日帝による強制動員の被害者弁護人団が行った新日鉄住金の韓国内資産に対する差し押さえ申請を韓国裁判所が認めたことについて、日本は韓日請求権協定の「紛争解決手続き」に基づき、韓国政府に両国間協議を公式要請した。日本は国際司法裁判所(ICJ)への提訴や韓国産製品に対する関税引き上げのカードまで取り出し、圧迫を強めている。
日本外務省の秋葉剛男事務次官は9日午後、イ・スフン駐日韓国大使を外務省に呼び、韓日請求権協定による両国間の協議を要請した。日本が1965年に結んだ請求権協定に規定された両国間の協議を公式要請したのは、今回が初めてだ。新日鉄住金とポスコの合弁企業であるPNRには同日午後、強制動員の被害者たちの差し押さえ申請の書類が届いており、新日鉄住金は8万1075株(4億ウォン分)の処分権利を失った。
韓国政府は日本政府の協議要請に対して、「綿密に検討」した後、急がずに返答するという方針であり、請求権協定に規定された両国間の協議ではなく、一般的な外交協議を提案する可能性が高いとみられる。日本は協議で解決されなければ、請求権協定に基づき、韓日と第3国の委員で構成される仲裁委への提訴も推進する方針だ。しかし、請求権協定の紛争解決の手続きは、一方が同意しない限り進められない。2011年に韓国が慰安婦被害者問題と関連して請求権協定に基づく両国間の協議を要請した際、日本側が拒否した。これとは別に、日本は韓国産商品に対し関税を引き上げる経済報復措置も検討していると、日本経済新聞が9日付で報じた。
■「5年体制」に対する質問
専門家らは、強制徴用賠償問題が韓日請求権協定に基づく「65年体制」を揺さぶる事案であるため、慰安婦被害者問題とは次元が異なると見ている。妥協案を見出せなければ、韓日関係が長期間の対峙局面に入るという懸念もある。ソウル大学国際大学院のパク・チョルヒ教授は「日本は請求権協定で問題がすべて解決したという立場であり、今回の協定による紛争解決を要求したのは『協定に従う』という態度で、『65年条約体制』をそのまま維持する意志を示したもの」だと話した。新日鉄住金の資産差し押え決定が出たが、被害者らが実際に売却申請を行って、売却が進められるまでは数カ月かかるものと見られており、この期間中、被害者らを慰労し、彼らの意思を反映すると共に、外交的解決策を見出すためには、韓国政府の積極的な姿勢が求められる。昨年10月30日の最高裁の判決後、政府は李洛淵(イ・ナギョン)首相の主導で対策を検討してきたが、まだ具体的な措置を出していない。ヤン・ギホ聖公会大学教授は「韓国政府と政界でも、これからはこの問題を深刻に考慮する必要がある」とし、司法部の判決を待つだけではなく、政府が今よりさらに積極的に解決策を講じる必要があると指摘した。
■安保協力システムの弛緩?
レーダー照射問題をめぐり、両国が真実攻防を越えてユーチューブの世論戦まで繰り広げる状況は、韓日関係で異例のことだ。軍当局間の緊急連絡網を通じて確認し抗議すれば済む問題を、マスコミにリークした背景には、日本側の政治的意図があるというのが大方の専門家の分析だ。安倍首相の最大課題である改憲ムードづくりや軍事力の強化などのため、韓国との対立を利用したものと見られる。トランプ政権発足後、「同盟管理システム」が以前のように作動しない状況も原因に挙げられる。ヤン・ギホ教授は「トランプ政権が韓日米安保協力を過去のように重視せず、日本も韓国の戦略的価値が以前より重要でないと判断する状況も原因になったと思われる」と話した。米日ともに、対中国牽制のためには韓米日軍事協力が重要だという立場は依然として維持しているが、微妙な変化のシグナルだ。韓日が“軍事問題”をめぐり対立している状況を、米国は傍観していたという。