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核も戦争もない朝鮮半島が始まった…南北、事実上“終戦宣言”

登録:2018-09-19 22:23 修正:2018-09-20 08:14
文在寅大統領と金正恩国務委員長が19日午前、平壌の百花園迎賓館で署名した「9月平壌共同宣言文」原本=平壌写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「平壌首脳会談」を通じて、8千万の朝鮮半島人の悲願である恒久的平和に進む不可逆的な旅程が始まったことを宣言した。19日、平壌の百花園迎賓館で2次会談を終え、「9月平壌共同宣言」(平壌宣言)と「板門店宣言履行のための軍事分野合意書」(軍事合意書)を発表する両首脳の顔は悲壮だった。態度は断固とし声は確信に満ちていた。

 文大統領は宣言した。「戦争のない朝鮮半島が始まりました」「朝鮮半島の完全な非核化は遠くありません」「南北関係は揺らぐことなく続くでしょう」

 金委員長が釘を刺すように話した。「宣言は長くないが、遠からず現実になる私たち皆の夢が含まれています」「私たちはどんな逆風も恐れません」

 4月27日板門店の“和解の春”に撒いた平和の種が、19日平壌の“協力の秋”に「中身の充実した実」(金委員長) 「平和と繁栄の実」(文大統領)になり見事に実っている。「平壌首脳会談」の成果に基づいて文大統領とドナルド・トランプ米大統領のニューヨーク国連総会を契機とした24日(現地時間)の首脳会談を経て、2回目の朝米首脳会談が実現し、雪の舞う年末には金委員長のソウル答礼訪問が実現されるならば、私たちはついに「数十年の歳月を経てきたすさまじく悲劇的な対決と敵対の歴史」(金委員長)を後にして、不可逆的な平和の海に達することになるだろう。

 「平壌首脳会談」の成果を“平和”の視点で圧縮すれば、「戦争の危険の根源的除去」と「朝鮮半島非核化再推進の動力確保」ということができる。言葉の盛り上げに留まらない。軍事合意書は、保険約款を彷彿とさせるほどに詳細だ。今までに採択されたどの南北合意書より詳細だ。合意書本文の他に「付属文書」だけで5つある。

 文大統領と金委員長の実践の意志は強力だ。軍事合意書の地位を平壌宣言の付属文書に設定し、合意履行に両首脳が直接関わる意志を強調した。何より金委員長のソウル答礼訪問を104日しか残っていない年内に合意・公表し、平壌宣言と軍事合意書の履行速度を最大限に高める意志を表わした。

 文大統領と金委員長は、4・27板門店宣言に明記された「年内に終戦宣言」を口にしなかった。平壌宣言と軍事合意書にも「終戦宣言」という概念は登場しない。

 しかし「平壌首脳会談」の結果は、何よりも両首脳の“事実上の終戦宣言”ということができる。南北軍事共同委を稼動して「軍事的敵対関係の終息」方案を盛り込んだ軍事合意書を速度感をもって履行し、「朝鮮半島全地域の実質的な戦争の危険の除去と根本的な敵対関係解消」に進むことを約束した(平壌宣言1条)。これは南北の“実質的平和”の実現であり、法的終戦を操り上げる戦略だ。

 第二に、「平壌首脳会談」の結果には、南・北・米の3角関係において、南北関係の速度感ある改善と前進により朝米関係を牽引するという両首脳の戦略構想が含まれている。文大統領と金委員長はこうした戦略構想の実践方略を平壌宣言と軍事合意書に明記しておいた。

 何よりも南北二者会談の歴史上、初めて具体的非核化方案を合意・発表した事実は、朝鮮半島平和の歴史で文字どおり「歴史的変曲点」だ。平壌宣言に明記された非核化実践方案は2点ある。最初に、東倉里(トンチャンリ)エンジン試験場とミサイル発射台の永久廃棄の確約だ。条件を付けない約束だ。「関係国の専門家たちの参観」まで約束し、“詐欺”云々する非難の口実を与えない意志を表わした。二点目は「寧辺(ヨンビョン)核施設の永久的廃棄のような追加的措置を取っていく用意」を明らかにした。「米国が6・12共同声明の精神に則り相応の措置を取れば」という条件が付いているものの、「寧辺核廃棄」カードをあらかじめ提示した事実に注目する必要がある。文大統領がトランプ大統領を相手に「対北朝鮮相応措置」と2回目の朝米首脳会談推進を説得する時に渡すプレゼントを金委員長が“中秋節の贈り物”として用意したわけだ。平壌宣言には明記されていないが、米国の相応措置促進と2回目の朝米首脳会談成功のための踏み石を置く次元で、北側が適切な時点に寧辺核施設に米国と国際原子力機構(IAEA)の専門家たちを招請する可能性がある。

 要するに、両首脳は朝鮮半島“平和”問題で「民族自主と民族自決原則」(平壌宣言前文)を積極的に実践する意志を明らかにしたわけだ。

 両首脳は、南北交流協力分野でも「相互互恵と共存共栄」(平壌宣言2条)の精神により、4・27板門店宣言履行(年内に東・西海線鉄道・道路の連結着工式)▽経済協力ビジョン提示(“条件が用意されるのにあわせて”開城(ケソン)工業団地・金剛山(クムガンサン)観光の優先正常化、西海経済共同特区・東海観光共同特区造成協議)▽環境協力(まず山林協力)▽防疫・保健・医療協力の強化など多方面で速度を上げることにした。西海経済共同特区は、10・4宣言の「西海平和協力特別地帯」と文大統領の「境界地域統一経済特区」構想(光復節祝辞)を、東海観光共同特区は「金剛山(クムガンサン)+元山(葛麻海岸観光地区)+雪岳山(ソラクサン)」を合わせた新しい経済協力ビジョンだ。もちろん、制裁が緩和されてこそ現実化できる。合わせて14日に開城工業団地内に開所した南北共同連絡事務所に続き、金剛山地域にも「離散家族常設面会所を早い時期に開所」することにした。朝鮮半島の腰にあたる東西両側に交流協力の常設舞台を用意するという構想だ。

 文大統領と金委員長は「平壌首脳会談」を通じて恒久的平和に向けた不可逆的な旅程に立ち向かう一方で、南北関係の「日常化・常時化・常設化」の青写真もまた提示したわけだ。

平壌・ソウル共同取材団、イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/862798.html韓国語原文入力:2018-09-19 21:02
訳J.S

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