検察高官人事の過程であらわになった法務部と最高検察庁の対立について、政府と与党がユン・ソクヨル検察総長を狙って連日強い批判を浴びせている。党と政府のこのような動きについて、政界では「これ以上、一線を越えるな」と検察に送る公開警告であるとの分析が優勢だが、チュ・ミエ法務部長官が前日、参謀に「懲戒関連法令を探しておくように」と指示した状況が10日に確認され、実際にユン総長の監察・懲戒を念頭に置いた布石ではないかとの見方も出ている。
■「このまま見過ごせることではない」…懲戒手順?
共に民主党のイ・ヘチャン代表は10日朝、国会で開かれた党最高委員会議で「検察人事の過程で発生した検察の抗命は、このまま見過ごせることではないようだ」とユン総長に向けて述べた。イ代表は「検察庁は法務部の外部庁舎だ。検察庁は今回のことを機に検察本来の姿に戻れるよう反省しなければならない」と強調した。前日、李洛淵(イ・ナギョン)首相が「法務部長官は今回のことで必要な対応を検討して実行せよ」と指示したことと同じ文脈だ。
法務部監察規定5条2項を見ると、法務部は検察総長に対する監察を直接遂行できることになっている。この日、あるメディアには前日夜にチュ・ミエ長官が国会本会議場でチョ・ドゥヒョン法務部長官政策補佐官に「指揮監督権限の適切な行使のために、懲戒関連法令を探しておいてほしい」とのショートメッセージを送る写真が報道されもした。
■警告・世論喚起「多目的カード」
与党からも、党と政府の強硬発言はユン総長に対する監察や懲戒を促すというより、今回の人事に対する検察組織の抵抗を圧するために出した警告メッセージに近いという見解が多数だ。懲戒の可能性をほのめかして検察の反発を抑えようとする手法と見なければならないという話だ。民主党指導部のある議員は「検察総長の任期が決まっているのに党から辞任を要求することはできない」とし、「警告性の発言と見なければならない」と語った。
動揺する与党支持層まで狙った「多目的カード」という分析もある。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の核心支持者ではない進歩層と中道層の一部から、今回の検察人事が「生きている権力」に対する捜査を無力化するための「検察の力の除去」ではないかとの意見が台頭すると、直ちに「人事対立の責任はユン・ソクヨルにある」という点を浮き彫りにするために与党と政府が調整された発言をしているという話だ。実際、「4+1協議体」で検察改革案処理に協力してきた代案新党と民主平和党も、検察人事の直後に「大統領府と権力の『検察を飼い慣らす』という意図が介入したとしたら大きな問題だ」との趣旨の論評を出したりした。
■検察の一部「懲戒の時には対応せねば」
法務部はユン総長の監察・懲戒に関連して「いかなる具体的な方針も決まっていない」と言葉を控えながらも、その可能性を封じてはいない。法務部はこの日「李首相の指示の話を検討して今後の立場を決める予定」とだけ述べた。
検察は法務部が実際に懲戒の手続きに取り掛かる可能性は低いと考えている。しかし一部では「懲戒の可能性まで念頭に置いて対策を講じなければならないのではないか」という雰囲気も感知される。ある最高検察庁関係者は「長官が懲戒規定を探してみるように国会からショートメッセージを送ったのは、ユン総長を始めとする検察に『監察や懲戒ができる』という信号を公開して送ったということ」とし、「実際に懲戒などが推進されたら、検察も最近法務部との人事の過程であった事を公開するなど、対応に乗り出すしかない」と語った。
一方、自由韓国党議員30人余りはこの日の午前、大統領府前で検察人事を糾弾する記者会見を開いた後、午後にはユ・サンギュ法制司法委員長とカン・ヒョサン、イ・ウンジェ、チョン・ガビュン、チョン・ユソプなど法制司法委員会所属の議員らが集団で果川(クァチョン)の法務部庁舎を抗議訪問した。