警察は6月12日に全羅南道(チョルラナムド)順天(スンチョン)の山で発見された遺体の右手人差し指から採取した指紋が、ユ・ビョンオン元セモグループ会長の指紋と完全に一致したと明らかにした。遺体があった現場では「救援派」の系列会社である製薬会社が作ったスクアレン(肝油)とユ元会長の著書のタイトルが記された布カバンが発見された。
ウ・ヒョンホ順天警察署長は22日午前のブリーフィングで、「昨夜、我々が国立科学捜査研究院の光州(クァンジュ)分院に依頼した遺体の遺伝子が、検察と警察の捜査で確保したユ元会長の遺伝子と一致するという通知を警察庁から受けた」と語り、「遺体の右手人差し指に残っていた指紋とユ元会長の指紋が完全に一致」していたことを明らかにした。
警察が6月12日午前9時6分頃、地元在住のパク氏の通報を受けて順天市西面(ソミョン)鶴口里(ハックリ)の山に出動した時、遺体はすでに80%以上が腐敗した状態だった。このため警察は皮膚組織ではなく大腿部の骨を切断して遺伝子鑑識を依頼した。6月13日に依頼した遺伝子鑑識の結果が今になって出てきたことについて、警察関係者は「骨による遺伝子鑑識の場合、40日以上かかる」と釈明した。
また、当時は遺体の腐敗が激しくて指紋採取が不可能な状況であり、乾燥後に二度にわたり左手の指から指紋を採取しようとしたが失敗したと明らかにした。 警察は21日、警察庁から遺伝子検査の結果を通報された後、右手人差し指に残っていた指紋を発見し、指紋対照作業を経てユ元会長の指紋と一致することを確認した。 警察は「当初の発表とはやや異なるが、遺体の左手指の一部がなかった」と発表した。
一方、警察は発見当時に遺体周辺にはスクアレンとジャンパー、靴、布カバンなどがあったと明らかにした。 警察庁から遺伝子検査結果を通報された警察が、遺留品の鑑識作業を始めた結果、スクアレンは救援派の系列会社である「韓国製薬」製であることが確認された。また、ジャンパーは高価なイタリア製「ロロピアーナ」であり、靴も「ワシバ」という高級ブランド品だったことが明らかになった。
ウ署長は「布カバンに記されていた『夢のような愛』という言葉は、ユ元会長の著書のタイトルだった」と語り、「遺体発見当時、遺留品に対する精密鑑識を行っていながら重要な手掛かりを見落とすなど、初動捜査に問題あった」と認めた。
チン・ミョンソン記者torani@hani.co.kr