「ソウル市公務員のユ・ウソン氏スパイ事件」当時、証拠をねつ造し、裁判や捜査を妨害した元国家情報院対共捜査(共産主義に対する捜査)局長が実刑を言い渡された。
18日、ソウル中央地裁刑事29部(裁判長カン・ソンス)は、公文書改ざん、証拠隠匿などの容疑で裁判にかけられた元国情院対共捜査局長のL氏(59)に、懲役1年6カ月を言い渡した。同時に起訴された元副局長のC被告(58)は懲役1年、執行猶予2年を言い渡された。裁判部は「被告らがねつ造した虚偽の証拠のため、控訴審の裁判を受けていたユ・ウソン氏は深刻な精神的苦痛を受けざるを得なかった」と指摘した。
裁判部は公文書改ざん容疑などで有罪判決を下した。裁判部は「国情院が検察に提出する書類がすでに秘匿処理された状態で秘匿処理の事実自体が明らかにならないようにするため、上下の間隔をあわせて公文書を切り貼りした行為は、最初からそのような文言が記載されていなかったようにするためだ。国家安全保障のための機密保持に必要なものと見なすことはできない」と説明した。L氏は国情院が検察に提出する書類は秘匿処理できる権限があるとし、無念を主張してきた。
しかし裁判所は、中国の協力者から証拠捏造を認める供述が出るとこれを録音したテープをなくし、新しい供述を受けさせたという容疑(証拠隠匿)などに対しては、無罪判決を下した。
2014年、検察の証拠ねつ造疑惑捜査当時、実務者だけが処罰され「しっぽ切り」の疑惑が提起されたが、4年ぶりに行われた再捜査でL元対共捜査局長など国情院の上層部がスパイ証拠ねつ造に介入した疑いが明らかになった。L元局長は2013年9月から12月まで国家保安法違反の疑いで起訴されたユ・ウソン氏の控訴審裁判当時、ユ氏の北朝鮮出入境記録と中国の駐瀋陽総領事の虚偽の事実確認書を作成し、証拠として提出した疑いを受けた。「証拠ねつ造」疑惑が明るみに出て検察が捜査に乗り出すと、中国人協力者が証拠を偽造した事実を認めた資料は故意に除いて提出するなど、検察捜査を妨害した疑いも持たれている。