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韓国政府が推進する「医療輸出」、外国人患者の60%は大型病院に集中

登録:2015-04-05 23:34 修正:2015-04-06 15:33
医療機関類型別の外国人患者誘致実態。 資料:経済正義実践市民連合「国内医療機関外国人患者誘致実態分析結果」 //ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政権が国政課題として推進中の医療輸出の恩恵が、一部の大型病院と専門病・医院にのみ集中し、医療機関間の「富益富、貧益貧」(両極化)現象を深化させるという批判が医療界内外から出ている。 政府は一部の“繁盛する”医療機関を前面に掲げて短期的医療輸出の成果展示に執着するのでなく、医療界全般の競争力強化に努力しなければならないと指摘される。

 韓国政府が2009年に新成長動力事業に選んだ医療輸出は、量的には一定の成長を見せた。医療輸出のうち“顕著な成果”を上げた部門は、医療機関の国外進出よる外国人患者の誘致だ。 韓国を訪れる外国人患者数は2009年の6万人水準から2013年には21万人となり4年間で3.5倍増加し、昨年は25万人(暫定値)規模に増えた。

 この動きに鼓舞された保健福祉部は昨年2月、「2020年外国人患者100万人誘致のためのクォンタムジャンプ(一大跳躍)元年」を宣言し、一部の国家と患者送り出しに関する了解覚書を結ぶなど民間医療機関を支援している。 福祉部がソウル・梨泰院(イテウォン)に開設した「中東保健医療協力支援センター」もその一つで、ここは韓国内の医療機関と外国人患者間の橋渡しを行い、滞留ビザ、交通、宿泊など関連情報を提供している。

2013年 21万人が医療目的で来韓 4年で3.5倍
ごく少数の大型医療機関“一人占め”
病医院の5%だけが“外国人患者誘致”
それも整形・美容観光客に過ぎず
「医療環境 不均衡の改善努力が必要」
医療界内外「短期成果に執着」批判

 問題は外国人患者が訪れる医療機関が、大型病院や整形外科・皮膚科などの専門特化病医院に制限されているという点だ。 ある総合病院関係者は5日「外国人患者が極めて多く来ているかのように政府やマスコミは大げさに騒ぐが、外国人患者の誘致は“ビッグ5病院”と呼ばれるごく少数の大型病院と特化した医療技術を備えた一部の専門病医院だけで可能な話」として「大多数の中小医療機関は外国人患者誘致熱風とは何の関連もない」と指摘した。

 実際、経済正義実践市民連合(経実連)が昨年12月に出した「国内医療機関外国人患者誘致実態分析結果」報告書によれば、2013年に韓国を訪れた外国人患者21万人のうち13万人は“総合病院”以上の大型医療機関(205カ所)を訪れた。 特に43カ所に過ぎない上級総合病院が7万7738人の外国人患者を受け付けた。 医療機関のうち、病床数100床以上ならば総合病院、30床以上100床未満なら病院、30床未満なら医院に分類される。 上級総合病院は福祉部長官が指定した一部の総合病院をいう。

 一方、健康保険公団の健康保険統計によれば2013年の国内全体医療機関数は6万463カ所だ。 医療機関全体の0.5%にもならない総合病院など大型医療機関が韓国を訪れる外国人患者の60%以上を占めたということになる。 規模の小さい医院に目を向けても「富益富、貧益貧」の結果は同様に現れている。

 2013年に外国人患者を誘致するため福祉部に登録された医院(歯科・漢方医院を除く)は1348カ所で、医院全体(2万8271カ所)の5%に過ぎない。 医院級の医療機関を訪れる外国人患者のうち、相当数は韓国の整形外科・皮膚科などを訪れる中国の整形・美容観光客だ。

 大韓医師協会関係者は「政府が地域間医療水準の格差など、国内医療環境の不均衡改善のための努力はほとんどせずに“成果広報”中心の医療輸出一辺倒政策を今後も続けるならば、医療を産業的側面でのみ利用しているという批判を受けるだろう」と指摘した。

 福祉部関係者は「外国人患者が医療サービスの質が高い大型病院などに集中しているのは事実だ。しかし、外国人患者が韓国内に入ってくれば単純に診療収益だけが創出されるのでなく、航空および交通、宿泊、飲食業に至るまで国内経済に及ぼす周辺効果が大きいという点を共に考慮する必要がある」と話した。

チェ・ソンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://hani.co.kr/arti/society/health/685574.html 韓国語原文入力:2015-04-05 20:41
訳J.S(1832字)

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