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8年間非正規職の訪問看護師、正規職の道断たれ解雇の危機

登録:2014-12-08 04:03 修正:2014-12-08 13:05
ソウル市九老区の保健所訪問看護師チェ氏が九老洞の基礎生活受給者キム・ジェソンさんの家を訪問して血圧を測っている。チェ氏は大腸癌と肺癌治療を6年受けているキムさんの家を一週間に一度訪ね血圧と血糖を測り運動と献立管理を助ける。チェ・ウリ記者//ハンギョレ新聞社

 30代の女性〇〇氏は、2007年から釜山市のある自治区で訪問看護師として働いている。毎日午前9時まで保健所に出勤し、その日担当する独り暮らしの高齢者や基礎生活受給者、次上位階層、結婚移民者などの健康衰弱階層の名簿をまとめ、10時頃には血圧計や血糖計などの機器を用意し出かけて、午後4時頃まで10余世帯を訪問する。血圧・血糖値は正常であるか、薬はきちんと服用しているか、食事はちゃんと取っているか、白内障などの高齢者疾患の兆しがないかなどをチェックし、患者を指導してから、事務所に戻って6時の退勤までその日の相談内容を整理する。

 〇〇氏のような訪問看護師は全国に約2500人いる。こうした「訪問健康管理事業」は、病院・医院に行っても医師に詳しく相談されにくい健康衰弱階層のため保健福祉部が2007年から始めた事業である。

 〇〇氏は正規職が果たすべき「常時継続的な業務」を行っているのに、毎年区と期間制労働契約を更新した。今年で8回目だ。 2007年施行された期間制法は、2年以上にわたる労働契約は正規職に準ずる無期契約に転換するように義務付けながらも、いくつかの例外を設けた。雇用労働部は、訪問健康管理事業を期間制法上「政府の福祉政策・失業対策などにより仕事を提供している場合」とし、その例外に当たると解釈した。保健福祉部は昨年1月、訪問健康管理事業をはじめ、既存の乳幼児・禁煙クリニックなど17の保健所事業を統合して「統合健康増進事業」に名前を変えた。また、政府は、1年間単位で契約更新が無限に繰り返される訪問看護師の雇用不安問題が浮上すると、彼らが期間制法の例外対象ではないと解釈を変えた。

訪問看護士事業の流れ。//ハンギョレ新聞社

 保健福祉部健康政策課ハ・ジン事務官は5日『ハンギョレ』との通話で、「2013年から雇用された健康増進事業専担の人材は、2年以上勤務すると無期契約職に転換することを、2012年末決定し指針を定め自治体などに通知した」と述べた。

 ところが、釜山市では機張郡(キジャングン)と蓮堤区(ヨンジェグ)が3・9月に訪問看護師らを無期契約職に転換しただけで、残り14の自治区は、先月末から相次いで彼らに解雇予告通知を渡し、「時間制任期制公務員」として採用すると公告した。一日の労働時間を8時間から7時間に減らし1〜2年の契約期間にすることで、公務員年金に加入できない変種非正規職に置き換えるということだ。 「2年間一生懸命に働いたら、2015年からは無期契約職になると思っていた」。〇〇氏は「裏切られたと気分だ」と述べた。

 他の自治体でも状況はあまり変わらない。民主連合労組のイ・ギョンス教育宣伝局長は「自治区は『無期契約職に転換すると訪問看護師が指示に従わないとか、雇用の硬直性が大きくなる』と言いながら、政府のガイドラインすら守らない」とし「全国的に見ても無期契約職化される人員は30%に止まると思われる」と述べた。

 広域市・道25%、自治区・郡25%と共に残りの50%の事業費を負担する福祉部は無力だ。ハ事務官は、「彼ら(訪問看護師)の雇用者は自治体長なので、福祉部が(雇用形態について)強制することはできない」と述べた。国が福祉・教育などの公共サービスを増やす過程で、非正規職の使用を乱発し後始末もしないことが新たな社会問題となっている。

チョン・ジョンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014/12/07 20:04

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/667904.html  訳H.J(1436字)

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