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[コラム] 安倍首相が柔軟?

登録:2015-04-23 22:56 修正:2015-04-24 09:29
安倍首相が22日、インドネシアのジャカルタで開かれたバンドン会議60周年記念アジア・アフリカ首脳会議で演説している //ハンギョレ新聞社

「歴史を単純に善悪の二元論でかたづけることができるのか。当時の私にとって、それは素朴な疑問だった」(安倍晋三首相の自叙伝『美しい国へ』から)

 26日から始まる安倍晋三首相の訪米を控え、彼の歴史認識に対する憂慮が深まっている。 安倍首相は29日の米国上下両院演説と8月に出すという安倍談話のひな形が盛り込まれると予想された22日のバンドン会議60周年演説でも、「植民支配に対する痛切な反省」という1995年村山談話の中心となる表現に言及しなかった。 おそらく彼のこのような歴史認識が変わることはないだろう。

 安倍首相は歴史修正主義者なのだろうか? これに対する質問を受ければ「そうだ」と答える他ない。

 安倍首相が2006年に最初の執権を控えて出した自叙伝的な著書『美しい国へ』を読むと、日本の過去の侵略の歴史に対する彼なりの見解が率直に記述されている。 本の中で彼は「列強がアフリカ、アジアの植民地を既得権化するなか、マスコミを含め民意の多くは軍部を支持していたのではないか。歴史というのは、善悪で割り切れるような、そう単純なものではない」という認識を示した。当時の軍部の行動は“侵略”ではなく、歴史的状況を考える時、日本だけを無条件に“悪”と非難することはできないという主張と読み取れる。

 彼はこのような認識に基づいて2012年8月、自民党総裁選挙に出馬して産経新聞とのインタビューで日本の3大歴史関連談話である1982年の宮沢談話(教科書記述に周辺国配慮)、1993年河野談話(慰安婦動員過程の強制性認定)、1995年村山談話(侵略と植民支配謝罪)を「全て修正する必要がある」と述べた。

 実際、彼は2012年12月に再び首相になった後、小中学校の教科書に「独島(日本名・竹島)は日本の固有領土であり、韓国が不法占拠している」という内容を盛り込み宮沢談話を傷つけ、昨年2月には河野談話を検証し大きな傷を残したのに加え、8月の安倍談話では村山談話の核心となる「植民支配と侵略」「痛切な反省」「心からの謝罪」等の表現を除去する見込みだ。 そのために彼は2013年4月の参議院予算委員会で「侵略には決まった定義はない」という認識を明らかにし、その年の12月には靖国神社参拝を強行した。 昨年2月の衆議院予算委員会では「植民支配と侵略の部分の継承を明確に話してほしい」という岡田克也民主党議員(現代表)の四回にわたる執拗な要求にもついに自身の口ではこの部分について明確に言及しなかった。

 ここまでは誰もが知っていることだ。このような歴史修正主義者を相手に私たちはどんな関係結ぶことを試みなければならないだろうか。

 言葉が通じそうにない安倍首相にも突き抜けられない壁がある。安倍首相はともかく今も「河野談話と村山談話を全体的に継承する」と言っている。 そのため今月初めに発表された中学校教科書検定で河野談話は生き残ることができた。 歴史修正主義者である安倍首相でも、国益のためには渋々ながらでも自身の信念を曲げることもあるということだ。

キル・ユンヒョン東京特派員//ハンギョレ新聞社

 安倍首相のこのような“相対的な柔軟さ”は、韓国外交を少なからず悩ませている。インドネシア、ジャカルタでの中日首脳会談が開かれた22日当日には、会談成功のために日本の閣僚が靖国神社を1人も参拝しなかった。 バンドン会議60周年記念演説には巧妙に“侵略”という表現も入れた。 習近平中国国家主席はこのような点を全て考えて5カ月ぶりに首脳会談に臨んだことだろう。 韓国は歴史問題に対しては中国と一体になって熱心に努力していると考えたが、振り返って見れば誰もいない。孤立無援だ。

キル・ユンヒョン東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/688172.html 韓国語原文入力:2015-04-23 18:33
訳J.S(1693字)

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