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韓国軍、中止をめぐり問題になっていたM-SAMの量産を決定

登録:2017-11-18 06:18 修正:2017-11-18 08:57
2015年7月迎撃ミサイル「天弓」の品質認証射撃の場面。M-SAMはこの天弓を性能改良し開発した弾道ミサイル迎撃用の中距離地対空ミサイルだ/聯合ニュース

 防衛事業庁は17日、北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃する韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)の核心兵器である中距離地対空ミサイル(M-SAM)の量産を決定した。ソン・ヨンム国防部長官は先月、同事業の見直しを指示して事業中止をめぐり議論になったが、同日の決定でM-SAMは計画通りに量産され、実戦戦力化することになった。

 防衛事業庁は同日、ソン・ヨンム長官主宰で防衛事業推進委員会(委員会)を開いた後、報道資料を発表し「鉄鷹2の性能を改良するための体系について量産を推進することで審議・議決した」と明らかにした。鉄鷹2の性能改良体系は、敵の航空機の迎撃ミサイルである「天弓」を性能改良する形で開発した弾道ミサイル迎撃用のM-SAMを指す。

 防衛事業庁は「現在の安保状況と戦力化の時期を考慮し、今年12月(契約に)着手する予定」だとし、「鉄鷹2の性能改良体系が戦力化されれば、弾道弾の脅威に対し、パトリオットなど他の防空兵器体系と連携して対弾道弾多層防御網が強化されるだろう」と説明した。防衛事業庁はM-SAM量産を来年末から始める計画であり、量産と共に戦略化も進められる。

 M-SAMは防衛産業企業のLIGネクスウォンが国内技術で開発した迎撃ミサイルだ。約20キロの高度で敵の弾道ミサイルに直接衝突し破壊する直撃型(Hit-to-Kill)迎撃ミサイルで、パトリオットや長距離地対空ミサイル(L-SAM)、在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)体系などと重畳防御網を形成することになる。

 これに先立ち、先月30日、国会国防委員会所属のキム・ジョンデ議員(正義党)は、ソン長官が最近、同事業の見直しを指示したと主張し、国防部も当時「攻勢的な作戦概念を具現化するための戦力増強の所要と優先順位を検討している段階」だとし、M-SAMの再検討を示唆した。ソン長官が防御型から攻撃的にミサイル運用概念を変え、米海軍と日本の海上自衛隊で運用中の艦対空ミサイルのSM-3の導入を念頭に置いているものと見られていた。しかし、SM-3を装着できる次期イージス艦(広開土-3 Batch-2)が2023年以降に導入されるだけでなく、海軍が保有するイージス駆逐艦(7600トン級)3隻のうち実際の作戦に投入される艦は1隻に過ぎず、効率性が落ちるという指摘もあった。

 M-SAMと共にソン長官の再検討指示で議論になった北朝鮮の弾道ミサイルの探知・追跡用弾道弾早期警報レーダーの購入計画も同日(委員会で)議決された。防衛事業庁は「(弾頭弾早期警報レーダー)戦力化の時期や経済性などを考慮し、海外から購入することを決定し、今年後半に入札公告を出す予定」だと明らかにした。

 同委員会はさらに、今年5月、上部フレームから欠陥が見つかり量産が中止されていた国産スリオン(KUH-1)ヘリコプターの後続量産も同日、決定した。スリオンの量産事業は陸軍のUH-1H、500MDなど老朽化したヘリに代わり、空中強襲撃作戦や指揮統制、航空・捜索偵察、人員と物資の空輸などの戦闘支援用に運用するため、韓国型機動ヘリコプターを確保する事業だ。韓国航空宇宙産業(KAI)で、年末までに90台を納品する計画だったが、今年5月、ヘリコプター左側上部フレームに微細なひびが発見され、約60台が納入されてから一時中断された。今年7月、監査院は防衛事業庁が2015年10月~2016年3月米国で進めた体系結氷性能試験で、スリオンが101項目のうち29項目で基準を満たせなかったという監査結果を発表した。

 防衛事業庁は「今回、防衛事業推進員会では最終的に電力化と体系結氷解消能力の立証を並行して推進することで審議・議決した」とし、「スリオン改造費用および安全管理対策の構築など、監査院の監査結果を最大限受け入れて措置を行っている」と明らかにした。

パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/819607.html 韓国語原文入力:2017-11-17 21:43
訳H.J(1939字)

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