‘ユ・ビョンオン怪談’拡散…無能な検察と警察が自ら招来
ユ・ビョンオン前セモグループ会長の死亡を巡る疑惑が絶えることなく続いている。 疑惑に便乗した各種の陰謀説が流布されている中で、検察と警察がユ前会長の検挙に乗り出した以後の捜査過程で流した不正確な情報が不信を自ら招いているという批判が出ている。
(1)‘20億逃避資金説’の実体は？
順天(スンチョン)警察署が22日のブリーフィングで「外見上、他殺の痕跡は見られない」と明らかにしたが、一部メディアは‘20億ウォン(約2億円)の逃避資金が入ったカバンがユ前会長の遺体があった現場になかった’という理由を挙げて他殺の可能性を提起している。誰かが巨額を引き出すためにユ前会長を殺害したというシナリオだ。
こっそり逃避する高齢の老人が、リンゴ箱2個大のスーツケースを持っていたという点も常識に照らして納得がいかないが、何よりも‘20億ウォン’という金額の出処が不明だ。
‘20億逃避資金説’は検察から出てきた話だ。 検察が5月初めに順天でユ前会長に会い、土地を売ったというＫ氏を調査した結果、Ｋ氏が‘ユ前会長がカバンから現金2億5000万ウォンを取り出して土地代金を支払った’と述べたということだ。 当時検察はユ前会長が現金を取り出したスーツケースがリンゴ箱2個程度の大きさだったとし、この中に現金を満たせば、20億ウォン程度が入るだろうと推定した。
事実上、口座追跡等を通して確認したわけでもなく、カバンの大きさから推し量って推定した金額がユ前会長の‘逃避資金’として特定されて、死亡原因に対する疑いを煽ったわけだ。 また、Ｋ氏がユ前会長に会ったと明らかにした5月初めは、警察と検察が彼を指名手配する以前のことだ。 手配前に会った人の陳述に基づいて逃避資金を推定したことも捜査機関に期待される正確性とはかけ離れている。
(2)焼酎瓶とマッコリ瓶の真実は？
ユ前会長の遺体を発見した場所で、マッコリ1本と焼酎2本が発見されたことも疑問を呼んでいる。 イ・テジョン キリスト教福音浸礼会の一般信者で、福音宣教会臨時スポークスマンが某メディアとの通話で「ユ前会長は絶対に酒を飲まない」として、ユ前会長ではないと明らかにしたためだ。
現時点ではユ前会長は酒を飲まないという事実を裏付ける根拠が、イ・テジョン臨時スポークスマンの話しかない状況だ。 ユ前会長が事実上教祖の役割をしている救援派で、教理が禁じている飲酒をしたという証言が出てくる筈がないのに、警察は当時現場で発見された焼酎瓶とマッコリ瓶からはアルコール分は検出されなかったと説明した。 6月初めに同地域に二回の大雨が降ったという点で、アルコール成分が残っていたかに対する疑問が大きくなった。
ユ前会長が有機農に固執しているので高級ミネラルウォーターしか飲まないというなど、彼を神格化する救援派側の確認されてもいない話に基づいて疑惑を提起する報道も濾過されることなく広がっている。
(3) ‘高級ブランド靴’ワシバ？
順天警察署は22日のブリーフィングで遺体と共に発見された遺留品のうち、靴について‘ワシバ’という高級ブランド靴であることが確認されたと明らかにした。 だが、この日の夜になって「靴 waschbar はブランド名ではなくドイツ語で‘洗濯できる’という意味であると見られ、発見された靴は古く製品名が確認できない靴」と訂正した。
一日中、ユ前会長が着ていたジャンパーのブランド‘ロロピアーナ’とともに、オンラインで‘高級ブランド靴’として紹介されたワシバは、警察の欲のかき過ぎが招いたハプニングに終わった。 死体発見当時には放置しておき、遺伝子検査結果が出た21日になってあたふたと鑑識を行うなど、警察の不十分な捜査のために誤報が量産されたわけだ。
チン・ミョンソン記者 torani＠hani.co.kr
訳J.S(2019字)