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[コラム] 金正恩暗殺とハッキングの対決

登録:2014-12-24 19:56 修正:2014-12-25 06:21

「戦争は始まるだろう」と書かれた北朝鮮のミサイルとタンクが登場する野暮ったい映画ポスターを前に「誰がこんな映画を見るんだ」と思ったのは数か月前のことだった。 観客の心に迫る映画とは思えなかった。

 金正恩北朝鮮労働党第1書記の暗殺を素材にしたその映画『インタビュー』は今世界を揺るがしている。 製作会社であるアメリカのソニーピクチャーズのコンピュータシステムがハッキングされ、ハッカーのテロ威嚇により映画の上映は取り消しされた後、米連邦捜査局(FBI)は北朝鮮の犯行であると名指し、ついにバラク・オバマ大統領が直接北朝鮮に向けて「比例的対応」に乗り出すと公言した直後、北朝鮮のインターネット サイトが二日間麻痺した。 一波から万波が生じるバタフライ効果だ。

 金正恩第1書記にインタビューすることになったアメリカのトークショー司会者と演出家が米中央情報局(CIA)の指令を受けて金正恩暗殺に乗り出すというこの映画は、当初どうということのないB級コメディ映画として幕を下ろす可能性が高く見えた。「ものすごくつまらない『サタデーナイト ライブ』(アメリカのトークショー)に肛門に対するばかばかしい執着、麻薬と芸能界に関連した冗談、低俗な対話を追加すればこの映画になる」(ウォールストリート ジャーナル)、「4400万ドルもの予算がどこに使われたのか分からない退屈な画面」(ニューヨーク タイムズ)などの酷評が続いた。

 特筆すべきこともない映画を世界で最も有名な映画にしたのは“最高尊厳”を過度に意識した北朝鮮の過剰対応だった。 今年6月に予告篇が公開されると北朝鮮外務省スポークスマンは「我々の最高指導者に対する攻撃を描写した映画を上映する行為には断固として無慈悲な対応をとる」と話し、チャ・ソンナム国連駐在北朝鮮大使は「主権国家の現職国家元首の暗殺を扱ったこのような映画を作って配給することは露骨なテロであり戦争行為」と非難する書簡をパン・ギムン国連事務総長に送った。

 下着だけを着て登場する喜び組、乗って行ったヘリコプターがミサイルに当たり金正恩第1書記の顔が燃える場面が登場するこの映画は、北朝鮮の立場としては耐えがたいだろう。ハリウッド映画で北朝鮮はたびたび悪党として描写されたが、指導者の“暗殺”を直接登場させたのは初めてだ。

 その行間には、北朝鮮嫌悪と“政権交替”への欲望もちらつく。 この映画の監督・主演であるセス・ローガンは『ローリングストーンズ』とのインタビューで「この映画の海賊版が北朝鮮に流れて行き革命を起こすかも知れない」と話した。 右派のシンクタンクであるランド研究所の安保アナリストであるブルース・ベネットがソニーピクチャーズの最高経営者マイケル・リントンに送ったEメールで、金正恩暗殺場面の強度を下げるなとして「韓国で実際にこのような構想(金正恩暗殺の試み)を始めさせることもあり得るし、DVDが北朝鮮に流れて行って北朝鮮でもこのような構想が始まることを願う」と助言した内容がハッキングされて公開された。

パク・ミンヒ国際部長//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮は「米国が根拠もなく我々がハッキングの背後勢力だと名指しした」と反発しているが、北朝鮮が数か月間この映画を猛烈に非難したのに続きハッキングと上映取り消し事態が起きると、米国国内内では「北朝鮮の独裁者が米国を検閲している」「北朝鮮が我々の言論の自由を侵害した」という非難世論が急速に広がった。北朝鮮の人権問題が主要国際イシューになった状況で、北朝鮮に対する反感と「表現の自由」論議が重なり、米国と韓国でせっかく起きていた北朝鮮との対話の動きは行き詰ってしまった。

 対北朝鮮強硬派は声を高め、ソニーはクリスマスにまず約300の劇場でこの映画を上映することにした。 韓国の自由北韓運動連合などは、この映画を録画したDVDビラを北朝鮮に飛ばすという。 再びビラ事態が朝鮮半島を危うくする勢いだ。 金正恩暗殺映画では北朝鮮の核も北朝鮮の人権問題も解決はできない。 コメディが恐怖映画になる前に、外交と対話がより一層切実になった。

パク・ミンヒ国際部長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/670601.html 韓国語原文入力:2014/12/24 18:27
訳J.S(1856字)

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