北朝鮮の6回目の核実験関連の懸案報告のため、4日に召集された国会国防委員会全体会議では、ソン・ヨンム国防部長官の「戦術核配備の検討」発言が問題になった。大統領府が「戦術核の配備は検討対象ではない」という立場を示しているだけに、与野党の議員らはソン長官を何度も問い詰めたが、質疑・回答が繰り返されるうちに、戦術核配備を「いくつかの代案の一つとして検討する」という彼の所信はさらに明確になった。
ソン長官の「戦術核の配備」発言は、国民の党のキム・ドンチョル議員が「中国が対北朝鮮制裁に消極的な態度で臨んでいるのに、韓国には経済制裁を課するのは、私たちが中国・ロシア・北朝鮮にいかなる対応カードも持っていないため」とし、「戦術核の再配備が中国の圧迫に対抗する私たちの唯一のカードではないか」と質問した後に出た。ソン長官は「一つの代案になりうるが、深く検討してみなければならない」と答えた。これに先立ち、先月30日、ソン長官が米国でジェームズ・マティス国防長官との会談で、戦術核の再配備について話し合ったという報道に対し、ソン長官は「国内世論を伝えただけで、配備について言及したことはい」と釈明した。
政府の基調とは異なり、ソン長官が戦術核の配備を“代案”として取り上げたことに対し、自由韓国党のチョン・ジンソク議員は「戦術核の再配備を深く検討するということで間違いないですね」と重ねて確認を要請しており、ソン長官は「すべての事案を含めて検討するということ」だと答えた。
これを受けて、国防委員会の与党幹事を務める共に民主党のイ・チョルヒ議員は朴槿惠(パク・クネ)政権の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備の「検討」が結局、配備として実現された事例を挙げ、「政府内で共有されていないものを突然取り上げてしまうと、混乱があるかのように受け止められるかもしれない」とし、“整理された答弁”を要求した。しかし、ソン長官は「公式的に検討するということではなく、複数の代案の一つとして一度検討してみるということだ。(北朝鮮の)核が重大な懸案となっているだけに、長官としてあらゆる代案について検討してみるということ」だと答え、戦術核の再配備に向けた所信を明らかにした。自由党のイ・ジョンミョン議員が「国防安保の第1人者として、必要ならば、反対意見があっても戦術核の再配備の主張などを大統領に建議すべきではないか」と訊くと、ソン長官は「そうですね。昨日の(NSC)会議でも統一部長官は対話に重点を置いており、私は国防に対する責任を背負ったものとして、(大統領府に)無理な要求もしている」と確答した。
ソン長官は、北朝鮮の核弾頭の小型化・軽量化に対する判断をめぐっても、混乱を招いた。「北朝鮮が今回の6回目の核実験で500キロ以下の小型化・軽量化に成功したと見てもいいか」という共に民主党のキム・ジンピョ議員の質疑に、ソン長官は「私たちはそう推定している」、「(弾頭が)ICBM(大陸間弾道ミサイル)に入れることができると判断した」と答えた。北朝鮮の核弾頭技術が最終段階に迫っていることを認めた答弁だ。この発言に対しても、共に民主党のイ・チョルヒ議員が「それが水爆で、大きさからしてICBMに搭載するほどの重さということなのか、それとも形からして大きさが(ICBMの)中に入るぐらいということなのか」と訊くと、ソン長官は「後者です」と答えた。国防部は国防委全体会議が終わった後、報道官室を通じて「公開された核弾頭が模型なのか実体なのかは確認ができず、もし実物なら、大きさからしてICBMへの搭載が可能だろうという趣旨だった」という釈明資料を発表し、ソン長官の発言の釈明に追われた。
一方、同日の国会情報委員会で、国家情報院は今回の北朝鮮核実験が咸鏡北道吉州郡(キルジュグン)豊渓里(プンゲリ)にある2200メートルの高さの萬塔山(マンタプサン)の2番坑道で行われたと明らかにした。国情院はまた、北朝鮮の主張どおり水爆なのかについても「米国と共に分析中」と報告した。