慶尚南道地域ではこれまで9回にわたって「イスラム阻止連合祈祷集会」が開かれた。信者らが祈祷集会を伝えるために作ったパンフレットには、慶尚南道の主要都市のムスリムの現況と「イスラム撲滅に向けた祈祷文」が載っている。慶尚南道地域でこの祈祷集会を主導してきた教会は、23日に開かれた大邱(テグ)クィア文化祭に反対する「レアル・ラブ・バス」に乗った人たちの所属教会と重なる。韓国の保守キリスト教勢力は最近、反同性愛と反難民で結集している。
去年発足した「同性愛・同性婚を認める改憲に反対する国民連合」という団体は、全国的な活動を展開しており、同性愛のフェスティバルが開かれる度に人を集めて反対デモを行っている。韓国の同性愛反対運動は当初、大型教会を中心に「同性愛の合法化に反対する署名」などにとどまっていたが、最近は外部団体を設立し、直接行動に乗り出す信者たちが増えている。忠清南道人権条例守護共同行動委員長のウ・サムヨル牧師は「保護者連合や軍人団体などクィア文化祭や人権条例に反対する団体を見ると、一般の市民団体の看板を掲げているが、ほとんど内容や人脈からして保守キリスト教勢力と軌を一にしている。保守キリスト教会が宗教の名ではなく、市民団体の名のもとで教会の外に出ている」と話した。
しかし、性的マイノリティの弾圧と難民反対を掲げて教会が人々を集めることに対し、教会の中でも「教勢の弱体化や教会の不正などを隠すために外部の敵を作っている」という批判の声も上がっている。聖公会のザアカイ神父は「以前は北朝鮮追従の左派という色分け論で保守キリスト教の問題点を隠し、内部の団結を図っていた。最近の韓国のキリスト教は性的マイノリティとムスリムの移住労働者たちを仮想敵と見なしている。敵とする対象が変わっただけで、自分たちの問題を依然として他人を非難することで覆い隠している」と声を高めた。多数の教団が一部キリスト教勢力に振り回されている現象についても、批判の声が高まっている。キム・ヒョンワン人権政策研究所長は「実際、牧師たちのほとんどは事実関係をよく確認せず、教会コミュニティで広がる偽ニュースを見て、かなり誤解している」と指摘した。「差別禁止法が施行されれば、牧師が性的マイノリティを批判するだけで逮捕される」とか、「性的マイノリティが原因で国民の医療費負担が多くなる」などが、キム所長が紹介した代表的な偽ニュースの事例だ。彼は「以前、反北朝鮮攻勢に乗り出していた政治権力と結託した一部の教会勢力らが、今は急進的なフェミニストや同性愛、難民などに対して嫌悪を煽っている。彼らが作り出した論理が全体教団を扇動している」と話した。
実際、キリスト教の性的マイノリティに対する嫌悪は、教団のレベルへと広がっているかたちだ。韓国で最も大きなキリスト教団の大韓イエス教長老会統合は6月5日、同性愛者やその支持者は牧師資格試験の受験を制限することを決めた。昨年には2番目に信者が多いイエス教長老会合同で「同性愛者や同性愛擁護者は7校の神学大学への入学を認めない」との決定を下し、違憲か否かをめぐり議論になった。