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在韓米軍家族の退避指示、対北朝鮮強硬派のグラハム議員の“豹変”が防いだ

登録:2018-09-13 06:13 修正:2018-09-13 08:12
今月11日(米国時間)に発刊されたボブ・ウッドワードの著書『恐怖:ホワイトハウスのトランプ』の表紙//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が今年初め、在韓米軍の家族に退避を指示するツイートを掲載しようとして取りやめる過程で、対北朝鮮強硬派のリンゼー・グラハム共和党上院議員の助言があったという。

 ワシントンポスト紙のボブ・ウッドワード氏がトランプの政府関係者を対象に深層インタビューし、11日(現地時間)に発刊した本『恐怖:ホワイトハウスのトランプ(Fear: Trump in the White House)』には、トランプ大統領が朝鮮半島の安保と貿易問題で、“恐怖”を煽ったエピソードが描かれている。

 北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)級火星-15型を発射し、危機が高まった昨年末、トランプ大統領は参謀たちに在韓米軍家族の退避を指示する書き込みをツイッターに掲載することを提案した。彼の側近であるグラハム議員は、同年12月3日に放送に出演し、「在韓米軍の家族たちを退避させるべき」だとし、雰囲気を煽った。しかし、翌日にハーバート・マクマスター当時ホワイトハウス国家安保補佐官は、仲裁者を通じて「民間人の疎開令を攻撃間近の信号と捉える」というリ・スヨン当時北朝鮮労働党国際担当副委員長の警告を受けた。

 トランプ大統領はひとまず書き込みの掲載を取りやめたが、未練を捨て切れず、1カ月後にこの問題についてグラハム議員との電話で相談した。しかし、この時、グラハム議員は以前とは異なる態度を示した。彼は「決定を下す前に深く考えなければならない」とし、「あなたがそれを実行する日は、韓国の株式市場と日本経済を揺るがす日になるだろう。それは本当に大変なこと」だと話したという。トランプ大統領が「もう少し待つべきなのか」と聞くと、グラハム議員は「戦争する準備ができていないなら、この過程を始めてはならない」と助言したという。

 その一方で、グラハム議員は昨年9月、ホワイトハウスのジョン・ケリー秘書室長とマクマスター国家安保補佐官に「中国が彼(金正恩国務委員長)を暗殺し、彼らが統制できる北朝鮮将軍に替えなければならない」と提案したこともあったと、ウッドワード氏は明らかにした。

 また、対話ムードが作られた今年2月、平昌(ピョンチャン)冬季五輪直前・直後に、米空軍は北朝鮮を圧迫する目的で太平洋上空に核弾頭の搭載が可能なミサイルの実験発射を検討したという。しかし、ジョセフ・ダンフォード合同参謀議長がそれを阻止したとされる。これと関連し、中央情報局(CIA)は今年初め、北朝鮮がミサイルの大気圏再突入技術を完成できず、米国本土を攻撃できる能力を確保できていないと判断したと、ウッドワード氏は伝えた。

 今年1月19日、トランプ大統領が電話会談で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領を激しく責め立てた場面も同書には登場する。トランプ大統領は「180日以内に自由貿易協定を破棄する手紙を送り、貿易関係を終わりにしたい」としたうえで、「我々はぼったくられた。ただでカネをあげるようなことはもうしない」と述べた。これに対し、文大統領は「貿易と安保は互いに組み合っており、あなたと共に仕事を続けたい。米国は韓国の同盟であり、協力者だ。経済関係で一部誤解があるかもしれないが、理解に至ることを望んでいる」として、彼をなだめたという。それにもトランプ大統領は「あなたたちはTHAAD(高高度防衛ミサイル)の費用を支払うべきだ。われわれが弾道ミサイル迎撃システムをなぜそこ(韓国)に置かなければならないのか」として、声を荒げたという。ウッドワード氏は「ケリー秘書室長ら側近たちは、トランプ大統領が、敵国の中国やロシア、イラン、シリア、北朝鮮よりも韓国を責め立てたことに対し、理解に苦しむと言いながら苦笑した」と書いた。

 トランプ大統領が文大統領を激しく責め立てたという同書の内容と関連し、キム・ウィギョム大統領府報道官は「ウッドワード氏の本は、米国内でも議論になっている。韓国政府がそれについて言及すること自体が適切ではない」と述べた。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/861762.html韓国語原文入力:2018-09-12 20:25
訳H.J

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