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国防部「代替服務者、年間600~700人制限を検討」

登録:2018-08-22 22:45 修正:2018-08-23 09:40
台湾の代替服務者たちが台中のある病院で治療を受けて帰宅する老人を手伝っている=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 良心的兵役拒否にともなう代替服務の期間は、現役兵の1.5~2倍にし、代替服務者は年間600~700人水準で上限を置く方案を検討中だと、国防部が22日明らかにした。

 国防部当局者はこの日、ソウル市龍山(ヨンサン)の国防部庁舎で記者懇談会を開き、「代替服務制が兵役忌避手段として悪用されることを防止し、他の兵役義務との公平性を確保しながら懲罰的にならないようにするという原則で案を作っている」として、このように明らかにした。

 代替服務を認めた6月28日の憲法裁判所決定以後、主務部署である国防部が代替服務制の具体的な推進方案に対する立場を出したのは今回が初めてだ。

■現役兵の1.5~2倍の期間

 国防部は、代替服務期間が陸軍現役兵の2倍になる方案を1案として、陸軍現役兵の1.5倍になる方案を2案として検討していると明らかにした。1案の場合、陸軍現役兵が現行の21カ月から18カ月に短縮されることを勘案すれば、代替服務期間は36カ月(3年)になる。国防部は1案について「営内で24時間生活する現役兵が剥奪感を感じず、また兵役忌避手段として悪用されることを防止するのに十分な期間」という意見が多かったと紹介した。また、現役兵とは異なり、服務期間が34~36カ月と長い専門研究要員・公衆保険医・公益法務官との公平性問題も解消できると説明した。現在国会ではイ・チョルヒ、イ・ジョンミョン、キム・ジュンノ、イ・ヨンジュ議員が現役兵の2倍を提案する法案を提出している。フランス、フィンランドなども過去に代替服務期間を現役兵の2倍にしたと国防部が明らかにした。

 現役兵の1.5倍である2案によれば、代替服務期間は27カ月になる。国防部当局者は「国際人権機構では、代替服務期間が現役兵の1.5倍以上の場合、懲罰的性格を持つと見ている」として「実際、国連人権理事会と欧州社会権委員会は、フランスの現役兵2倍規定に対して合理的根拠がないと判定した事例がある」と話した。国家人権委員会は、現役兵の1.5倍期間を薦めたことがあり、国会でもチョン・ヘチョル、パク・ジュミン議員らが現役兵の1.5倍の服務期間を入れた法案を出した。外国では、台湾、ギリシャ、ロシアなどが現役兵の1.5倍の代替服務制を実施している。

 これに対して国防部当局者は「1案と2案について、兵役忌避の手段として悪用されず、国際社会の人権基準にも符合する合理的な方案を探している」として「社会各界の意見を取りまとめ、現役兵の1.5~2倍の間で服務期間を定めることになると見られる」と見通した。

■年間600~700人上限制

 国防部は、代替服務の対象者を年間600~700人水準に制限する方針だ。代替服務制が兵役忌避の手段として悪用されることを防き、入営資源を安定的に確保するための装置だ。実際、ドイツなどでは良心的兵役拒否にともなう代替服務制の実施以後、期間の経過に伴い代替服務を申し込む人員が増え、安定した兵力需給が困難になる場合もあったという。国防部当局者は「現在、現役兵の代わりに機動警察または義務消防員などとして服務する転換服務も、毎年クォータ(割当て)を定めて管理している」とし、「代替服務制にもこのようなクォータ概念を適用すること」と話した。

 国防部が年間上限を600~700人にすることを検討するのは、現在宗教や信念にともなう兵役拒否で裁判に付されている人が一年に500人余りいるが、それ以外に単純兵役忌避として処罰を受けた人が過去5年間で15人だった現実を勘案した結果だ。国防部当局者は「年間600~700人水準ならば、本物の良心的兵役忌避者はほとんど受け入れられると見る」と話した。しかし、もしその年にクォータより多くの人が代替服務判定を受けることになれば、翌年の代替服務を待たなければならない停滞現象が生じることもありうる。

 国防部はまた、兵役忌避手段としての悪用を防ぐために「代替役審査委員会」(仮称)を構成し、代替服務申請者の適格性を判定する計画だ。委員会は、宗教者、心理専門家、医師、法曹人など外部の民間人で構成され、首相室、法務部、または兵務庁傘下の機関として設置されるが、独立的な地位は維持する方針だ。

■服務分野は公益機関

 国防部は、代替服務の分野を公益業務分野・機関に限定した。具体的には、消防分野、矯正分野、国・公立病院、社会福祉施設の4種類の公益機関だ。消防業務の場合、火災鎮圧および救助活動補助任務を担うことになり、現在も現役判定を受けた入営対象者が、転換服務の形態で服務している。代替服務が導入されれば、代替服務申請者が既存の転換服務である義務消防員の一部に代わると予想される。矯正業務は、炊事、物品補給など矯正職員支援業務を、国・公立病院では看病など業務補助を、社会福祉施設では認知症高齢者の生活支援と障害者の治療支援などを担うことになる。国防部当局者は「これらの分野の機関を訪問し実態調査した結果、消防と矯正分野では労働力難などを理由に代替服務配置を概して歓迎している反面、病院と社会福祉施設では彼らが患者を対象に布教する可能性があり、また専門資格が不十分などを理由に否定的な意見が多かった」と話した。

 しかし、最近キム・ハゴン自由韓国党議員らが発議して論議を起こした地雷除去作業への投入など、軍内非戦闘分野に服務することになる可能性は排除された。国防部当局者は「良心的兵役拒否者を相手に調査した結果、『軍隊業務を直・間接的に支援する仕事をしないようにしてほしい』という意見だった。憲法裁判所の決定趣旨により、彼らの意見を尊重することが正しい」と話した。別の当局者は「執銃さえしなければ、軍隊に行くことができるのではないかという意見があるが、実際には軍で銃を執らなければ、文字通りの『安楽職務』である場合が大部分だ。また、地雷除去作業に投じる方案も議論されたが、彼らがこれに対してどんな専門性があるかも確認せずに投じることは難しい」と話した。

 服務形態は、合宿勤務を原則とするものの一部通勤が例外的に許されると見通した。例外なく合宿勤務をする場合、現役兵との公平性確保の次元で肯定的だ。イ・チョルヒ、イ・ジョンミョン議員らが発議した法案も合宿勤務を規定していて、国家人権委も合宿勤務を勧告した。しかし、現実的に消防・矯正分野では合宿施設が準備されているが、病院や社会福祉施設ではない所もある。国防部当局者は「新たに合宿施設を用意するには財政所要が発生する点などを考慮して、一部で通勤勤務の許容が避けられないこともある」と話した。パク・ジュミン、チョン・ヘチョル、キム・ジュンノ、イ・ヨンジュ議員らが提出した法案は出退勤を許容している。

■2020年1月施行が目標

 政府は、今月初めに国防部、法務部、兵務庁が共に参加する代替服務実務推進団を構成し、多様な方案を議論してきており、今月末までに実務推進団次元の代替服務案を用意する予定だ。国防部当局者は「今月末に実務推進団が草案を出せば、これを基礎に多様な意見を取りまとめ、9月末までに政府案を確定し国会に提出する計画」と話した。

 代替服務制が施行されるには、国会の立法過程を経なければならない。まず政府は兵役法5条が規定した兵役の種類に「代替服務役」を追加する改正案を国会に提出する方針だ。また、国会には代替服務と関連した議員立法案が現在4件上程されている。政府案が9月末に提出されれば、これらの議員立法案と共に国会で審議手続きを踏むことになると見られる。国防部当局者は「遅くとも来年上半期までに国会で立法手続きが完了すれば、下半期には代替役審査委員会の構成など、行政的に必要な準備をしたうえで、2020年1月から代替服務制が実施されうるだろう」と話した。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/858726.html韓国語原文入力:2018-08-22 20:02
訳J.S

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