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統一部長官「5・24措置の解除、具体的に検討していない」外交部長官の発言を鎮火

登録:2018-10-12 06:30 修正:2018-10-12 07:24
チョ・ミョンギュン統一部長官(中央)が今月11日午前、国会で開かれた外交統一委員会の国政監査で、議員たちの質疑に答えている//ハンギョレ新聞社

 チョ・ミョンギュン統一部長官は11日、「5・24措置の解除を具体的に検討した事実はない」と述べた。チョ長官は同日、国会で開かれた外交統一委員会の国政監査でこのように述べ、「これは政府の基本的立場」だと強調した。前日、カン・ギョンファ外交部長官が「関係省庁と5・24措置の解除を検討する」と発言したことで触発された議論を鎮火するための政府レベルの対応とみられる。

 今回の議論は、カン長官の「不明確な発言」から始まったが、結果的に米国と国際社会の対北朝鮮制裁の中で、南北協力を拡大しようとする文在寅(ムン・ジェイン)政府の厳しい立場を喚起するきっかけとなった。ドナルド・トランプ大統領まで、北朝鮮の非核化が実現するまでは対北朝鮮制裁を維持するという米国の立場を再確認したからだ。文在寅政権は対北朝鮮制裁の高い壁をより意識せざるを得なくなった。

 論議の核心となった5・24措置は、2010年3月の天安艦襲撃事件に対応し、李明博(イ・ミョンバク)政権が行政命令として下した対北朝鮮制裁だ。開城(ケソン)工業団地を除く南北交易の中止をはじめ、韓国海域における北朝鮮船舶の運航や開城工業団地・金剛山以外の訪朝、北朝鮮に対する新規投資を認めず、対北朝鮮支援事業を保留するなどの内容が盛り込まれている。政府の行政措置であるだけに、いつでも解除を含めて柔軟な措置を取ることができる。

 実際、李明博政権は翌年、賃加工製品の北朝鮮搬入を許可し、宗教関係者の訪朝申請も受けた。朴槿恵(パク・クネ)政権も南北物流協力と民間団体の肥料支援を承認した。このため、「南北交易の中断」と「新規投資の不許可」を除けば事実上有名無実な状態といえる。「韓国海域における北朝鮮船舶の運航の不許可」も、9・19平壌共同宣言で採択した軍事合意書に「双方は北朝鮮船舶の海州直航路の利用と済州海峡通過問題などを南北軍事共同委員会で協議して対策を設けることにした」という内容を盛り込み、解除を控えている。

 にもかかわらず、政府が5・24措置の解除を明示的に宣言しないのは、南北交易の中断および新規投資の不許可が、国連と米国の対北朝鮮制裁と密接にかかわっているからだ。これらは国際社会の対北制裁に阻まれており、5・24措置を解除しても実行が難しい。つまり、解除の実益がないということだ。さらに政府としては、天安艦襲撃事件に対する北朝鮮の措置がない状況で、5・24措置を解除する場合に起こる政治的議論も考慮せざるを得ない。

 結局、問題は韓国の独自的な措置が国際社会の対北朝鮮制裁網を突破するのが難しいということにある。金剛山観光を再開できない理由も、北朝鮮制裁のためだ。金剛山観光の中止は、2008年に起きた北朝鮮哨兵によるパク・ワンジャさん銃撃事件への対応なので、5・24措置とは何の関係もない。それよりは、北朝鮮に対する大量現金(バルクキャッシュ)の支給や金融取引の禁止などを盛り込んだ国連制裁と関連する部分が多い。チョ長官は「金剛山観光を本格化することは国連制裁の対象になり得る」と述べた。

 開城工業団地事業を再開することも、同様の問題を抱えている。朴槿恵政権は2016年2月、北朝鮮の4度目の核実験や長距離ロケット発射に対応し、開城工業団地の稼動中止を決定した。当時、朴大統領の決定が独断によることが明らかになったが、その効力は北朝鮮との合弁事業の新設および拡大を禁止した国連制裁で裏づけされている。チョ長官は開城工業団地の再開について、「非核化の進展に合わせなければならない面もあり、総合的に考慮する必要がある」と慎重な態度を示した。

 文在寅政権は、南北関係の発展と非核化が好循環するプロセスを希望している。それだけに、北朝鮮制裁の緩和や解除に対する悩みも深まる。大統領府関係者は「この問題は名分にこだわるよりは実行できる時期と方式を実事求是的にアプローチすべき問題だ」と話した。

ユ・ガンムン先任記者、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/865515.html韓国語原文入力:2018-10-11 23:37
訳H.J

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