龍山(ヨンサン)米軍基地周辺の地下水からベンゼンと全石油系炭化水素などの汚染物質が基準値の500倍以上検出された。ソウル市が2004年から年間5億ウォン(約5000万円)余りの費用をかけて浄化しているが、基地内部の調査が不可能であり汚染源を源泉除去できず、毎年汚染された地下水が検出されている。これに対し、ソウル市と環境団体は環境部が3回実施した基地内部の調査結果を公開するよう要求した。
ソウル市はソウルの地下鉄6号線緑莎坪(ノクサピョン)駅とキャンプ・キム(南営(ナムヨン)駅と三角地(サムガクチ)駅の間、基地内部)周辺で、浄化の基準より500倍以上高い濃度のベンゼンと石油系炭化水素が検出されたと19日発表した。ソウル市が3月4日から今月16日まで韓国農漁村公社に委任して調査した分析結果によると、緑莎坪駅周辺の地下水からはベンゼンが最高8.811ミリグラム/リットルで、基準値の0.015ミリグラム/リットルの587倍の汚染が検出された。キャンプ・キムの周辺では全石油系炭化水素が最高768.7ミリグラム/リットル検出されているが、これは基準値である1.5ミリグラム/リットルの512倍に当たる。
緑莎坪駅周辺のベンゼンとキャンプ・キム周辺の全石油系炭化水素など、龍山米軍基地周辺の汚染物質は毎年基準値の数百倍から数千倍が検出されている。ソウル市が2004年以降、地下水をくみ上げる方式で汚染物質の浄化に取り組んでいるが、基地内部の汚染源を除去できないため、毎年汚染物質が検出されている。ソウル市は2014年までにかかった浄化費用72億ウォンについては、政府を相手に損害賠償訴訟を通じて回収した。現行の韓米駐屯軍地位協定(SOFA)によれば米軍に環境汚染の責任を取らせることは不可能だ。
ソウル市と環境団体は、米軍基地内部の調査をしている政府が調査結果を公開し、浄化計画を樹立することを要求した。ソウル市水循環政策課のチョン・ヨンファン主務官は「最近環境部を訪問し、基地内部調査の結果と後続措置を建議したが、何の反応もない。敷地返還が来年末なので汚染源解決計画と用地管理策を樹立しなければならないが、政府は少しも動かない」と話した。環境部は昨年5月から今年8月まで3回韓国環境公団に調査を依頼し、龍山基地内部の汚染調査を完了したが、資料を公開していない。ハンギョレも今月初めに関連調査結果に対する情報公開を請求したが、非公開だという返事を受けた。
一方今月14日、緑色連合と民主社会のための弁護士会が環境部長官を相手取って起こした龍山米軍基地の調査結果情報公開拒否処分取消し訴訟で、ソウル高等裁判所は情報を公開せよと1審と同様に原告勝訴判決を下した。裁判部は「龍山米軍基地の土地汚染と同じ事案が公論の場で議論されている過程そのものが、実質的に国益に役立つ生産的な結論の導出に寄与する可能性もある」と指摘した。