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政治に足を引っ張られる韓中通貨スワップ

登録:2017-10-11 00:13 修正:2017-10-11 16:17
イ・ジュヨル韓国銀行総裁とキム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 「政治・外交的な原因で通貨スワップを巡る協議が中止されたことは遺憾だ」

 今年1月6日、企画財政部は韓日通貨スワップ(Swap・交換)の延長に向けた協議が中断された直後、このように短く立場を発表した。日本政府は駐釜山(プサン)日本総領事館前の「少女像」設置に反発し、同協定を解除した。この事件は「経済・金融協力は政治・外交の軋轢とは関係なく継続されるべき」という韓国政府の期待が、厳しい国際秩序の前でははかない望みだったことを確認させた。韓国と中国が数カ月間にわたり進めている通貨スワップの延長協議も、政治・外交に足を引っ張られている格好だ。

 イ・ジュヨル韓銀総裁は10日、出勤途中に会った記者団に「まだ全てが完結されたわけではない。既存の協定が満了する前に完了すればよりよいが、そうはいかないかもしれない」と明らかにした。その後、韓銀と企財部は共同資料で「中国と引き続き協議中なので、現時点で具体的な事項を確認することはできない」と発表した。

韓国の通貨スワップ対決の現況//ハンギョレ新聞社

 中国との今回の協議過程はかなり異例な状況を迎えている。2014年に一度協定を延長した際に定めた期限は2017年10月10日午前零時だ。協定の期限まで中国政府はそろばんの玉を弾いているような姿を見せている。韓国の通貨当局は、既存の協定が期限を迎えれば、スワップ契約が“解除”となるのかどうかも説明できなかった。ある通貨当局の関係者は「(既存の契約)解除になるかどうかまで、すべて含めて協議を進めている」としただけだ。

 政府と韓銀、いずれも固く口を閉ざしているが、通貨当局ではこのような状況がTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備をめぐって韓中の間に冷ややかな雰囲気が流れたことから始まったと見ている。匿名希望のある企画財政部幹部は「両国の経済ラインの間ではある程度の共感が形成されており、(中国の)政治的決定を待っている」と話した。韓銀のある関係者も「(中国の中央銀行である)人民銀行は韓国とは異なり公務員で構成され、政府組織に含まれている。協定を最終妥結するためには、韓国の国務会議に当たる国務院(の決定)を経なければならないが、まだその段階まで進んでいない」と話した。中国政府の“政務的判断”が韓中通貨スワップの延長協議に最終的に終止符を打つことになるということだ。これについて、大統領府も慎重な態度を示しているが、両国の経済的利害関係があるため、韓中通貨スワップの延長には問題がないものと見ているようだ。

 同協定の期限延長、あるいは解除後に再契約を行うかどうかの影響も、経済的レベルではなく外交的懸案と見なければならないという意見も少なくない。慶煕大学国際大学院のパク・ポギョン教授は「韓国は経常収支黒字が続いており、外貨保有高も多い方だ。通貨スワップ協定が解除されても、実際、為替市場が衝撃を受ける可能性が低い」としたうえで、「この協定が延長されなくても、韓国が負うべき負担は小さい」と話した。実際、韓中通貨スワップは、人民元を米ドルやユーロ同様の「安全通貨」として定着させようとする中国の中長期戦略を背景に締結されたため、2008年金融危機当時、外貨安全弁の構築に重点をおいて締結された韓米通貨スワップとは質的に異なると評価されている。また、他の企財部の高官も「中国との通貨スワップ契約が延長されれば、韓中間の緊張が多少緩和されるモメンタムとして市場が受け止めるかもしれないが、協議がうまくいかない場合は、両国間の軋轢の深化と解釈され、経済主体の心理が悪化する余地がある。ただし、韓国の対外信頼度や外国為替市場に影響を与える事案ではない」と話した。

 一方、中国商務省国際貿易経済協力研究院国際市場研究所の白明副所長は、10日付の「環球時報」とのインタビューで、「中国はすでに30カ国以上と通貨スワップ協定を結んでいるが、実際使われる場合は少なく、現在、中韓両国の経済状況では協定を稼動する必要がない」と話した。

キム・ギョンラク、ノ・ヒョンウン、キム・ボヒョプ記者、北京/キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/813923.html 韓国語原文入力:2017-10-10 21:03
訳H.J(1993字)

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