政府が油と重金属などで汚染された釜山の米国防省物資リサイクル流通事業基地(DRMO)と東豆川(トンドゥチョン)のキャンプ・キャッスルの在韓米軍基地2カ所を、米側の環境汚染浄化責任を問わず返還させることで合意したことが明らかになり、反発が起きるものとみられる。 環境団体側では残りの基地返還交渉の中断を要求する声まで出ている。
2006年の調査でDRMOは全体の40%に及ぶ1万3760平方メートルが、キャンプ・キャッスルは全体の42%に当たる6万6330平方メートルが重金属を含む油類成分で汚染されていることが確認され、韓国側が天文学的な汚染浄化費用を負担しなければならない。 2010年に返還された釜山のハヤリア基地では1396平方メートルの汚染浄化だけで143億ウォンかかった。
外交部関係者は12日「2カ所の基地返還問題に結論が出ている状況で、(SOFA/韓米駐屯軍地位協定)合同委員長が文書に署名・交換する手続きだけが残っている」と明らかにした。
返還交渉の最大争点である環境汚染浄化と関連して、政府関係者は行政手続きが残っているという理由で口を閉ざしている。 だが、ある政府関係者は合意内容に対して「批判があるだろう」と語り、米側に国内法にともなう浄化責任を負担させられず返還に合意したことを示唆した。 また別の政府関係者は「今回の件は土地の返還を受けて使わなければならない機関から早くしてくれという要求がとても強かった」と述べた。地方自治体の要求に従って、基地の早い返還を受けるために環境汚染浄化問題について米国側に譲歩したと言わんばかりの発言だ。
新政治民主連合ウ・ウォンシク議員は「2カ所の基地を米軍側の汚染浄化を経ない返還で合意したとすれば、政府が2007年に23カ所の米軍基地を汚染浄化せずに返還された後に米軍側と交渉して用意した『共同環境評価手続書』(JEAP)も何の意味もなくなる」とし「今後行われる龍山(ヨンサン)基地返還交渉にも不利な先例になるだろう」と指摘した。
在韓米軍基地返還交渉を追跡してきた緑色連合ソ・ジェチョル専門委員は「米国側に環境汚染浄化責任を負わせることが基本的に不可能な現行SOFAが改正されない限り、基地返還交渉は中断しなければならない」と述べた。