内乱陰謀事件を捜査してきた検察が、イ・ソクキ(51)統合進歩党議員らを裁判に付したことにより検察と弁護団の法廷攻防が激しく繰り広げられる展望だ。 検察はすでに公開された録音記録の他に明確な追加証拠を出すことができず、裁判所で有罪判断を受けられるかは疑問という指摘も出ている。
■ 内乱陰謀 立証されるだろうか?
水原(スウォン)地検公安部(部長 チェ・テウォン)は起訴された人すべてに内乱陰謀容疑を適用した。 イ議員には内乱扇動容疑が追加された。 検察関係者は「イ議員が物質的・技術的に戦争を準備しろと指示し、以後の討論で国家基幹施設打撃に関する具体的な話が交わされた。 情勢認識、打撃施設に関する討論、命令時即刻実行指示、総攻撃言及などがある。 これが内乱陰謀にならないならば何が内乱陰謀か」と話した。
だが、検察はこれらの発言が‘実際の行為’につながる可能性を裏付ける証拠を提示できなかった。 検察関係者は「イ・サンホ水原社会的経済支援センター長が油類保存量・鉄道・通信施設など国家基幹施設に対する打撃のために玩具用銃器の殺傷用への改造、私製爆弾製造法の習得などを提案した。 イ氏は実際の破壊対象である‘韓国ガス公社’‘韓国電力’等を自身のiPad・スマートフォンを利用して検索し、他の組織員のコンピュータ ハードディスクからは‘ニトログリセリン’‘ドライアイス’等、爆弾製造と関連したファイルも発見された」と話した。 ところが単純に検索してみただけで内乱陰謀が立証されると見ることができるかは疑問だ。 ある法曹界要人は「録音記録に出てきた発言を巡る事前・事後の情況が必要だ。 それが不足するならば進歩党の主張どおり‘急進派が意見を出し、穏健派が制裁した。 討議に過ぎなかった’という論理が成立しうる。 だが、検察が戦略的に裁判で追加証拠を公開する可能性もあり見守る必要がある」と話した。
弁護団は 「‘金大中内乱陰謀事件’再審無罪判決文を見れば‘内乱陰謀罪が成立するには内乱の手段と方法・時期などが特定されなければならない’と提示している。 しかし録音記録のどこにもこれに該当する内容が特定されていない。 5月の集いで具体的に時期を定めて、誰がどんな方法でどこで暴動を起こすのかに対する議論が合意されたことも全くない」として、内乱陰謀罪は成立しないと主張している。
■ 組織・活動の持続性はあるか?
いわゆる‘ROという組織が実在するのかどうかも重要だ。 内乱の実行力を判断する照尺になりうるためだ。 ROが長期にわたり活動してきた組織ならば‘5月の集いの発言は一回性の発言’というイ議員側の主張が力を失うためだ。
検察はイ議員など‘RO’組織員が2003年8月イ議員の仮釈放出所を前後して新たな形態の地下革命組織を構想し、以後に主体思想で徹底的に意識化された人々だけを組織員として受け入れるなど密かに組織を運営してきたと見ている。 検察はこれらの組織員が金日成・金正日の著作など北韓の原典と北韓の映画を教材に主体思想を学習し、このような活動の延長線上で去る5月の集いが行われたと判断している。 検察は「5月の集いは偶然に起きたものではない。 相当期間にわたり対南革命論に従って秘密裏 且つ一糸不乱に動いていた組織が二度にわたって会合した席」と明らかにした。
だが、弁護団は「去る5月の集いの他には持続的な集いと活動は全く明らかになっていない」として、検察の主張に反論している。 弁護団は「5月の集いさえ、京畿道党委員長が役員らと協議して韓半島情勢と関連した講演と討論を行った一回性の集いだった。 イ議員は単に招請されて講演したに過ぎない」と主張した。
裁判過程でこのような争点が立証されないならば、国家情報院と検察が‘内乱陰謀’という無理な法適用で衝撃効果を狙った‘政治的捜査’を行ったという批判を避けられなくなりうる。
キム・ウォンチョル記者、水原/ホン・ヨンドク記者 wonchul@hani.co.kr