本文に移動

[ニュース分析]対北朝鮮制裁緩和、“例外の認定”か“構造の解体”か

登録:2019-02-20 06:47 修正:2019-02-22 15:28
2回目の朝米首脳会談を控えた今月19日(現地時間)、ベトナム・ハノイの政府ゲストハウス(迎賓館)で、関係者らが絵を運んでいる/聯合ニュース

 「付けておいてください」。「現金以外はお断りします」

 第2回朝米首脳会談の難題である“制裁緩和”をめぐる朝米両国の基本的な態度だ。米国は「寧辺プラスアルファ」など、北朝鮮側の意味ある非核化措置を前提に「制裁緩和を考慮できる」という“ツケ”を、北朝鮮側は「非核化と制裁緩和の交換」という“現金”方式を好む。隔たりは大きいが、両方とも(核問題を解決するためには)調整が不可欠であることを分かっている。

 スティーブン・ビーガン国務省北朝鮮特別代表の平壌交渉後、米国の最上層部は調整のメッセージが込められたガイドラインを示した。マイク・ポンペオ国務長官が「制裁を緩和する見返りとして良い結果を得るのが我々の意図」(13日のインタビュー)と述べたのに続き、ドナルド・トランプ大統領が「北朝鮮に数十億ドルを渡した前轍を踏まない」(15日のホワイトハウス会見)と強調した。“制裁緩和”をカードに使うものの、“米国のカネ”は使わないという「人の褌で相撲を取る」方式だ。

 南北経済協力事業に対する包括的制裁免除がまず取り上げられている。韓国政府が強く望んでおり、米国も否定的ではないというのが消息筋の話だ。国連の最新の制裁決議第2397号の「事案別免除決定」(第25条)と「朝鮮半島の平和・対話・緊張緩和活動の歓迎」(第27条)条項を援用すれば、別途決議を採択しなくても可能だ。米国にとっては、“国際制裁レジーム”に手をつけなくても北朝鮮側の意味のある非核化措置を引き出すアメとして使える利点がある。米国は、各種の制裁にかかった開城(ケソン)よりは、原則的に制裁対象でない金剛山(クムガンサン)カードを優先的に考慮しているという。

 北朝鮮にとっても、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が新年の辞で「前提条件と見返りを求めない再開」を提案しただけに、金剛山・開城事業の再開は優先課題だ。ただし、問題がある。まず、北朝鮮側は、両事業は「南北経済協力」であるため、米国の交渉カードにはなり得ないとし、「干渉するな」という態度だ。 「受け取らない」わけではなく、「もっと多くのもの」を得るための交渉上の戦術だ。何よりも北朝鮮は特定事業に対する“例外の認定”ではなく、“制裁レジームの緩和”を望んでいるというのが本質的な争点だ。事情に詳しい消息筋は19日、「BDA(バンコ・デルタ・アジア)問題のときの北朝鮮のアプローチに注目する必要がある」と助言した。

 北朝鮮の1回目の核実験(2006年10月9日)と6カ国協議の長期空転の触発要因となった「BDA問題」の際、北朝鮮は「口座凍結を解除するから、2500万ドル(約4億6000万円)を下ろせ」という米国側の提案を拒否し、「国際金融網を通じた送金」方式を強く主張した。結局、韓米中ロの協力でロシア銀行を経て送金する方式で、発生から2年目の2007年に一段落した。消息筋は「北朝鮮がBDA問題で重視したのは、2500万ドルではなく、国際金融網への接近権」だとし、「制裁問題でも、北朝鮮は“例外”ではなく“レジームの緩和”を望んでいる」と指摘した。同消息筋は「経済成長を追求する金委員長にとっては、南北経済協力だけでなく、朝中経済協力を含む国際社会と経済交流をする糸口を探るのが死活問題」だと付け加えた。

 金剛山・開城を論外とすれば、国連決議第2397号が規定した「1年に製油50万トン」(第5条)の上限を引き上げるか、一部の民生分野を制裁対象から除外する案もある。ただし、このためには新しい国連決議を採択しなければならず、トランプ大統領の政治的負担が大きい。

 “第3の解決策”もある。2回目の朝米首脳会談の合意履行の過程で、非核化と制裁緩和など相応の措置をあわせて協議・実行する委員会を設ける案だ。“ツケ”と“現金”との折衝である。

 外交安保分野の高官は「制裁緩和方式が国連の別途の決議文の採択なのか、対北朝鮮制裁委員会の“免除決定”なのかは、朝米交渉にかかっている」とし、金正恩委員長とトランプ大統領が談判を終えて会談場を出るまでは、誰にも分からない問題」だと述べた。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/882809.html韓国語原文入力:2019-02-19 22:07
訳H.J

関連記事