世界経済低迷の恐怖が、経済アナリストらの当初予想よりも早いスピードで世界の金融市場を襲った。「景気低迷の前兆」と言われる米国債の長短期(10年物対3カ月物)金利の逆転が12年ぶりに現実化し、22日、米国や欧州の証券市場から始まり、週末を送ったアジア証券市場まで急落した。
25日、KOSPI(韓国総合株価指数)は1.92%(42.09)下落した2144.86で取引を終えた。昨年10月23日(1日55.61ポイント下落)以来5カ月ぶりの最大幅の下落だ。コスダックも前日より2.25%(16.76)も下落した727.21で取引を終えた。世界金融市場が同時多発的に揺れ動くと、安全資産であるドル選好が市場で急浮上し、ウォン-ドル相場は4.1ウォン値上がりした(ウォン価値下落)1134.2ウォンで取引を終えた。他のアジア証券市場も急落は避けられなかった。日経平均株価は3.01%も暴落し、中国の上海総合指数と香港のハンセン株価指数もそれぞれ1.97%と2.03%落ちた。
国際通貨基金(IMF)など主な経済機関は、世界経済がすでに2017年(成長率3.7%)に景気循環サイクルの上頂点に達したものとみている。国際通貨基金は2018年4月の経済展望で、世界景気のピークを2018~19年と推定したが、昨年10月と今年1月の経済展望では2019年の経済成長率を相次いで下方修正し、景気の頂点を2017年に繰り上げた。グローバル経済が下降局面に本格的に進んでいることが、昨年末と今年初めの世界経済の動向からファクトとして「確認」されているということだ。国際通貨基金は、今年の世界経済成長率展望値を3.94%(2018年4月)→3.65%(2018年10月)→3.5%(2019年1月)へと下げ続けている。
特に21日、米連邦準備制度(Fed)が「今年これ以上の政策金利の引き上げはない」ことを示唆するとすぐに、全世界の金融・資本市場は世界および米国の実体経済の鈍化のスピードが予想よりはるかに早いという事実に驚きながら、敏感に反応した。
グローバル景気減速への懸念をさらに広げている地域は、ユーロ圏や中国、そして米国だ。7日、欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏の今年の成長率展望値を、従来の1.7%から1.1%へ大幅に下げた。最近発表された中国の2月の輸出も、前年同月比20.7%も減少した。この二つの地域の経済指標については、年明けから懸念の声が持ち上がっている。これに加え、先週末の米国債の長短金利が結局“逆転”までした現象が世界に伝わり、米国の景気下降に対する懸念が火がついたように広がっている状況だ。米連準は最近、今年の米国経済の成長率の展望を従来の2.3%から2.1%に引き下げた。
各国経済を経験的にみると、通常、景気が収縮期に入ると国債長期物の金利上昇幅が減り、長短金利の差が縮まる傾向が実証的に見受けられる。今後、米国経済の成長鈍化に対する予想が国債市場に反映され、利下げ・逆転が表われたことで、今回の金利逆転は市場で長期的に金利引下げ(中長期景気低迷・下降)に対する期待が大きくなっていることが分かる。債券金利は長期債であるほど元金を受け取れなくなるリスクにさらされる期間が長いため、これを補償するための債券金利(利子収益)が短期債に比べて高いのが一般的だ。1980年以降、米国で長短金利の逆転は全部で6回あり、実際に5回も景気低迷につながった。金利逆転は、景気のピークより平均16カ月前に現れた。
現代経済研究院は「最近、一部の経済指標で米国の景気鈍化の兆しが見えており、米中貿易紛争、英国のブレクジット、中国のリスクなど、世界経済をめぐる不確実性が次第に高まっている」とし、「韓国銀行も現在と今後の国内経済を楽観できない状況で、国内の景気向上に集中した柔軟で緩和的な通貨政策導入の可能性が拡大している」と診断した。韓国銀行が基準金利を引き下げる方向に通貨政策の運用方向を変える可能性もあるという分析だ。これとは異なる見方もある。ハイ投資証券のパク・サンヒョン研究員は「長短金利の逆転現象で景気鈍化の懸念が増幅せざるを得ないが、今すぐ景気低迷を憂慮する局面ではない」とし、「米連準が急いで緩和的通貨政策基調に転換したことも、景気低迷リスクを下げる要因として作用している」と述べた。