米国がミサイル防御(MD)システムの一部である高々度ミサイル防御システム(THAAD・サード)の韓国配置と関連して、韓国政府はもちろん中国やロシア政府とも協議を進めていると明らかにした。 米国がサードの韓国配置を既成事実化し、事前の整地作業に乗り出したのではないかと憂慮されている。
ロバート・ワーク米国防副長官は30日(現地時間)、米国外交協会(CFR)の懇談会で「世界の他の場所と同じようにサード砲隊を韓国に配置することも考慮している」として「そのこと(サード配置)が正しいかを決めるために韓国政府と協議している」と話した。 さらにワーク副長官は「中国とロシアには(サードが)戦略的な弾道ミサイル防御体系ではないと強調している。 本質的に(東北アジアの)地域的威嚇に対応するためのもの」であるとし「中国やロシアと引き続き彼らの憂慮を減らすために協議している」と付け加えた。 これまで中国とロシアは探知距離1000キロ内外のサードのX-バンド レーダーが韓国に配置される場合、自国内の軍基地動向がアメリカに広く明らかになることを憂慮して強く反対してきた。 このことから推し量かれば、アメリカは中国とロシアに対する“説得過程”を通じてサードの韓国配置を貫徹しようとしていると見られる。 また、アメリカのこのような動きは韓国政府にも相当な圧迫となる展望だ。 韓国が公式的には曖昧な態度を維持できたのは、中国やロシアの激しい反発が名分として作用した側面も否定できないからだ。
米国これまで北朝鮮による弾道ミサイルの威嚇を前面に出し、朝鮮半島のサード配置を積極的に推進してきた。 特に、カーティス・スカパロッティ韓米連合司令官は今年6月「アメリカ側が(朝鮮半島のサード配置を)推進しており、私もまた個人的に(米軍当局に)サードの展開について要請したことがある」として、サード配置を公論化させた。
韓国政府はサードの韓国配置と関連して「米国側から要請もなく、議論したこともない」という既存の立場を繰り返した。 韓国国防部は1日「米国防総省と協議したことも協議中でもない」と明らかにした。 韓国外交部当局者も「政府の立場は変わっていない。 米国側が先に結論を下し、要請してきてはじめて検討するだろう」と話した。
だが、政府のこのような態度は米政府の決定をひたすら待っているものであり、過度に消極的な対応という批判を避けられない。 韓国の立場としては、サードの軍事的効用性が別に大きくないのに、サード配置によって東北アジア葛藤の渦に引き込まれかねないためだ。 その上、たとえ中国とロシアがサード配置に同意したとしても、北朝鮮の深刻な反発が予想される。