総選挙で社民党、穏健党に勝利
減税・民営化より増税・福祉を選択
極右‘難民縮小’公約で47議席 獲得予想
8年ぶりの‘左派政権’復帰と‘極右政党’の躍進。
14日に行われたスウェーデン総選挙を特徴づける二つの出来事だ。 相反するように見えるこの選択が、今後4年間の北欧福祉大国の政治力学を大きな枠組みで規定することになると見られる。
社会民主党が主導する左派連合は、8年ぶりに政権を取り戻すことになった。 スウェーデン公営放送『SVT』の出口調査の結果を見ると、社民党、緑色党、左派党で構成された左派連合は43.7%を獲得し、39.1%に終わった穏健党主導の執権右派連合を上回ったと外信が伝えた。 議席数に換算すれば、349議席のうち左派連合が160議席、右派連合が142議席を占めると見込まれる。
個別の政党別には、社民党が31%を、穏健党が23.3%を得票すると予想される。 また、反移民公約を前面に掲げた極右スウェーデン民主党が13%を得票し、47議席を占めて第3党になることが明らかになった。 左派指向の新生政党「フェミニスト イニシアチブ」は当初議席確保下限ラインの4%以上の得票を得ると予想されたが、3%台の得票に終わった。
社民党が多数党の座を奪還して内閣の構成権限を持つことになったが、左派連合も安定的過半数の175議席には至らなかった。 このため、左派連合政府が構成されても‘少数連合政府’の脆弱性を示す可能性が高いと外信は見通した。 執権の過程で困難が予想されるが、社民党など左派の再執権はスウェーデン有権者が8年ぶりに減税と福祉縮小、民営化ではなく増税と福祉拡大を選択したことを意味する。
これに先立って、フレデリック・ラインペルト穏健党代表兼総理が率いる右派連合は、2006年総選挙で雇用の創出と減税などを前面に掲げて政権を占めて以来、2期連続で執権した。 2008年には世界経済危機を比較的成功裏に抜け出したという評価も受けた。 この期間に相続税と富裕税などを下げたり廃止するなど相次ぐ減税で、スウェーデンの租税負担率はフランスより低くなり、国内総生産対比で45%台に下がった。 アブソリュート ウォッカ製造業者など公企業を民間に譲渡したのはもちろん、福祉分野にも部分的民営化を導入した。
だがその結果、民営企業が運営する養老院で経費節減のために老人用おむつの重さを計り一定水準を越えるまでは取り替えないなどの福祉後退事例が頻発して有権者の反感が高まった。 国際学業達成度評価順位が経済協力開発機構(OECD)国家の中で8位から28位に下がるなど、教育失敗論議も激しくなった。 何よりも昨年15~24歳の失業率が23.6%に達するなど、青年失業問題が深刻化したことが決定打になった。 社民党はこれに食い込んで、銀行を含む企業と富裕層に対する増税で福祉と教育、働き口創出予算を大幅に膨らませると公約して早期に勝機を捉えた。
極右のスウェーデン民主党が躍進したのもこのような状況と関連が深い。 右派連合は福祉と働き口予算を増やせない主要な理由として、難民急増にともなう予算増加を提示した。 スウェーデンは今年だけでシリアなどから約8万人りの難民を受け入れる予定だ。 民主党は福祉費用が外国人に浪費されているとし、難民数を10分の1に減らすという公約で右派指向票を蚕食し、4年前の5.7%より2倍近い支持を得た。
ジミー・オーケソン民主党代表は出口調査の発表後「我々は今や政界内のキャスティングボードを握る存在になった」として「4年間我々を無視してきた政党らが、今後はそうできないだろう」と気炎を吐いた。 だが、ステファン・レヴェン社民党代表は「87%の有権者は彼らの価値を共有しない」として、極右路線とは妥協しないことを明確にした。