ドナルド・トランプ米大統領が9日(現地時間)、ホワイトハウスの閣僚会議で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との首脳会談時期と朝米接触の事実を言及したことで、朝米首脳会談が本格的に軌道に乗るもようだ。これまでは、ホワイトハウスが公式的に朝米協議の時期や事前接触の事実を確認せず、その背景に注目が集まってきた。
同日、トランプ大統領が発言の中で「双方が相当な尊重を示すだろう」と述べたことの意味は大きいと言える。「相互尊重」は首脳会談に必要な最も基本的な要素であり、トランプ大統領の言及は、朝米双方が数回の水面下の接触を通じて、すでに一定の信頼を構築したことを示すものと見られる。これにより、朝米首脳会談でトランプ大統領がいかなるレベルで北朝鮮の体制や金正恩政権を認める発言をするかに、関心が集まっている。
トランプ大統領が「過去とは異なる両国関係」に対する期待を言及したことで、首脳会談以降、朝米間の関係正常化を模索するための具体的なビジョンを提示するかにも注目が集まっている。トランプ大統領が「非核化に対する合意」を望んでいることを明らかにしたことから、朝米接触で北朝鮮が少なくとも原則的には非核化への意志を明らかにしたものと推定される。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は「北朝鮮が水面下の接触で、米国が考えるレベルの非核化に向けた立場を表明したものとみられる」とし、「具体的な非核化の方法は定かではないが、(朝米が)最終目標には同意したと確信したからこそ、トランプ大統領がそのような発言をしたのだろう」と話した。キム・ヨンチョル仁済大学教授は「ある程度首脳会談で成果をあげられる方向に向けて、(朝米が)接近していると思われる」と分析した。
これに先立ち、米国のマスコミは8日、朝米首脳会談に向けて、金委員長が朝鮮半島の非核化について協議する準備ができたことを米国に伝えたと、米政府高官を引用して報じた。ただし、非核化に向けた初の措置の内容をめぐっては、朝米首脳会談まで熾烈な綱引きが予想される。
さらに、トランプ大統領が直接、朝米接触の事実と「5月か6月初め」という首脳会談の時期を公開したことで、一部のワシントンの専門家らが提起した「会談の延期論」も収まるものと予想される。トランプ大統領の同日の発言で、首脳会談の準備に向けた朝米接触もさらに活気を帯びるものとみられる。チョ首席研究委員は「ボルトン新任国家安保補佐官が出席した初の閣僚会議で話したのは意味がある」とし、「朝米首脳会談は既成事実化し、ボルトン氏には異論を立てず、実務的に取り組むよう求めたもの」だと解釈した。
しかし、外交部の朝鮮半島平和交渉本部長を務めたウィ・ソンラク元ロシア大使は、トランプ大統領の発言と関連し、「これまで(朝米)接触があったということを前提に、(会談)時期が具体化されたこと以外、非核化など残りの部分には特別な意味はないものと見られる。(トランプ大統領特有の)世論作りであり広報」だとして、拡大解釈を警戒した。