法律家でない上に教育すら不十分
部隊の事件を隠ぺい・捏造の可能性も
裁判の公正性・専門性を害するおそれ
軍事裁判で1審を担当している普通軍事裁判所の審判官(裁判長)10人のうち約7人が、裁判経験が全くない初心者であることが分かった。
20日、国会法制司法委員会所属のソ・ギホ正義党議員が軍事裁判所から受け取った資料によれば、国防部と陸海空軍で審判官に任命された530人のうち397人(75%)が、裁判経験を持たない一般将校だった。
師団級以上の部隊に設置される普通軍事裁判所は、軍事裁判所法によって二人の軍判事(軍法務官)と一人の審判官で構成される。審判官は法律家でなくても任命できるようになっており、このような初心者審判官(中佐・大佐)が軍判事(大尉・少佐)より階級が高いので裁判長を務めることになるが、そのために裁判自体が正しく行われない憂慮があるという指摘が多い。
無経歴の審判官の比率は、海軍が153人のうち122人(80%)と最も高く、陸軍が264人のうち195人(74%)、空軍が84人のうち54人(64%)だ。ソ議員は「法律的素養が疑われる審判官が裁判を担当する場合、被告人の憲法上の権利が侵害される恐れがある。また、28師団のユン一等兵死亡事件のように指揮責任のある副師団長が審判官として裁判を行えば、事件の縮小・隠ぺいなど公正な裁判を期待し難い」と指摘した。
ハ・テフン高麗(コリョ)大法学専門大学院教授は「専門家でない人が、しかも、裁判経験もなく指揮官によって任命された人が裁判長を務めるのは、公正性や専門性の面で問題がある。今の軍事裁判所は“ウォンニム裁判”(訳注:ウォンニムは李朝時代の地方長官サト(使道)で、その地域での絶対権力者を意味する)のようだ」と述べた。
イ・ジェウク記者 uk@hani.co.kr