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群雄割拠のリビアがISの新たな拠点になる

登録:2015-02-18 00:30 修正:2015-02-18 07:51
イスラム スンニ派極端主義武装団体であるイスラム国家(IS)に忠誠を尽くすという「トリポリ地区イスラム国家グループ」に所属する武装隊員がリビア トリポリの海岸でエジプトのキリスト教徒であるコプト正教教徒たちをひざまずかせている。この写真は15日「トリポリ地区イスラム国家グループ」がコプト教徒たちを集団斬首したとし公開したビデオ映像からキャプチャーしたもの。 トリポリ/ロイター連合ニュース

 内戦の泥沼に陥るリビアが、イラクとシリアの本拠地を越えてイスラム国(IS)の初の外部占領地にされる憂慮が高まっている。春秋戦国時代を彷彿させるような武装集団の名分無き内戦がイスラム国の勢力拡張に土台を提供しているためだ。

 シシ エジプト大統領は16日「リビアで起こっていることは国際平和と安保に対する脅威」とし、国際社会のリビア介入を促した。 これに先立ってエジプト軍はこの日明け方、リビアでイスラム国家の根拠地として知られるテルナの訓練場と武器貯蔵所を爆撃した。 前日リビアのイスラム国家勢力がエジプトのキリスト教徒であるコプト教徒を斬首したことに対する報復だ。

 イラクとシリアに拠点を築いたイスラム国が、イスラム圏全域に勢力を拡散しているという分析は昨日今日の話ではない。だが、今のところは現地で同調勢力を確保している程度であり、現地情勢を左右する勢力としては登場していない。 だが、エジプトのコプト教徒の処刑などを契機にリビアでイスラム国の急成長の兆しを見せている。

 リビアはカダフィ政権崩壊以後、事実上の無政府状態が続いている。 形式上の政府さえも二つあり、互いに自らの正統性を主張している。 一方は2012年の選挙を通じて成立したトリポリ政府だ。 総国民会議(GNC)として知られる議会によって成立したこの政府はムスリム兄弟団が支配していて、カダフィ政府を倒した中心武装勢力であるミスラタの有力軍閥と提携している。

 しかし昨年夏に行われた選挙で、世俗主義的民族主義勢力が掌握した議会が成立した。 国際社会はこの議会が合法的正統性を持つとして承認した。 だが、総国民会議はこれを拒否し、新議会勢力をトリポリから追い出した。 新議会勢力はトブルクに留まり、トリポリ空港と石油施設を攻撃し全面的内戦を引き起こした。

 このような状況でイスラム国家勢力がリビアにいつ潜入したかは正確には不明だ。 シリアで活動中のイスラム国の一部隊の隊員がリビアにイスラム国家支部を設立したという分析がある。 昨年12月、米軍はイスラム国がリビア東部に訓練基地を建てた証拠があると明らかにした。

 昨年下半期からテルナがイスラム国のリビア内根拠地に浮上した。 テルナの一部武装勢力がイスラム国に対する忠誠を誓い、市内で行進と集会を行った。 イスラム国のカリフ(後継者)を自称する指導者アブー・バクル・アル・バグダーディーも彼らの忠誠の誓いを歓迎した。その後、テルナでイスラム国を自称する勢力の行進と集会が数回行われたが、この都市が彼らによって掌握された形跡はまだない。

 だが、リビアの別の地域でもイスラム国の活動は明確に感知されている。 今年1月、トリポリ中心街のコリンシアホテル攻撃事件は、イスラム国がリビアで行った本格的なテロ攻撃と評価される。 イスラム国はこの攻撃が自分たちの行動だと明らかにしたが、トリポリ政府はトブルク勢力の仕業だと主張し、イスラム国の勢力拡散を許している。

 約1700の武装集団が乱立しているリビアの内戦状況自体が、イスラム国が成長する最適な条件だ。 ドングリの背くらべのような泥仕合状況で、イスラム国というブランドは勢力拡張に役立つ道具だ。 ベンガジに根拠地を置く強硬イスラム主義武装集団であるアンサール・アル・シャリーアはイスラム国のライバル集団だ。 だが、最近勢力が弱まり、その隊員がイスラム国側に大挙して移ったと伝えられる。

 シリアとイラクでイスラム国家が成長したパターンがリビアでも再現されるという分析だ。 内戦に疲れた住民や群小武装勢力が状況をコントロールしてくれそうに見える力の強い側に投降する現象だ。

チョン・ウイギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/678933.html 韓国語原文入力:2015/02/17 20:02
訳J.S(1983字)

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