本文に移動

‘乗客死亡電車’乗務員 分かってみれば…教育さえまともに受けずに投入された大学生

登録:2013-12-17 10:29 修正:2013-12-18 07:39
国立科学捜査研究院と警察科学捜査隊が16日午後、京畿(キョンギ)の政府果川(クァチョン)庁舎駅で15日に起きた死亡事故現場を調査している。 15日夜9時2分頃、烏耳島(オイド)行き4号線電車に搭乗したキム・某氏が、政府果川庁舎駅で降りる際に乗り場で死亡する事故が発生した。 果川/ニュース1

 コレイルが正規職員でも100時間の安全教育をしなければならない列車車掌業務に、わずか24時間しか教育していない韓国交通大の学生たちを投入していた事実は、乗客の安全を担保にストライキに対処するコレイル側の‘安全不感症’を如実に示している。

 15日夜、京畿(キョンギ)の政府果川(クァチョン)庁舎地下鉄駅で起きた乗客死亡事故もこれと関係があるという指摘が出ている。 事故は夜9時頃、ソウル タンコゲ駅から出発して京畿 烏耳島(オイド)駅へ向かう地下鉄4号線に乗っていた乗客キム・某(84・女)氏が政府果川庁舎駅乗り場に下車している間に、出入り口に足が挟まった状態で電車が出発したために、スクリーンドアに頭を打ち付けて起きた。 この事故を捜査中の警察は、当時安全信号手職員がドアに挟まった乗客を目撃して、出発を遅らせるよう信号を送ったが、乗務員がこれを認識できなかったことが事故原因の一つだと見ている。 事故電車では代替人材として投入された韓国交通大の1年生が車掌業務を受け持っていた。

■コレイルの‘安全不感症’

 鉄道労組は16日に記者会見を行い、「コレイルが運行目標に合わせるために無理に代替人材を投じ、事故が発生した」と主張した。 電車乗務員は普通、車掌と呼ばれており、コレイルの内部規定によって△電車出入り口の取り扱い△旅客案内放送△列車監視および諸般業務△非常時運転取り扱いおよび安全関連措置などの任務を受け持つ。

 コレイル労使は昨年11月、列車乗務員教育時間を 「新規者は最小100時間、経歴者は最小50時間」で合意した経緯がある。 コレイル側は「100時間の教育をすることになっているのは正規職社員との合意であって、代替人材に対しては教育に関する規定がない。 電車乗務員は特別な資格や経歴は必要ない」として、今回の事故が代替人材投入とは関係ないという反応を見せた。

 だが、該当業務経歴者も50時間以上を受けるように定めた教育を、大学生に3日間にわたり8時間ずつ計24時間しか実施せずに現場に投じたことは過度な‘安全不感症’という批判を免れ難い。

 労組に‘国民の足’を担保にしてストライキをしていると非難するコレイル側が、逆に国民の安全を深刻に脅かす未熟練代替人材投入を強行している状況に対して専門家たちは憂慮する。 パク・ドゥヨン漢城(ハンソン)大教授(機械システム工学)は「鉄道は高度な専門担当者を必要とする代表的職種なのに、教育もまともに受けていない大学生が投入されたということは常識的にも納得できない。 警察の調査を見守ろうというコレイルの説明は安全不感症をそのままに表わしている」と指摘した。

 チェ・ウンチョル鉄道労組スポークスマンは「必須維持人員さえ守れば、乗客が列車を5分待つ状況が10分程度に延びる線で終えられる。 だが、業務処理が未熟な代替人材が大挙投入されたことで、現場で混乱がさらに加重されるだけで、国民の安全も脅かされている」と指摘した。

 韓国交通大が16日、学生たちの撤収をコレイルに公式通知した背景には、前日の事故のニュースが知らされた後に子供の安全を憂慮する父兄の嘆願が学校側に相次いだという事情もあることが分かった。

■代替人材 違法論難

 コレイル側が今回のストライキの不法性を予断して、ストライキ前から代替人材を外部機関に要請していた事実も明らかになった。 交通大関係者はこの日<ハンギョレ>との通話で 「ストライキ前からコレイル側からストライキが発生すれば学生たちを送ることを口頭で要請していた。 ストライキが始まった後、学生たちの志願を受け付けてコレイルに送ったし、志願者全員が行ったと見て良い」と話した。

 この内容は違法論議を避け難い。 昨年、雇用労働部は自動車部品業者SJM労組のストライキの時、会社側が50人の労働者の派遣を受けて代替人材として投じると、これを不法と判断した。 雇用部は会社側に「不法ストライキなのかが明確でない状態での代替人材投入は不法」とし、是正を命令した。(<ハンギョレ> 2012年8月14日付11面)会社が恣意的な判断をするなということだ。 民主労総金属労組法律院長であるソン・ヨンソプ弁護士は「ストライキの不法性有無をあらかじめ予断して、代替人材を要請する行為は違法である可能性がある」と話した。

 今回のストライキの不法性について、労使両側の争いがあるが、合法ストライキと認定される場合、代替人材投入行為はそれ自体で不法となる。 労働組合および労働関係調整法は、合法的な争議行為には代替人材の投入を禁止しているためだ。

 韓国交通大学生238人は17日からストライキ代替人材から抜け出ることになったが、鉄道現場には外部から急遽投入された1060人余りの労働者が依然として仕事をしている。 コレイルの集計によれば、代替人材は総計6008人に達するが、この内コレイル所属労働者が4710人だ。 残りは全て外部から臨時に来た人材だ。 各種協力業者から来た人材692人をはじめとして軍の人材154人、輸送協会95人などだ。(下グラフ参照) 去る14日、コレイルが最後に明らかにしたストライキ参加組合員が7926人であるので、この日までにストライキ参加者の75.8%を代替人材で埋めたわけだ。

イ・ジョングク記者、果川・儀旺(ウィワン)/パク・ギョンマン、ホン・ヨンドク記者 jglee@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/615672.html 韓国語原文入力:2013/12/17 09:10
訳J.S(2598字)

関連記事