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有力大統領選挙候補ら「大統領に当選したら保護犬をファースト・ドッグに」

登録:2017-05-06 05:41 修正:2017-05-06 07:33
共に民主党の文在寅候補と正義党の沈相ジョン候補は大統領に当選すれば差別と偏見をなくそうという趣旨で黒い犬「トリ」をファースト・ドッグにする意向を明らかにした=動物権利団体「ケア」提供//ハンギョレ新聞社

 保護犬を新大統領の「ファースト・ドッグ」にしようという動物保護団体とハンギョレの提案に、主要大統領候補が続々と賛同している。5日午後までに文在寅(ムン・ジェイン)、安哲秀(アン・チョルス)、劉承ミン(ユ・スンミン)、沈相ジョン(シム・サンジョン)大統領選候補が保護犬をペットにする意向を明らかにした。

 5日、共に民主党の文在寅候補陣営は、「文候補と家族は『捨て犬の“トリ”を新しい家族として迎え入れる日を楽しみにしており、トリが新しい環境で楽しく暮らせるように配慮する』と伝えた」と発表した。文候補側は「トリは全身が黒い毛で覆われた、いわゆる不細工な犬だ。偏見と差別から自由である権利は人間と動物みんなにあるという哲学と所信で、トリをファースト・ドッグとして受け入れたい」と明らかにした。文候補の家族は豊山犬の「マル」と「カム」、猫の「チンチンイ」と「ムンチ」を飼っているなど、ペットに特別な愛情を持っていることで知られる。

 ファースト・ドッグ(first dog)は大統領の家族と共に生きる伴侶犬を指す。米国では、フランクリン・ルーズベルト大統領の「ファラ」やオバマ大統領の「ボー」と「サニー」などがマスコミのスポットライトを受け、国民に親近感を与えた。大統領選挙を控えて繰り広げられる今回のキャンペーンは、新大統領が保護犬をファースト・ドッグとして迎え入れることで、生命の尊重と動物保護の意味を拡散しようという趣旨で進められている。

 「ケア」、「動物自由連帯」、「カラ」などの動物団体とハンギョレは黒い毛色のためになかなか新しい飼い主が現れない「トリ」や、食用として屠殺される直前に救助されたミックス犬(珍島犬との雑種)「ポクナム」、飼い主に放置されて後足を噛む癖を持つ「後ろ足」などの話を紹介し、保護犬の受け入れを提案した。

共に民主党の文在寅候補が先月15日、ソウル上岩洞にあるドッグランでペット政策について話している=動物保護市民団体「カラ」提供//ハンギョレ新聞社

国民の党の安哲秀候補が先月30日、動物保護団体「カラ」を訪問し、保護犬の世話をしている=共同取材団//ハンギョレ新聞社
正義党の沈相ジョン候補が3月19日、京畿道高陽市捨て犬保護センターを訪れ、ボランティア活動を行った=正義党提供//ハンギョレ新聞社

 正義党の沈相ジョン候補は4日、個人事情によりすぐには受け入れられないが、大統領に当選されれば人間とペットが共存する大統領府を作るという立場を伝えてきた。沈候補は「(動物団体が推薦した)3匹とも飼いたいが、1匹だけを選択すべきなら、毛の色が黒いという理由で新しい飼い主が現れないというトリを選びたい」と話した。沈候補は「違いは認めるが、差別してはならないという点をペットにも適用すべきだと思う」と付け加えた。沈候補キャンプの関係者は「沈候補は以前から保護犬をファースト・ドッグにすべきだと思っていた」と説明した。

 正しい政党の劉承ミン候補はハンギョレに何度も問い合わせ、今回の提案を最も慎重に悩んだ候補だった。10年以上育てていたヨークシャー・テリアの「チンア」が死んだ後に経験した悲しさのため、今回のキャンペーン参加を快く決められなかったが、「大統領に当選したら、保護犬をファースト・ドッグとして向かい入れ、共に生活したい」という最終的な立場を、今月3日に伝えてきた。

 チンアは2003年、劉候補の娘である劉ダムさんが医大生の従兄と共に連れてきた手術実験用の犬だった。高齢になり、歩いているうちに突然壁に頭をぶつけるなど、健康状態が悪化し、2014年に死んだ。キャンプ関係者は「チンアを思い続ける劉候補に『他の犬を飼ってみたらどうか』と提案したが、チンアに義理が立たないとして反対された」という夫人のオ・ソンヘ氏(58)の話を伝えた。劉候補のカカオトークのプロフィールにはまだチンアの写真が飾られており、劉候補は選挙遊説で子犬を見る度に、先に近づいて抱きしめる。

正しい政党の劉承ミン候補が伴侶犬「チンア」と共に撮った写真=劉承ミン提供//ハンギョレ新聞社

 国民の党の安哲秀候補も先月30日、動物保護市民団体「カラ」を訪問して「当選すれば、保護犬を飼う。(国民に)その姿を見せることで、大切な命が尊重される社会にしたい」と明らかにした。自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補側は5日午後まで立場を示していない。

 捨て犬「トリ」を保護している動物権利団体「ケア」のパク・ソヨン代表は「人にはペットが人生の一部だろうが、ペットにとっては人が人生の全てだ。家族として迎え入れるように真心と責任感、一生を共にする覚悟を持たなければならない」として、トリについて一般市民と同じ飼い主選びの審査手続きを進めると明らかにした。パク代表はまた、「犬の食用禁止に向けた公約をお願いすると共に、黒い犬トリを抱えて大韓民国のあらゆる差別と偏見をなくすことを期待する」と付け加えた。

 これまで韓国ではファースト・ドッグが大統領当選者の意思と関係なく、一方的に“プレゼント”されており、大統領退任後は、ほとんどが動物園や種犬場に送られる状況に直面した。今回のキャンペーンには、このような弊害を事前に防止し、市民たちがファースト・ドッグを推薦して一緒に面倒を見ようという意味を込めた。「カラ」のチョン・ジンギョン理事は「(ペットの)受け入れは家族を迎え入れること」だとし、「うれしい時や悲しい時、犬が老けてみすぼらしくなったり、走ってきて歓迎できなくなっても、生命が尽きる日まで本当の家族になってほしい」と要請した。

 動物自由連帯のチョ・ヒギョン代表は「候補たちが政治的効果を期待して受諾するよりは、それぞれの現状を明らかにして、慎重に迎え入れの意向を示した点も非常に印象的だった。各候補の動物公約の真摯さをうかがえる機会になるだろう」と話した。

ナム・ジョンヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/793549.html 韓国語原文入力:2017-05-05 22:05
訳H.J(2860字)

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