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[記者手帳]宗教者への課税の議論はなぜいつも後退するのか

登録:2017-12-23 00:53 修正:2017-12-23 09:05
宗教者への課税//ハンギョレ新聞社

 「建国後、租税体系が整備されて以来、宗教者に対して課税する画期的な転換が来年起こるのです」

 キム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官は21日、政府世宗庁舎で送年記者懇談会を開き、「ホット・ポテト(やっかいな問題)」である宗教者所得課税についてこのように説明しました。来年1月から宗教者への課税をどうやってでも施行することが重要だという話を遠回しに表現したのです。こんにちは、世宗市に常駐しながら企画財政部を取材する経済部政策金融チームのチョン・ウンジュです。

 宗教者への課税は長年の課題です。イ・ナクソン初代国税庁長が1968年に、宗教者に勤労所得税を課すと明らかにしましたが、宗教界の激しい抗議で課税を撤回し、それからちょうど50年ぶりに施行を控えているからです。最近立法を予告した「所得税法施行令」が、公平課税の原則に反するという指摘が出る度に、企財部は「いったん施行して継続的に補完する」と釈明します。ぐずぐずしているとまた国会が、もっと議論が必要だといって“猶予”カードを取り出すのではないかと心配しているようです。

 実際に宗教者への課税は議論を重ねるにつれ後退してきました。政府であれ国会であれ、利害当事者である宗教者の目線に合わせて所得税法と施行令を絶えず修正したからです。2012年当時、パク・ジェワン企画財政部長官が「特別な例外事由を認めるのは難しいのではないか」とし、宗教者への課税施行を公式化し、2013年に所得税法改正案が発議されました。宗教者の所得を勤労所得ではなく、その他の所得(謝礼金)とみなし、80%を必要経費として認め、残りの所得について住民税を含めた22%の税率を適用し、源泉徴収するという内容でした。

5月31日、ソウル通義洞の国政企画諮問委員会の前で市民社会団体が宗教従事者課税の猶予に反対する記者会見を行っている/聯合ニュース

 この政府法案は一般納税者に比べて宗教者の税率が低く、公平性の問題が提起されましたが、国会で宗教者と懇談会を経て、むしろより緩和されました。まず源泉徴収規定を削除し、宗教者が自発的に税金を申告・納付するようにしました。その他の所得に「宗教者所得」という範疇を新設し、「宗教者所得」を「宗教者が宗教儀式を執行するなど宗教者としての活動と関連して宗教団体から受け取った所得」に絞りました。

 「宗教者への課税には三つの方法があります。現行の勤労所得税による方法、その次にその他の所得があり、最後に宗教者課税という項目を作ることです。これら三つはますます宗教者たちに有利に工夫されています」(2015年11月25日、国会企画財政委員会租税小委員会でナ・ソンリン当時セヌリ党議員の発言)

 仏教とカトリックは宗教者への課税を立法することに賛成しましたが、キリスト教は依然として反対していました。宗教者への課税が施行されれば、課税当局が税務調査を通じて宗教団体の帳簿を閲覧できるようになるという理由でした。それでもう一度後退しました。宗教界の意見を反映し、税務当局による宗教団体の帳簿閲覧を宗教者の所得と関連した部分に限定するように法案を変えたのです。宗教団体に対する税務調査を源泉封鎖したわけですが、前例のないことでした。現在炎上している特別恩恵の議論の火種は、その時すでについていたのです。

 政府が11月30日に所得税法施行令を立法予告すると、課税の基本原則である租税の公平性が大きく損なわれたという批判が集中しました。立法予告期間(15日)に寄せられた意見は1万件を超えました。核心は、宗教活動費を非課税所得に追加したことと、宗教団体に対する税務調査はしないということの二つです。非課税所得は食事代(10万ウォン<約1万円>)・研究補助費(20万ウォン<約2万円>)などに制限されましたが、政府は宗教団体が独自の規約などで宗教活動のために使った金だと判断した費用(宗教活動費)も制限を付けずに課税しないと明らかにしました。宗教団体が課税(給料)・非課税(宗教活動費)の所得の範囲を自ら決定できるので、「セルフ納税」というわけです。李洛淵(イ・ナギョン)首相まで出て「国民の目線」に合わせるよう指摘しましたが、企画財政部は宗教活動費に申告義務を付与するとの修正にとどまりました。宗教活動費が露出されれば、途方もなく多くの金額を支給することはないだろうというのが当局の判断ですが、これも納税者の善意に期待する政策であり実効性が落ちます。

チョン・ウンジュ 経済エディター席政策金融チーム記者

 「宗教団体の税務調査排除の原則」は、最初から手もつけられませんでした。すでに3年前、所得税法にこの原則を定めたため、施行令では少しも動かせなかったからです。誤った最初のボタンを再びかけなおす方法は、国会に戻って所得税法を改正することだけです。しかし、これまでの経験から見れば、実現可能性の低い険しい道です。長年の課題を解決することは本当にたやすくありません。

チョン・ウンジュ (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/824761.html韓国語原文入力:2017-12-22 19:46
訳M.C

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