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[専門家たちの意見]セウォル号遺族の要求を「立法権侵害」とするのは曲解

登録:2014-08-25 23:55 修正:2014-08-26 08:30
ソウル大学総学生会、民主化のための教授協議会、民主同門会が25日午後、ソウル冠岳区のソウル大学正門前でセウォル号特別法制定を要求して光化門に向かって街頭行進を始めた。 キム・ソングァン記者 flysg2@hani.co.kr//ハンギョレ新聞社

 膠着状態に陥ったセウォル号特別法問題を解決するため、与野党と遺族が共に参加する‘3者協議体’を作ろうという野党と遺族たちの要求に対し、セヌリ党は25日に‘立法権を侵害する’として受け入れられない意向を明らかにした。 セウォル号事故真相究明のための特別法交渉が始まって以降、遺族と野党が出した種々の要求案は‘法治主義原則から外れる’というセヌリ党の強い反対で常に挫折してきた。 しかし過去の事例と法曹界の解釈からは、このようなセヌリ党の主張は事実ではないという反論が出ている。

■懸案解決にしばしば登場した3者協議体

 与党セヌリ党のキム・ジェウォン首席院内副代表はこの日、記者たちとの懇談会で「遺族が3者協議体に入れば(法案に対する)拒否権・議決権を持つことになるので、これは立法権に直接的に(影響力を)行使する構造となる」として、「(我々がこれを受け入れることは)国会の権限を根こそぎ放棄する自害行為」と話した。 彼は「他の多くの利益集団である民主労総、農民会、全経連、全教組、さらに父母連合までにもそんなことができるのか」と言い、「類例のない惨事であるため特別な待遇をしてほしいという遺族の立場は十分に理解できるが、3者協議体は憲政秩序(次元)で受け入れられない」と主張した。

 しかし、最近も政界では尖鋭的な葛藤を解決するため、政界と当事者が共にする協議会、または協議体を活用してきた。 昨年末の鉄道ストライキの時には、当時国土海洋委員会所属だった与党のキム・ムソン議員は、野党の事務総長であり同じ常任委所属であるパク・キチュン議員と仲裁に乗り出し、キム・ミョンファン鉄道労組委員長と与野党の国土委幹事であったカン・ソクホ、イ・ユンソク議員など5人の名前でストライキ撤回合意文に印鑑を捺した。 与野党と鉄道労組が一堂に額を突き合わせたからこそ可能なことだった。

 2009年にはチュ・ミエ当時民主党議員が、国会環境労働委員長として労働関係法改正のために与野党と経営、労組が共にした8人連席会議を構成し、法案通過を成功させもした。

 ソウル大学法学専門大学院のチョ・グク教授は「今まで社会的葛藤が生じた時、労使政・委員会のように種々の委員会が作られ結論を引き出してきたし、その勧告案が立法の重要な根拠になった」、「今のように国会での議論では一歩も進めない完全に行き詰まった状況で3者が会って、これを議論してみようということが立法権の侵害とは話にもならない」と話した。 また、チョ教授は「もし3者協議体が作られ、何らかの合意案を作り出した場合、法的拘束力がどこまであるのかについては争点になりうるが、政治的合意という点では意味がある」とし、「そこで合意案を作り出し、条文化作業を経て法案にするのはどのみち国会だ」と話した。

■3者協議は決定機構ではなく対話機構

 遺族の意向は3者協議体で‘拒否権’と‘議決権’を持った立法権限を行使するということではなく、対話をしようということなので、立法権侵害論議は成り立たないと遺族側は説明する。 セウォル号犠牲者・失踪者・生存者家族対策委員会の法律代理人であるパク・ジュミン弁護士は「今まで遺族と議論することを野党にだけ任せて、自分たちは後に隠れていた与党に、国政運営の責任者として野党及び遺族たちと共に議論しようと促す」と話した。

 3者協議を通した特別法の制定は、朴槿惠(パク・クネ)大統領も約束でもある。 大韓弁護士協会(大韓弁協)セウォル号特別委スポークスマンであるパク・ジョンウン弁護士は「大統領が『与野党が被害者団体と協議して良い特別法を作りなさい』と話したので、私たちは当然に3者協議体が作られるものと思っていたが、与党は初めから応じなかった」と話した。

 セヌリ党は世論を反映して立法活動をするには‘公聴会’のような機会があると主張している。 しかし、先月2日に大韓弁協が主催したセウォル号特別法公聴会の時、新政治民主連合からはウ・ユングン政策委議長らが参加したが、セヌリ党からは1人も出てこなかった。 セヌリ党は6~7月にセウォル号事故と関連して真相調査と被害補償に関する法律を発議したが、一度も公聴会を開いたことがなかった。 セヌリ党のキム・ムソン代表は先月14日に党代表に当選した後に遺族たちの要請で二度会った。 それも最初の出会いは今月18日に金大中元大統領5周期追悼式が開かれた顕忠院(ヒョンチュンウォン)で遺族たちが詰め寄って面談を要請したために実現した。 同党のイ・ワング院内代表が遺族たちに会ったのはこの日が初めてだ。

■真相究明は自力救済(復讐)には当たらない

 セウォル号事故の真相を究明する特別検事を野党や遺族が推薦したり、推薦過程に参加するという提案を、被害者が直接加害者に復讐する方法であるとして‘司法体系から外れる’と攻撃することにも問題があるという指摘が出ている。 セヌリ党のキム・フェソン法律支援団長はこの日、記者会見を開き、セウォル号事故真相調査委員会に捜査権・起訴権を付与しようという遺族たちの主張に対し、「被害者の立場で加害者を裁いてはならないという自力救済(個人的復讐)を禁じた近代刑事法の基本精神を揺さぶりかねない」として、「実体的真実発見も重要だが、公正性と客観性が毀損されてはならず、それが国民の基本権保障という譲歩できない憲法的価値」と話した。

 これに対してイ・ジョンス延世大学法学専門大学院教授は「自力救済禁止原則というのは、被害者が直接(加害者を懲らしめる)刑罰権を行使しないということ」であり、「遺族が直接捜査するわけでもなく、真相を調査する特別検事を推薦することなのだから何の問題もない」と話した。 イ教授は「それならセウォル号事故に対する政府の責任の部分を捜査する時、行政府の首班である大統領が任命した特別検事が捜査することも自力救済ではないか」として、「捜査の公正性のための社会的合意をどのように引き出すかが重要だろう、違憲云々の話ではない」と言い切った。 イユ・チュヒョン、イ・ギョンミ、キム・ウォンチョル記者 edigna@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/652710.html 韓国語原文入力:2014/08/25 21:13
訳J.S(2982字)

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