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[ニュース分析]「日本上空通過」北ミサイル、狙いは3点

登録:2017-08-29 22:00 修正:2018-06-15 07:27
北朝鮮のミサイルが日本上空を通過した29日、東京で市民が安倍晋三首相の記者会見を放映しているテレビの前を歩いている=東京/EPA聯合ニュース

 北朝鮮が29日午前5時58分、日本上空を通過する弾道ミサイルを発射した。日本政府は、北朝鮮のミサイルがこの日午前6時5分から7分の間に北海道の襟裳岬上空を通過し、6時12分頃に襟裳岬の東1180キロメートルの太平洋上に落下したと発表した。発射地点は平壌(ピョンヤン)近隣の順安(スナン)飛行場で、総飛行距離は2700キロメートルと推定した。安倍晋三首相は、国家安全保障会議(NSC)を主宰した後「我が国上空を通過するミサイルを発射する暴挙はこれまでにない深刻で重大な威嚇」と述べた。

 北朝鮮の今回のミサイル発射は、事前予告もなく日本上空を通過するように撃ったという点で異例だ。日本の防衛省は、北朝鮮のミサイルが事前予告もせずに日本上空を通過したのは、1998年のテポドン1号以来初めてと明らかにした。日本は、今回のミサイルが北朝鮮が「グアム包囲射撃」すると威嚇した中距離弾道ミサイル火星-12型だと推定した。

 北朝鮮が米日同盟を牽制し、グアム周辺海域にミサイルを発射する能力を誇示し、同時に在日米軍も攻撃圏内にあると警告する多目的の布石として「日本上空通過」を選択したと分析されている。日本の小野寺五典防衛相はこの日、記者会見で北朝鮮が発射したミサイルの「最大飛行距離は5000キロメートルで、当然グアムに到達できる種類だ」と述べた。また河野太郎外相は「今まで北朝鮮は彼らなりに挑発してきた。だが(今回は)米国の対応を考慮した北朝鮮がひるんだということはあるのではないか」と話した。北朝鮮がグアム周辺海域に直接ミサイルを発射して米国を刺激することを避けながらも、グアム打撃能力を見せるために東に方向を定めて発射したという意味だ。

 韓東大のキム・ジュンヒョン教授は「グアムではないが朝米間のつばぜり合いでより威嚇的な姿を見せられる場所に日本を選んだようだ。徹底的に考えられた発射だったと見る」と話した。韓国軍関係者は「米軍増援基地攻撃能力を誇示するため」と話した。有事の際に朝鮮半島支援任務を引き受けた日本本土と沖縄の7個の国連司令部後方基地と在日米軍が自分たちの射程圏内にあるという警告メッセージを送ったとのことが軍当局の分析だ。

 北朝鮮の挑発には対話を催促するメッセージがかくされているという解釈もある。早稲田大の李鍾元(リー・ジョンウォン)教授は「米国が対話することができるといいながらも制裁一辺倒であるので、北朝鮮が待ちきれずに行動に出ているようだ」と解釈した。

 安倍首相はこの日、トランプ米大統領と40分間に及ぶ電話会談で「今は北朝鮮と対話する時ではない」と話したと明らかにした。だが、安倍首相が北朝鮮との対話に出る可能性があるという見方もある。今月初め、日刊ゲンダイはフリージャーナリストの田原総一朗氏が安倍首相と食事をして、訪朝など政治生命を賭けた冒険を提案したと報道した。私学スキャンダルなどに包まれ支持率が急落した安倍首相が、危機から抜け出すには外交的成果が必要という意見が政権内部からも出ている。安倍首相は2002年、小泉純一郎首相が訪朝した時に官房副長官として同行したことを契機に政治的に急浮上した。

東京/チョ・ギウォン特派員、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/808816.html韓国語原文入力:2017-08-29 18:58
訳J.S(1607字)

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