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スマートフォン性能、これ以上良くはならない

登録:2014-03-05 17:59 修正:2014-03-06 07:06
今年バルセロナで開かれたMWC会議場に集まった全世界の人々

"スマートフォン スペック競争はもう終わろうとしている" vs "違う。まだハードウェア革新が必要な部分が多い"

 スペイン バルセロナで2月24~27日(現地時間)開かれた世界最大のモバイル展示会‘2014モバイルワールドコングレス(MWC)’の水面下を流れる話題は、まさにハードウェアの発展がどこまで行けるかであった。 現在出ているスマートフォンのハードウェア‘スペック’は1年前と較べても大差がない、停滞状態に近いためだ。 スマートフォンの頭脳であるアプリケーション プロセッサ(AP)は。クアルコムのSnapdragon 800で特別な発展はない。 ギャラクシーS4 LTE-Aに搭載された2.2GHzクアッドコアであるSnapdragon 800は少しだけ性能が改良され2.5GHzの805まで良くなったりはしたが、シングルコア(搭載されたプロセッサ数が1個)からダブルコア(2個),そしてクアッドコア(4個)へと息詰まるように発展したことに比較すれば、その速度は顕著に鈍った。

 ディスプレイも同じだ。 2012年末、最初のFull HDスマートフォンである台湾HTCのバタフライが出現した以後、それより細かい画素数のスマートフォンはまだ登場していない。 寝て起きればハードウェア新技術が登場していた2~3年前と比較すれば、隔世の感がある。 この間、全世界スマートフォン市場1位である三星(サムスン)と中国の駆け出しスマートフォン業者がハードウェア スペックだけでは差別化し難いまでになった。

三星 最新フォン、‘無名’中国産と仕様差なし

 三星の既存最高級スマートフォンであるギャラクシーS4と、中国の新興スマートフォン業者シャオミ(小米科技)のMi3の仕様を比較してみれば、その差は予想よりはるかに小さいことに驚くだろう。 二つともSnapdragon 800とFull HD画面に2GB RAMを使っている。 スペックは似ているがギャラクシーS4の出庫価格が100万ウォンに肉迫する反面、Mi3の販売価格は327ドル(約35万ウォン)に過ぎない。価格が半分にも至らない。 今年のMWCに登場した中国製スマートフォンのスペックも全て似ていた。三星が‘Exynos’という優れた自社生産APと‘スーパーアモールド’というハードウェア スペックで市場を主導した時期はすでに終わってしまったといっても過言ではない。

 このような状況に対する三星電子とLG電子の分析は明確に異なっている。 三星電子のシン・ジョンギュン社長は「ハードウェア競争が終わったという話には同意しない」と断言した。 彼は2月23日(現地時間)に開かれた記者懇談会で「ハードウェアも製品競争力の要素であり、過去を顧みてもソフトウェアの発展があったが、ハードウェアも革新が多かった。明日もハードウェアの革新がある(三星は翌日ギャラクシーS5を公開した)。ハードウェア スペック競争が終わったという話はまだ早い」と話した。 彼は具体的に‘カメラ、バッテリー、ディスプレイ、サウンド’等をハードウェア革新が依然として必要な要素として挙げた。

 だが、LG電子のパク・ジョンソク社長は、もうハードウェア競争は終わったと分析した。 彼は「極めて複雑なゲームをする場合でこそハードウェア差別化に意味がある。 プレミアム市場では(ハードウェアで)技術を先導する余地が大幅に減った」と分析した。 ハードウェアの発展がスマートフォン ユーザーエクスペリエンス(UX)に決定的影響を及ぼす時期は過ぎたという意だ。 彼は「差別化のための差別化、革新のための革新ではなく、顧客が本当に必要とする隠れた要求事項を探し出して提供できること」が結局スマートフォン市場の勝負を決定するだろうと評価した。

 もちろん、両社の現在の状況があまりにも違うだけに、状況分析に差異が生じるのも無理はない。 三星は世界筆頭業者として市場の地図を新しく書き続けなければならない立場だ。 反面、三星とアップルに次ぎ、世界3位(売上高基準)を守るのに汲々としているLGは、もはや全てが似たり寄ったりな状況だと強調することがはるかに有利な立場だ。

ギャラクシーS5 性能革新も‘ゴマ粒’水準

 それでは三星が2月24日‘アンパック’行事を通じて公開したギャラクシーS5に、果たしてハードウェアの革新があったのだろうか。 蓋を開けてみれば、確実にそうでもなかった。 ギャラクシーS5はカメラ性能、指紋認識、心拍センサーなどを追加し‘ゴマ粒のように’ユーザビリティを強化したが、ハードウェア部門で途方もない水準の進歩を見せることはできなかった。 何より画面の画素数が高まらなかったという点はいぶかしく受けとめられている。 昨年末、三星ディスプレイが5.2インチQHDアモールド ディスプレイの量産を始めたと明らかにされ、これがギャラクシーS5に使われるだろうというのが常識として受けとめられていたためだ。 だが、ギャラクシーS5はギャラクシーS4と同じFull HD画面に終わった。 APが何かはまだ明確にされていないが、Snapdragon 800の改良型とExynos Biglittle Octacoreが使われた可能性が高い。 やはりギャラクシーS4に比べて大きく一歩進んだ面はないわけだ。 ただし焦点をはるかに速く捉えられるカメラ、運動効果を測定するのに助けとなる心拍センサー、ロック画面解除はもちろんペイパル決済まで可能な指紋認識機能、防水・防塵機能などを採択してスマートフォン使用者が残念がった機能を大挙採択したことが差別点だった。

 もちろんハードウェアの革新は必要だ。 一度充電すれば一週間程度は持つバッテリー、目がシバシバするほど細かい画面、どんなに重いプログラムでもサクサク動かすAPを願わない人はいない。 だが、それが可能か否かはまた別の問題だ。 なぜハードウェアの発展は次第に鈍っているのだろうか。 バルセロナで会ったある情報技術(IT)業界専門家は 「すべてのハードウェアが現在、物理的限界に到達しているため」と分析した。 例えばディスプレイの場合、画素数が増えれば必然的に画面の明るさが低下せざるをえない弱点がある。 小さい電球はそれだけ光が弱いということを考えれば良い。 結局、小さくても強い光を出せるようにするほかないが、それはディスプレイの寿命を減らす結果を産む。 三星アモールドの場合、バーンイン(Burn-in スマートフォン画面にイメージ残像やむらが残る現象)が早く起きるという弱点を持つことになる。APもまた、20ナノクラス以下になれば、種々の問題が生じざるを得ない。 多くのスマートフォン ユーザーが残念がるバッテリーも同じだ。 現在、最も効率が高いリチウムポリマー バッテリーでは大きさを大きくすること以外には容量を高める方法が殆どない。完全に新しい物質や工程方式が見つかるまでは、ハードウェアの急激な発展は相当期間望めない構造だ。

デザイン・補助機能の改善に注力する見込み

 結局、スマートフォン競争の核心は、デザイン、ユーザーエクスペリエンス(UX),補助機能などへと移る趨勢だ。 LGが‘ノックコード’(スマートフォン画面を指でたたいて画面を点けて、暗号を解除できる機能)ユーザーエクスペリエンス(UX)をあれほど強調し、三星が健康、防水、指紋認識を通したセキュリティー強化などで付加機能を強化していることがその端的な例だ。 今年のMWCアワードに三星が一つの賞も受けられず、台湾HTCの‘one’が最高スマートフォン賞、LGが最も革新的なスマートフォン メーカーに選ばれたことは、スマートフォン メーカー間の競争がまた別の局面に入り込んでいるという信号弾として受けとめられる。

バルセロナ(スペイン)=イ・ヒョンソプ<ハンギョレ>経済部記者 sublee@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/626899.html 韓国語原文入力:2014/03/05 15:36
訳J.S(3494字)

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