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「再開発で土地が安価に収用」…米国人が韓米FTAを根拠に初のISD提訴の意向

登録:2017-10-25 07:07 修正:2017-10-25 07:52
S氏が先月7日に提出したISD仲裁意向書の1ページめのコピー//ハンギョレ新聞社

 都市再開発の過程で、自分が投資した土地が収用されたのは韓米自由貿易協定(FTA)違反だとして、ある米国人が韓国政府に韓米FTA協定文上の投資者-国家訴訟制(ISD)を活用して訴訟を起こす意思を明らかにした。

 24日、政府によると、米国市民権者であるS氏は先月7日、自分が所有した不動産が違法に収用されたとし、法務部に投資者-国家訴訟制の仲裁意向書を提出した。仲裁意向書の提出は、投資者が国家との紛争を公式に提起するために経なければならない事前手続きであり、仲裁を申し立てるという意思を書面で通知するものだ。受付の90日後から実際に仲裁提起が可能になる。韓米FTAを根拠に韓国政府にISD仲裁意向書が提起されたのは今回が初めてだ。

 2013年に米国市民権を取得したS氏は2001年、夫のP氏と一緒に共同名義でソウル麻浦区の住宅および土地188平方メートルを3億3千万ウォン(約3300万円、1ドル=1千ウォン)で買い入れた。S氏と夫のP氏の持分の比率は76対24で、夫のP氏はいまも韓国国籍者だ。2016年に麻浦区はS氏が保有していた土地を含む地域一帯を再開発地区に指定し、土地収用の手続きに入った。土地収用委員会の調整を経て、S氏夫婦が保有した土地は8億5千万ウォン(約8500万円)で収用された。S氏はこのように決まった金額が市場取引価値にはるかに及ばないとして反発し、国内法に基づいて先ず訴訟を提起したが、今年1月、ソウル西部地方裁判所はこれを受け入れなかった。

 これに対してS氏は、米ワシントンにある国際法律事務所を通じて韓米FTA協定文上の関連条項(第11.15条)を挙げ、改めて異議提起に乗り出したものとみられる。協定文11条は、「公共目的▽非差別的な方式▽迅速かつ適切で効果的な補償支払いを除いては、当事国が適用対象の投資を直接あるいは間接的に収用できない。この義務に違反した場合、紛争当事者が協議・交渉を通じて解決されないと判断すれば、国際投資紛争解決センターや国連国際貿易法委員会に公式に仲裁訴訟を提起することができる」と定めている。先月7日に提出した仲裁意向書でS氏は「麻浦区とソウル市、大韓民国の韓米FTA規定違反で数十億ウォン程度の被害を受けている。この問題を拡大する意思があり、もし協議と交渉で解決されなければ、韓米FTA協定文11条に基づき、被害補償を要求する仲裁訴訟を提起する意思がある」と明らかにした。S氏はまた、自分の被害額が200万ドル以上にのぼると主張した。これによって今後90日間以内に被害補償をめぐる協議で妥結できなければ、S氏は仲裁訴訟を起こすものとみられる。

 韓国政府は2006年、韓米FTA交渉の過程で、土地収用と関連した紛争は投資者-国家訴訟制ではなく国内司法手続きで解決することを提案したが、米国から断られている。間接収用の例外事由に入れようとしたが、米国の反対で拒否されたのだ。政府側は「収用自体は適法な手続きによって行われた」と明らかにした。政府は「国務調整室と企画財政部、外交部、産業通商資源部、国土交通部など関係省庁が合同対応体系を構成し積極的に対応しており、今後行われる手続きにも最善を尽くして取り組む」と明らかにした。

チョ・ゲワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/815863.html 韓国語原文入力:2017-10-24 20:54
訳M.C(1664字)

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