日本の防衛省がTHAAD(高高度防衛ミサイル)の導入を保留し、代わりに「イージス・アショア」を導入することにした。
防衛省がイージス艦ミサイル防御システムを陸上に配置する形式であるイージス・アショア配備関連費用を来年度予算に反映することを政府に要求することにしたと朝日新聞が23日、匿名の政府関係者の話を引用して報道した。日本政府の今年の予算には、THAADとイージス・アショアの両方を導入することを念頭に置いた事前調査費用が計上されていた。
だが、防衛省は来年度予算でTHAAD関連予算はなくし、イージス・アショアの導入関連費用のみを入れてほしいと要請する方針だ。防衛省は来月、日本BMD(弾道ミサイル防御システム)としてイージス・アショアが適当という意見を正式に決めると見られると新聞は伝えた。稲田朋美防衛相は来月、ハワイにあるイージス・アショアの実験施設を視察する方案を米国と調整中だ。
防衛省は昨年までTHAADとイージス・アショアの導入を検討してきた。日本の弾道ミサイル防御システムは、これまで海に配置されたイージス艦のSM3ミサイルで大気圏外における1次迎撃を試み、2次的に地上に配置されたパトリオット(PAC-3)ミサイルで大気圏内に進入したミサイルの迎撃を試みるという二段構えの防御システムだった。これに追加で高高度でミサイルを迎撃できる三重の防御システムを備えることを議論してきた。
防衛省が北朝鮮のミサイル防御用に、THAADの代わりイージス・アショア配備に傾いた理由は費用対効果のためだ。
THAADの迎撃半径が200キロメートル程度なのに対して、イージス・アショアに導入予定の迎撃ミサイルSM3ブロック2Aの迎撃半径は1000キロメートルを超えるという。防衛省はTHAAD6基程度の発射台を配備すれば日本全域を防御できるが、イージス・アショアならば発射台2基で可能だと見ている。発射台1基当たりの価格もTHAADは1000億円以上だが、イージス・アショアの発射台1基当たりの価格は800億円程度で済むと見ている。
韓国のTHAADは米軍が配備費用を負担し運用も行う形式だが、日本が導入するイージス・アショアは日本政府が費用を負担し自衛隊が直接運用する。ただし、日本北部の青森と南部の京都に配備されたTHAAD用のエックスバンドレーダーは米軍が運用する。中国が日本のTHAADレーダーに対して強力な報復措置に出ないのには複雑な脈絡がある。韓国に比べて中国大陸との距離が離れており、日本はすでに米国のミサイル防御(MD)システムに編入されていて、両国はTHAAD問題の他にも尖閣諸島(釣魚島)の領有権などをめぐって紛争を行っており、事実上東アジアの覇権をめぐり競争している状況だ。
ある安保専門家は「日本がイージス・アショアに導入しようとしているSM3ブロック2Aは、米国と日本が共同開発する兵器なので、米国が開発したものを輸入するより導入費用が低い。また、海上自衛隊がすでにイージス艦でSM3を運用しているために、運用ノウハウも蓄積されている点も考慮されただろう」と話した。だが、米国と日本が共同開発しているSM3ブロック2Aも性能が完全ではない。NHKは23日、米国が21日にハワイでSM3ブロック2Aによる迎撃実験をしたが、目標物の撃墜に失敗したと伝えた。SM3ブロック2Aの開発は2006年度から進行していて、今年2月の実験では迎撃に成功した。