「労働新聞」が元旦に公開した北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会第7期第5回全員会議の記念写真を詳しく見てみると、いくつか注意すべきポイントがある。「人事が万事」という言葉があるように、写真に写っているか写っていない“人物”を通じて、北朝鮮の状況が窺える。
■「対米ライン・ツートップ」のリ・スヨン、リ・ヨンホが見当たらず
団体写真には、代表的な「対米ライン」として、2018~2019年二度の朝米首脳会談で金正恩委員長に随行したリ・スヨン労働党国際部部長とリ・ヨンホ外務相の姿が見当たらない。4日間開かれた今回の全員会議で、金委員長と共に主席団第2列に座っていたが、新指導部を集めた団体写真からは外された。
朝米関係が膠着局面が続いている状況で、「対米ライン」が交代された可能性も排除できないが、断定するにはまだ早い。リ・ヨンホ外務相が辞任したなら、同日新外務相が発表されるはずだったが、幹部人事で「外務省」が抜けているだけに、もう少し見守る必要がある。ただし、ある政府筋は「まだ確定するのは難しいが、召喚された可能性も重視している」と述べた。リ・スヨン国際部長は今年80歳と高齢で、“問責更迭”ではなく、今回新たに部長に選出されたキム・ヒョンジュン元駐ロシア大使と交代したのではないかというのが、大方の予想だ。
主席団第1列に座っていたパク・グァンホ労働党宣伝扇動部部長や第2列だったキム・ピョンヘ幹部部長(79)、アン・ジョンス軽工業部部長(72)、テ・ジョンス軍需工業部部長(84)、ノ・ドゥチョル内閣副首相(70)などが団体写真に写っていない点も注目される。韓国政府当局と専門家らは、彼らが70~80代の高齢であることから、一種の「世代交代」レベルでそれぞれ政治局委員や政務局副委員長、専門部署長などから召喚・解任された可能性に重きを置いている。
■256人のうち女性は9人
全員会議での団体写真の中256人のうち女性はたった9人だ。このうち7人の名前と肩書を確認することができるが、特に、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の後ろの第4列に並んで立っている女性4人が目を引く。北朝鮮情報ポータルと専門家を通じて検討した結果、彼女らはリ・ガンソン日用品工業相やチャン・チュンシル朝鮮社会主義女性同盟(女盟)中央委員会委員長、リ・ヘジョン社会科学院長、オ・チュンボク保健相であることが分かった。政治分野で男女平等とは程遠い北朝鮮だが、彼女らは比較的主要分野を任されている。日用品工業省は各種の生活用品の生産を担当するが、金正恩時代に入ってから、北朝鮮が生活用品の国産化に拍車をかけており、注目される省庁だ。「女盟」は党外郭社会団体の一つで、金日成(キム・イルソン)主席の配偶者であるキム・ソンエが女盟委員長を務めたことがある。社会科学院は社会主義国家を政治・思想的に支える主要研究機関だ。保健省は韓国の保健福祉部にあたるが、「保健」は金委員長が今回の全員会議で直接強調した分野だ。
団体写真には、金委員長の実妹の金与正(キム・ヨジョン)宣伝扇動部第1副部長も見える。金副部長は今回の全員会議で、事実上の序列1位の部署である組職指導部第1副部長に就任したという見通しもある。党籍指導や人事権を持つ組織指導部の方が宣伝扇動部より影響力が大きく、実際に異動したとすれば、昇進と言える。その他にチェ・ソンヒ外務省第1次官とヒョン・ソンウォル党中央委員兼三池淵(サムジヨン)管弦楽団団長(宣伝煽動部副部長と推定される)も団体写真の中で存在感を示している。
専門家らは、全員会議3日目までに姿を現さなかったパク・ボンジュ党副委員長が最後の日の記念写真撮影に車椅子に乗って登場したのには、特別な意味があると指摘した。統一研究院北朝鮮研究室は2日、分析資料を発表し、「車椅子に乗ったパク・ボンジュ党副委員長が最後の記念写真撮影に参加したのは、党と国を率いる最高エリート集団の共同決定、一体化された姿を演出するためと見ることができる」と分析した。