「国家施設打撃模擬=暴力を主張」と憲法裁判断下したが
イ・ソクキ裁判2審では「内乱陰謀無罪」
イ・ソクキなど、個別の行為を根拠に解散
「過剰禁止原則」違反の可能性
政権を握る可能性も低いことから「現実的脅威」になるのかも疑問
世界の憲法裁判機関会議体であるベニス委員会が憲法裁判所に統合進歩党解散決定文の提出を公式に要請したことについて、憲法裁判所の今回の決定がベニス委員会の「政党解散5大基準」を満たしているのかを巡って議論が続いている。政党解散が政党活動の自由という政治的基本権を極端に制限する措置であることから、ベニス委員会は政党解散基準を非常に厳しく規定している。
ベニス委員会の「5大基準」は1999年12月に採択された「政党の禁止と解散と類似措置に関する指針」を圧縮したものである。その内容は、1)いかなる国も国内法のみに基づいていた制限を加えることはできない、2)例外措置として、その行使には極度の自制が求められ、民主的憲法秩序の転覆を目的とした暴力の使用、または使用の主張がなければならない、3)党員による個別の行為に対する責任を政党全体に問うことはできない、4)比例性の原則に基づいて決定されなければならず、より緩和された措置で危険を予防できる場合は政党解散の決定を下してはならない、5)現実的な脅威が存在するという十分な証拠に基づき、司法的な判断を経て決定されなければならないなどである。
最も議論になる部分は、2)の基準のように統合進歩党が憲法秩序の転覆のために暴力を使用したか、あるいはそれを主張したかどうかだ。憲法裁判所はイ・ソクキ元議員が主導したアールオー(RO・革命組織)で銃器奪取と国家主要施設の打撃などの謀議が行われたため「暴力の使用を主張」に当たると判断した。しかし、統合進歩党側はイ・ソクキ内乱陰謀事件の裁判がまだ終わっていないこと、政党解散審判請求の主要な根拠となった「内乱陰謀」について2審で無罪を宣告されたことなどを挙げ、憲法裁判所の決定の不当性を主張する。キム・ソンテク高麗大学校法学専門大学院教授も「政党解散の決定は、憲法的判断だけでは決められず、事実判断と法律判断が必ず先行しなければならない。裁判所の内乱陰謀事件判決が確定する前に、憲法裁が決定を下したのは、司法秩序を乱す行為」だと述べた。
アールオーの論議の内容が「暴力の使用を主張」に当たるとしても、党員数10万人を超える大衆政党を一部の党員の行為を理由に解散することが正当なのかをめぐっても双方の主張が衝突するが、この問題は3)の基準である「党員による個別行為に対する責任を政党に問うことができない」という規定と関連している。憲法裁判所はアールオーの主催者と参加者が統合進歩党の「主導勢力」という点を挙げ、解散決定の重要な論拠としたのに対し、統合進歩党側は、「主導勢力」という概念自体が過度に恣意的なもので、法理判断の根拠になり得ないと反論する。
4)の基準である「比例性の原則(過剰禁止の原則)」も議論の余地がある。決定文に列挙された統合進歩党の目的と活動が、憲法裁判所の判断のように民主的基本秩序の脅威になるとしても、その脅威の程度が政党解散という「最後の手段」が動員されなければならないほど、実際的であり具体的なものなのかである。キム・ジョンソ培材大学校教授(法学)は、「アールオー参加者たちの行為が暴動陰謀と扇動に当たると仮定しても、彼らの行動が統合進歩党の組織的決定によるものでない限り、個々の党員を刑事処罰するだけで十分である」と述べた。
統合進歩党内部の「従北勢力」の目的と活動が体制に現実的な脅威となり得るのかが「十分な証拠」に基づいて判断されたのかも主要な論争点である。ギム・ソンテク教授は「政党が政権を握り民主的秩序を破壊する現実的な危険性があるのかが重要だが、最近の選挙結果を見ると、統合進歩党が政権を握る可能性は極めて低く、入閣できる状況でもない。憲法裁の決定の最大の問題点は、脅威の現実性を誇張したもの」だと指摘した。
1990年に欧州評議会の傘下に設置された憲法諮問機関であるベニス委員会は、民主主義、人権及び法の支配を擁護するために、各国への憲法的支援、選挙と国民投票の監視、国際的な研究報告などの活動を行っている。今まで50か国に500回以上の憲法諮問を行い、加盟国が59か国にのぼる。韓国は2006年ベニス委員会に参加した。憲法裁の決定に対するベニス委員会の評価は拘束力を持たないが、国際的に定評のある憲法諮問機関であるという点で、ベニス委員会が今回の決定をどのように判断するかによって韓国憲法裁判所の位相と地位に対する評価も自然に出てくるものと思われる。
韓国語原文入力:2014.12.23 20:59