日帝強制占領期間(日本の植民地時代)に朝鮮女子勤労挺身隊として強制動員された被害者が、賠償責任を履行しない三菱重工業を相手に韓国内資産を強制執行する手続きに突入することにした。
「勤労挺身隊ハルモニ(おばあさん)と共にする市民の会」は4日、声明を出し「三菱側が交渉に応じないため、近く三菱重工業の韓国内商標・特許などの資産を差し押さえる方針」と明らかにした。差し押さえ手続きの進行には、市民の会と三菱勤労挺身隊被害者訴訟弁護団(イ・サンガプ、キム・ジョンヒ弁護士)、三菱広島徴用被害者訴訟弁護団(チェ・ボンテ、キム・セウン弁護士)、太平洋戦争被害者補償推進協議会が参加する。
被害者訴訟弁護団は、まず三菱重工業が韓国国内に保有中の770件余りの特許権のうち10件余りの特許権についてソウル中央地裁に差し押さえ申立てを出す方針だ。被害者訴訟弁護団のキム・ジョンヒ弁護士は「確定判決を受けた被害者は、確定判決に書かれている内容を満たすために、差し押さえの手続きを進められる」と話した。特許権を差し押さえるということは、第三者に処分できないようにする法的手続だ。訴訟弁護団はその後、差し押さえた特許権を競売にかけ金銭化する換価手続きも進める予定だ。
これに先立って、最高裁(大法院)は三菱重工業が強制動員被害者に慰謝料を支払わなければならないという最終判決を下した。最高裁2部は昨年11月29日、ヤン・クムドクさん(89)など勤労挺身隊強制動員被害者4人と遺族1人に対し、三菱重工業が1人当り1億~1億5千万ウォン(約1000~1500万円)の慰謝料を支給しなければならないという原審判決を確定した。また、三菱重工業強制動員被害者チョン・チャンヒさん(96)と被害者4人の遺族が出した訴訟の再上告審で、被害者5人に三菱重工業が8千万ウォン(約800万円)ずつ支給するよう判決を下した原審も確定した。
だが三菱重工業は、強制動員被害者に慰謝料を支払えとの最高裁確定判決が下された後も損害賠償を拒否している。被害者訴訟弁護団は1月18日、三菱重工業本社に交渉を促す書簡を送るなど、2月末まで判決の履行を協議するための交渉を要求し、先月には一部の原告が直接東京を訪問し三菱側の誠意ある返事を求めたが、返答は得られなかった。
市民の会側は「三菱側が判決の履行を拒否する間に高齢者の原告が相次いで死亡している」として「三菱側は先月までに交渉要請に応じず、最後に与えられた和解の機会も自ら放棄したため、確定判決を根拠に強制執行の手続きに入るもの」と明らかにした。
一方、これに先立って日本の戦犯企業である新日鉄住金の強制動員被害生存者であるイ・チュンシクさん(95)など2人は、昨年12月にポスコと新日鉄住金が合作したPNRの株式8万1075株の差し押さえ申立書を大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支所に提出した。