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[ニュース分析]朝米実務協議の今月開催が現実味帯びる…年内の首脳会談につながるか

登録:2019-09-11 04:54 修正:2019-09-16 06:14
米国のドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長、文在寅大統領が6月30日、板門店で対話を交わしている//ハンギョレ新聞社

 朝米交渉の環境づくりと吉日選びに苦心していた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がついに「9月下旬、合意される時間と場所」を提案した。金委員長とドナルド・トランプ米大統領が6月30日に板門店(パンムンジョム)での電撃会合で実務協議の再開に口頭で合意してから、71日ぶりのことだ。トランプ大統領は北朝鮮の提案直後、「会うのは良いこと」だと応えたことで、「9月中の朝米実務協議」が現実味を帯びてきた。年内に3回目の朝米首脳会談の開催と大妥協の現実化に向けた金委員長とトランプ大統領の神経戦が本格化する見通しだ。

 朝米実務協議が行われば、2月にハノイでの第2回朝米首脳会談で合意が見送られ、長期の膠着の泥沼に陥った南北関係にも、“機会の窓”が開かれる可能性があるという期待混じりの見通しも示されている。

 北朝鮮側の劇的な旋回は9日深夜に行われた。チェ・ソンヒ北朝鮮外務省第1副相は米国時間の月曜日の午前に合わせ、「我々は9月下旬頃に、合意した時間と場所で、米国側と向かい合い、これまで我々が論議してきた問題を包括的に討議する用意がある」という内容の新たな談話を発表した。チェ第1次副相は「対朝鮮(北朝鮮)交渉を主導する米国の高官らが最近、朝米実務協議の開催の準備ができていると重ねて公言したことに注目した」と述べた。彼女は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が4月12日に行った最高人民会議の施政方針演説で、米国に「新しい計算法」を注文した事実を喚起し、「私はその間、米国が我々と共有できる計算法を探すための十分な時間を持ったと見ている」と圧迫を兼ねた期待もほのめかした。

北朝鮮のチェ・ソンヒ外務次官=シンガポール/キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 金委員長が協議の再開を決心した背景には、先送りを続ければ、6・30板門店会合直後に「これから2~3週間以内に実務交渉を再開することに金委員長と合意した」と明らかにしたトランプ大統領に公に恥をかかせようとしているという非難とともに、「金正恩-トランプの信頼関係」が大きく損なわれるという考えもあると見られる。ポンペオ長官は6日(現地時間)、ABC放送とのインタビューで、「金委員長が交渉テーブルに戻らなければ、トランプ大統領が非常に失望するだろう」と述べた。

 ただ、金委員長は実務協議の再開を決心してからも、米国の変化が自分が望んでいるほど十分ではないかも知れないという心配を払拭できなかったようだ。チェ第1副相が談話で「米国側が朝米実務交渉で、古い脚本を再びちらつかせれば、朝米間の取引はそれで幕を下ろすことになりかねない」と警告したのがそれを裏付けている。北朝鮮側が談話発表の数時間後の10日早朝、平安南道で東海上に向かって「未詳の飛翔体」2発を発射した事実は、談話の警告が空言ではないことを強調するための威力誇示の性格を持っているといえる。

 ハノイ会談後、10回にわたる新型短距離弾道ミサイル・放射砲の開発・発射実験は、北朝鮮の通常軍備の劣勢を補完するための日常的自衛措置という主張を既成事実化するための布石といえる。トランプ大統領は北朝鮮の短距離発射について、「他の国でも皆やっていることだ」として、問題視しないというシグナルを発信してきた。

 実務交渉で朝米が提起する主な議題はすでに輪郭が表れている。米国側は、核活動の凍結▽非核化の青写真(ロードマップ)作り▽最終目標(エンドステート)の設定を主な議題に掲げている。北朝鮮はハノイ会談で核心的な要求事項だった制裁の緩和・解除問題に加え、体制保証関連の議題を本格的に提起する見通しだ。

 米国側は最近、北朝鮮に対する相応の措置の構想を公開してきた。トランプ大統領は8月27日、「北朝鮮は大きな潜在力のある国」だとし、いきなり「線路などを通じて北朝鮮に行く方法」について語った。ハノイ会談直前の2月19日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がトランプ大統領との電話会談で、「非核化を牽引する相応の措置として、韓国の役割を活用してほしい」としたうえで、「南北の鉄道・道路の連結から、南北経済協力事業まで引き受ける覚悟ができている」と提案した事実を念頭に置いた発言と見られる。体制保証の議題と関連しても、「我々は北朝鮮の政権交代を望まない」(4日、トランプ大統領)や「すべての国は自らを防御する主権を持つ」(6日にポンペオ国務長官)、完全な非核化を前提とした在韓米軍(の削減と役割調整などを含めた)の“戦略的見直し”の可能性に関する言及(6日、ビーガン国務省北朝鮮政策特別代表)があった。外交安保分野の元老は10日、「実務交渉の成否は米国がどれほど変化した態度を示すかにかかっている」とし、「経済であれ、体制保証であれ、もっともらしい言葉ではなく、成果と実感できる物を作れるかどうかがカギ」だと述べた。元高官は、米国の“柔軟性”を見極める指標として、第一に制裁の緩和・解除に関して進展した態度、第二に非核化を先に求めるのではなく、朝米同時行動原則を適用できるかどうかを挙げた。

 朝米実務協議が年内の第3回朝米首脳会談と大妥協につながるためには、力量を持った信頼される仲裁・促進者の存在が切に求められる。70年間にわたり敵対関係を続けてきた朝米の信頼不足と大妥協の経験の欠如が相互の誤解を触発し交渉を座礁させる危険を、いかに減らせるかがカギとなる。元高官は「ハノイ会談後、役割が極度に萎縮した文大統領が、昨年発揮した素晴らしい仲裁・促進力量をどれだけ早く回復するかも、朝米協議の進路に重要な要因だ」とし、「文大統領が立ち止まっている南北関係を再び動かせる決断で、北朝鮮への影響力を回復しなければならない」と指摘した。

 政府関係者は「朝米実務協議が3回目の朝米首脳会談につながり、朝鮮半島の平和プロセスにも再び加速がつくように、韓国の役割を高める案を講じる」と述べた。別の関係者は「金委員長がトランプ大統領を相手に戦略的交渉をする時、文大統領の手助けは必須要素だ」とし、「朝米実務協議が進めば、南北関係にも“機会の窓”が開かれるだろう」と期待感をにじませた。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/909285.html韓国語原文入力:2019-09-11 00:56
訳H.J

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