変動性は変わっていない。外国為替市場の不安は国内の要因よりは世界全般に広がったドル流動性枯渇から始まったため、より一層そうなる。「ブルームバーグ」は「ドル不足があまりにも深刻でドルの経路を変えようとするいかなる努力も無気力になり得る」と伝えた。ただし、FRBがドル通貨のスワップラインを韓国など9カ国の中央銀行に拡大してドル上昇の勢いは停滞している。また、米国の資金市場の信用危機に対する具体的な対応策が準備されると、為替レートの上昇圧力の頻度が高まることが起こり得る。韓米通貨スワップが初めて締結された2008年10月30日にも為替レートは1427ウォンから1250ウォンに急落したが、効果は数日しか続くことができなかった。10日余りが過ぎた11月中旬にはドル強勢と金融市場の不安が続いて為替レートは繰り返し急騰した。翌年2月、米政府の不良資産救済プログラムが具体化した後にドル強気が落ち着くことができた。結局、今回の危機の根本原因である新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)の勢いが弱まってこそ、国内の金融市場も安定を取り戻すことができると考えられる。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの日、自身のフェイスブックに書き込んだ投稿で韓米通貨スワップ締結について「嬉しい知らせ」として「国内の外国為替市場の安定化に大きな助けとなるだろう」と記した。文大統領はこの日、「通貨当局と財政当局の協力により成立した今回の成果に、国民が心強さを感じるだろう」として「国際協力を主導した韓国銀行、またこれを積極的に支援して国内協力に乗り出した企画財政部を激励する。非常時の経済の中央災害安全対策本部の使命感が成し遂げて実を結んだ」と評価した。
訳M.S