発電所、セメント工場、焼却場などを含めた全国の事業所が、粒子状物質の排出許容基準もなく管理されている。粒子の大きさが2.5㎛(マイクロメーター、100万分の1メートル)以下のPM2.5(微小粒子状物質)の全国発生量の55%が発電所と事業所から発生するという環境部の説明からして、政府の粒子状物質の管理には大きな抜け穴がある。
環境部は3日発表した「粒子状物質の管理特別対策」で事業場の粒子状物質を減らすため、首都圏以外の地域で排出許容基準を強化すると明らかにした。事業場の粒子状物質を減らすため排出許容基準を強化するとした発表は、事業場に粒子状物質の排出許容基準を適用したかのように聞こえる。
しかし、大気環境保全法によると、環境部は事業場に対して粒子状物質の排出許容基準を定めず、施設別に10㎎(ミリグラム、1000分の1グラム)/トン以下から70㎎/トン以下までの“粉塵”排出許容基準だけで運営してきた。長さが0.001㎛から500㎛に及ぶ粉塵で、大きなものは粒子状物質のPM10や微小粒子状物質のPM2.5の数十、数百倍の大きさになる。
ガラス製品製造、電気炉、塗装施設などに適用される現在の粉塵排出許容基準値はトン当たり50㎎。50㎎は5万㎍(マイクログラム、100万分の1グラム)に当たり、PM2.5の24時間の環境基準(50㎍/トン)の微小粒子状物質の重さの1000倍になる。環境部は事業場の煙突から出される粉塵の大きさを考慮せず、すべて捕集して水分を除去した後、重さを計って排出許容基準が遵守されたか判断している。粒子状物質を別途に基準としていないため、排出施設の異常などで国民の健康保護のための環境基準の数百倍を超える高濃度の粒子状物質が排出されても問題にならない。粒子状物質より最大で数十、数百倍重い粉塵まで考慮した排出許容基準が設定され、基準値を容易に充足できる状況下で、追加費用のかかる粒子状物質の削減を個々の事業場に期待するのは難しいというのが専門家らの説明だ。
環境部関係者は「粒子状物質の排出許容基準を設定するのは、測定技術と管理、事業所の環境など様々な問題があり容易ではないと聞いている」と話した。この説明は、先進国の事例を無視したものだ。米国ではすでに、1990年から粒子状物質のPM10を基準に排出規制を行っている。規制により各事業場は、粒子状物質ができる限り排出されないよう工程を管理したり、排出許容基準を満たせる大気汚染防止施設を設置するなどの方法で規制に対応している。
キム・ドンスル大気環境学会顧問(慶煕大環境工学科教授)は「粒子状物質の大きさと比較すれば、500㎛の大きさの粉塵規制はほとんどざる法も同然」とし、「環境基準と排出規制は、経済水準に合わせて適切に立案されねばならないが、およそ30年間、粒子状物質でなく粉塵だけを規制してきたのは、無責任な規制管理の実情を端的に示している」と話した。
韓国語原文入力:2016-06-28 23:50