24~26日、ラオス・ビエンチャンで行われたアセアン地域安保フォーラム(ARF)などアセアン関連の外相会議は、南北や米国、中国など北東アジアの主な関係国が直面した外交の現実と親疎関係を如実にあらわした。これに日本とロシアを加えると、6カ国協議の関係国当事国すべてがそろった構図が完成する。今回の会議は、南シナ海問題と北朝鮮の核問題、在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)配備の決定が問題になっているなかで開かれ、今後の北東アジア情勢を見極める試金石と考えられてきた。ビエンチャンで繰り広げられた北東アジア関連国による「外交戦争」の様相はいかなるものであろうか。
■韓国、外交受難時代の到来
在韓米軍へのTHAAD配備の決定をめぐる対立が、韓国外交にとって災いになりかねないことが今回の会議でまず確認された。中国の王毅・外交部長が韓国を冷遇する一方で北朝鮮を歓待したのは、韓国外交が乗り越えねばならない「受難の時代」を予告している。国内外のマスコミの関心が「北朝鮮核問題への対応」より「THAADをめぐる議論」に大きく傾いた事実が、先行きの指標と言える。北朝鮮の4回目の核実験以降、対北朝鮮制裁に対する国際社会の公論がすでに形成されたにもかかわらず、ユン・ビョンセ外交部長官はARF議長声明の北朝鮮核兵器関連の文言が前より後退するのではないか心配している。何よりも中国政府が「在韓米軍へのTHAAD配備」に最後まで反対し、対応行動に乗り出す場合、これといった対応策がないという点が韓国外交の険しい道のりを予告している。
■北朝鮮、「隙間攻略」で孤立からの脱出を模索
リ・ヨンホ北朝鮮外相は会議期間中、余裕を見せていた。国連安保理決議2270号などで国際的孤立が深まっている北朝鮮の外交責任者らしからぬ態度だ。「願ってもない」状況のおかげだ。南シナ海問題で米日と中国が、THAAD問題で韓米日と朝中ロがにらみ合う前線が徐々に明らかになっているからだ。その対峙が鋭ければ鋭い程、北朝鮮制裁に対する国際協力の亀裂は避けられず、北朝鮮外交の活動の幅が広がる余地が生まれる。中朝両国は昨年のARFでは外相会談を開けなかっただけでなく、4回目の核実験で関係がさらに冷え込んでいたが、今回の会議を通じて回復の兆しが見え始めたことが明らかになった。中国の歓待に応えるかのように、リ外相は「米国はアジア太平洋地域の海上紛争問題にも勝手に割り込んで地域の情勢をより複雑にしている」として、南シナ海紛争で確実に中国側に立った。
■中国、ワナにかかった龍のもがき
今回の会議期間、最も注目された人は王毅部長だった。しかし、彼は余裕のある攻撃者ではなく、切迫した守備者に転落していた。米国が仕掛けた罠にかかった「龍」(中国)のもがきは凄絶なものだった。フィリピンなどを前面に出した米国の南シナ海領有権争いの攻勢に対抗すると同時に、韓国を前面に出した「在韓米軍へのTHAAD配備」という米国の北東アジアのミサイル防衛(MD)網の前進配置の試みも阻止しなければならなかったからだ。
中国外交が直面したジレンマは深くて難解なものだ。王毅部長は韓国を冷遇し、北朝鮮を歓待する「外交デモ」を繰り広げる間にも、「核抑止力の強化」を叫ぶ北朝鮮に対し、「朝鮮半島非核化3原則」を重ねて強調した。韓国に「THAAD配備推進の中断」を圧迫しながらも、韓国が日米同盟の下位パートナーとして完全に組み込まれる「不祥事」は防がなければならなかった。王毅部長は岸田文雄・日本外相との会談では南シナ海問題で激しい口論を繰り広げたにもかかわらず、韓中日3国首脳会議の開催問題を協議するため、韓中日3国外相会議を8月に開催することを求めた日本の提案を受け入れた。しかも、中国は、習近平・国家主席の「外交指導力」を誇示する舞台である9月の主要20カ国(G20)首脳会議の成功的な開催のためには、韓米日の「協力」が必要だ。今回の会議期間中のリ部長の行動が、一見自己分裂的に見えたのも、そのためだ。
■米国、危険な攻撃者
王毅部長が切迫した守備者だとすれば、ジョン・ケリー米国務長官は余裕のある攻撃者だった。南シナ海の領有権争いや北朝鮮の核問題、THAADという3大懸案のいずれもが「米国の攻撃と中国の守備」の構図の中にある。ケリー長官はユン長官との両国会談で年内に「2+2(外交・国防)」長官会議の開催を合意し、韓米同盟をグローバル化する協力案を協議することにした。ケリー長官は27日、フィリピンのロドゥリゴ・ドゥテルテ大統領に会い、国際仲裁裁判所(PCA)の判決(12日)以降、南シナ海における領有権争いの対処案を調整した。フィリピンは南シナ海問題で中国を提訴した当事国だ。一連の行動の「標的」は中国だ。ケリー長官は25日、ARF外相会議の公式歓迎晩餐会で、北朝鮮のリ・ヨンホ外相の両側に座っていたパキスタンとパプアニューギニアの外相とはあいさつを交わしたが、リ外相は見向きもしなかった。「北朝鮮には関心がない」という外交ジェスチャーだ。
韓国語原文入力: 2016-07-27 21:33