韓米が2日、「韓国の新南方政策と米国のインド太平洋戦略の協力」を進展させる様々な分野の協力の動向を整理した「共同説明書」(Joint Fact Sheet)を作成し、公開した。外交部と米国務省が公開した「共同説明書」によると、「繁栄」(エネルギーやインフラ、開発金融、デジタル経済など)、「人」(グッド・ガバナンスと市民社会)、「平和」(メコン地域の水管理、太平洋島国の気候変化への対応など協力)という3つの大きな範囲に分け、多様な分野の協力を包括している。ただし、軍事分野を含む伝統的意味の安保協力内容は盛り込まれていない。
中国を牽制するため、インド太平洋戦略に韓国を引き込もうとする米国と、米国の対中国包囲網構築の動きに“巻き込まれる”ことを避けようとする韓国との妥協と言える。
ユン・スング外交部次官補とデビッド・スティルウェル米国務省東アジア太平洋次官補は2日、ASEAN関連首脳会議の機に、タイ・バンコクで二国間協議を行い、「韓国の新南方政策と米国のインド太平洋戦略間の開放性や包容性、透明性、国際規範への尊重、ASEAN中心という原則に基づき、安全で繁栄するインド太平洋地域の躍動的未来をつくっていくため、協力していくことにした」と、外交部が発表した。
これに先立ち、政府は中国主導の「一帯一路」構想と米日主導のインド太平洋戦略との間で、どちらに参加するかをめぐり公式方針を表明しなかったが、6月30日、韓米首脳会談を機に「新南方政策とインド太平洋戦略の調和と協力推進」方針を初めて発表した。
韓米が今回、「共同説明書」を公開したのはその後続措置だ。キム・ジョン北韓大学院大学教授は3日、「韓国が米国の要求をどこまで受け入れられるかの“上限”を示している」と分析した。中央大学のイ・ヘジョン教授は「米中関係を考慮すれば、韓国としては(米国主導の南シナ海の)『航行の自由方針』に対する支持要求が最大の難題だったが、ひとまずその内容は含まれていない」と指摘した。
イ教授は「積極的にリスクの防止・分散をするという側面では、インド太平洋戦略と一帯一路に同時に参加できる」と述べた。国策研究機関の高位関係者は「米国がインド太平洋戦略への参加を求めているが、韓国は東アジアの覇権国に急浮上している中国を意識せざるを得ない」とし、「排他的選択ではなく、両構想をいずれも韓国の新南方・新北方政策と結びつけようとしている」と説明した。実際、政府は米中の間で“二者択一”する代わりに、両国地域構想にいずれも参加する方式も考慮している。
スティルウェル次官補が5日に訪韓すれば、この問題を含め、韓日の対立と韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)問題などの懸案を幅広く追加協議する見通しだ。