「司法壟断」に関与した疑いを受けている前・現職裁判官の「無罪」と「善意」を強調してきた裁判所の傲慢さが結局、数万件の証拠隠滅というかつてない状況を招いた。 ソウル中央地裁は「仲間をかばっている」という批判をものともせずに、「罪にならない」「押収しなくても自分で提出すると思われる」として、これまで家宅捜索令状の90%を棄却してきた。 最高裁もまた「裁判官独立」を名分に「裁判所防御」に必死になっている組織利己主義を放置して禍を大きくした。 「ヤン・スンテ最高裁の司法壟断」に次ぐ「キム・ミョンス最高裁の新司法壟断」という批判が出ている。 与党は司法壟断国政調査と特別裁判所設置を推進することにした。
11日、ソウル中央地検の司法壟断捜査チームは、裁判所の令状棄却に乗じて数万件の証拠を破棄したユ・ヘヨン前最高裁選任・首席裁判研究官(現弁護士)の事件と関連して「1次的責任」を裁判所に問うた。 検察関係者は「(ユ弁護士に対する)裁判所の令状審査が何の理由もなく三日間遅延され、(その間に)大量の刑事事件証拠物が故意に廃棄されるというかつてない事態が発生した。 国民の目の前で、司法システムがこれ見よがしに公開的に無力化された」と明らかにした。
これに先立ってソウル中央地裁の令状専門担当判事は、検察が最高裁事務総局と前・現職裁判官に対する家宅捜索令状を請求するたびに棄却してひんしゅくを買った。 一般事件の家宅捜索令状発給率が90%だったのと対照的に、裁判所を対象とする家宅捜索令状だけは、逆に棄却率が90%に達した。 「公開的な司法システム無力化」という検察の反発は、「裁判所が令状発給権限を通して捜査妨害をしている」ということを遠まわしに言ったものと解される。 この日検察は「徹底的に捜査して法により処分する」と述べた。 前日ユン・ソンニョル ソウル中央地検長も「証拠隠滅行為に対しては地位の上下を問わず厳正に責任を問う」という立場を明らかにした。 裁判所内部に捜査を妨害する「助力者」がいるならば、司法壟断と関係のない現職裁判官でも処罰し得るという「警告」を発したわけだ。これと関連して検察は、令状発給を遅延させる方式で証拠隠滅の時間を与えたのではないか、公文書流出に対する検察の告発要求に応ずる代わりに「文書回収」に出た最高裁とユ弁護士との間に何らかの交感があったのではないか等を調査する方針だ。
ユ弁護士が家宅捜索令状審査の真っ最中に検察捜査の不当さを主張する文書を作成して電子メールで現職裁判官たちに伝達した事実がこの日明らかになったのも、裁判所には「悪材料」となる見込みだ。 文書には主な容疑に対する「有無罪」の判断、検事面談内容など捜査の進行状況などが含まれている。
ユ弁護士は電子メールで家宅捜索の違法性を主張して「(流出)資料は個人の意見を盛った資料で公務上の秘密や公共記録物とは見難い」「裁判所勤務時に作成した資料を思い出として持ってきたものだ」と主張した。 ソウル中央地裁の令状棄却論理と似ている。 この電子メールが 最高裁事務総局や令状担当判事に伝えられた可能性を排除できないというのが検察の立場だ。
これと関連して検察は12日午前、ユ弁護士とイ・ミンゴル前最高裁事務総局企画調整室長を呼んで調査し、特に同日現「キム・ミョンス最高裁」所属の高位裁判官まで呼ぶという強手を打った。 最高裁選任裁判研究官時代に首席裁判研究官だったユ弁護士に事務総局の裁判介入文書を伝達したキム・ヒョンソク現首席裁判研究官(高裁部長判事)を呼ぶことにしたのだ。
裁判所は「当惑」しながらも鎮火に乗り出した。 ソウル中央地裁は去る7日に請求された令状の審査が10日に遅れたことは「故意」ではなかったと弁明した。 8日に勤務した2人の令状担当判事のうち1人はすでにユ弁護士関連令状を棄却した前例があるので審査するには不適切だったし、残りの1人は他の業務があったということだ。
一方検察は、2015年4月にソウル南部地裁が私立学校教職員年金法の条項に対して憲法裁判所に限定違憲の趣旨で違憲審判を求めた決定を最高裁事務総局が取り消せと圧力を行使した情況を捕らえた。 これはパク・ビョンデ当時事務総長の週例会議で議論され、ヤン・スンテ最高裁長官が決断して裁判長に要求が伝えられたという。 実際、当該裁判所は以後、自らの決定を職権で取り消し、再び単純違憲趣旨で提請したという。