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北の核と南の原発、どちらがもっと危険でしょうか

登録:2013-06-14 18:20 修正:2013-06-15 07:09

 早く訪れた蒸し暑さが尋常ではありません。 街路樹まで子犬のように舌を長く出してあえいでいるようです。 相次ぐ原発の稼動中断とブラックアウトにたいする心配から、市民の体に感じる蒸し暑さは実際よりはるかに大きいようです。

試験成績書が偽造された不良品制御ケーブルを使って工事が進められた蔚山市(ウルサンシ)蔚州郡(ウルチュグン)西生面(ソセンミョン)新岩里に位置する新古里(シンゴリ)原子力発電所4号機の30日午後の姿。 原発から出た電力線は密陽(ミリャン)送電塔と接続される。 蔚山/キム・ミョンジン記者 littleprince@hani.co.kr

 一つこれだけは覚えておいて頂きたい。対話の目標はただ一つ、韓半島の平和です。開城(ケソン)工業団地、金剛山(クムガンサン)観光、離散家族再会、北の核など、解決しなければならない数多くの懸案が積まれていますが、そのてっぺんには韓半島平和の問題があります。 葛藤の中で生じた問題もあり、平和に進むための道程で出会う問題もあります。 障害物があるからとそこで中断するのでなく、時には跳び越えたり回り道をしたりもしなければなりません。 北の核の問題にだけしがみついていては、対話はうまく成り立ちません。北の核は南側にとっては致命的な脅威ですが、北側にとっては生存手段です。 生き残るために北が開放の代わりに選択したのが核兵器でした。 したがって北の生存問題と南北の共存問題そして韓半島平和定着の問題を解決する道程で、北の核は整理され得る事案です。

 ところで私が申し上げようとするのは北の核のことではありません。 もはや時限爆弾となって私たち国民に実質的かつ差し迫った危険となっている南側の核施設、原子力発電所に関することです。 北の核の問題にかじりついている間、私たちの内部の核に対しては真に無関心でした。 その結果、北の核よりもっと危険なのが私たちの原発だという話が出てくるようになりました。 もちろん北の核から目をそらそうというのではありません。 政府は先週、原子力発電所の不正に対する対策を打ち出しました。 今年に入って2度目で、昨年から数えれば5度目です。 これほどならば、もはや政府には対策がないと公表する方がましでしょう。 いくら対策を立てても事故は起こるのですから、これ以上何を言うことが出来ましょう。

キム・ジョンウン

 北の場合、核に対する統制権をキム・ジョンウン労働党第1秘書が握っています。 核兵器は使った瞬間、相手はもちろん自らも壊滅するということをよく知っているので、北側首脳部は管理および統制に万全を期さないわけにはいきません。 体制を守るための手段が自分たちを破壊するように放っておくわけにはいかないでしょう。 だから不正や非理など人為的な要素、自然災害など偶然的な要素によって事故が起こる可能性は少ないのです。 その反面、私たちの原発は1年に5回も対策が発表されるほどです。 どんな対策を打ち出しても、事故に直結するような不正事件は続いています。 事実上、統制不能です。 統制下にある北の核兵器と、統制外にある南の原子力発電所。 市民は果たしてどちらがより危険だと考えるでしょうか?

 飛躍ではないかですって? でも、一つこれだけは見てみる必要があります。 お金の誘惑です。 増殖可能な機会さえ見れば駆け寄ってきて誘惑するのがお金であり、自分が死ぬ墓とは知らずにお金に突進するのが人間です。 ユン・チャンジュン氏のように性に狂った人もいますが、もっと致命的かつ普遍的なものはお金です。 記者生活をしながら何とも理解できないことがありました。 名誉とお金と権力など全てを持った人たちが、お金の誘惑についに勝てずに家を滅ぼし身を滅ぼす道を歩む姿でした。 一人や二人でもなく、ほんの数日前までそんなことはずっと繰り返されています。

 知ってのとおりイ・ミョンバク政府はノ・ムヒョン政権を、小金の誘惑にはまったチンピラ集団に作り上げるために血眼になっていました。 その過程で大統領の兄であるノ・ゴンピョン、大統領の右腕であるイ・クァンジェ、大統領の執事であり友人であるチョン・サンムン、ずいぶん大事にしていた後輩パク・チョンギュなど、有名な政界の実力者を捕らえました。 そのように捕まえて懲らしめたのをもう忘れたのか、背を向けるやいなや4大河川事業の伝導師チュ・プギル氏を皮切りに、イ・ミョンバク前大統領の右腕、左腕、頭、脚、そのほとんどがお金の誘惑に負けてぞろぞろ監獄に引っ張られて行きました。 大統領の兄であるイ・サンドク、大統領のメントであるチェ・シジュン、親友チョン・シニルなど元老グループから、核心参謀キム・ヒジュンとパク・ヨンジュンなど大統領の腹心と言われる人たちがその後に続きました。 キム氏は大統領執務室を守っていた最高実力者であったし、パク氏はソウル市長時代からMBの側近中の実力者でした。 それ以前も同じでした。 数千億ウォン台のお金を着服したチョン・ドゥファン、ノ・テウ氏を処断したキム・ヨンサム前大統領は小統領と呼ばれた次男キム・ヒョンチョル、大統領の金庫番ホン・インギル氏が賄賂を受取って牢に入るのを見守らなければなりませんでした。 キム・デジュン前大統領も現職にある時、二人の息子とクォン・ノガプ氏が拘束されるのを見ていなければなりませんでした。 参与政府の実力者もそのようにして引っ張られて行きましたし。 まったく分からないことです。

 お金というのは一人静かに食い逃げすることができるものではありません。 必ず請託が入ってきて、不正な取り引きが後に続きます。 只ということはありません。 概して“黒い金”は取り引きされる規模に国民が受ける苦痛も比例しますが、例外があります。 原子力発電所の不正がそれです。 規模は小さくても、それによる結果は国家と国民に致命傷を与える可能性があります。 昨年古里(コリ)原発1号機は非常発電機が故障し、故障したままで核燃料を交換していたわけですが、その状態の古里原発1号機で問題が起こったと考えてみて下さい。古里原発から釜山市庁までの距離が25km、梁山(ヤンサン)23km、蔚山(ウルサン)市庁24kmです。 きのうの日曜日65万人余りが集まったという海雲台(ヘウンデ)までは21kmです。 福島原発爆発当時、半径30kmの地域に待避令が下りました。 現在釜山には350万人、蔚山(ウルサン)には110万人余りの市民が生活しています。事故がおきた場合どうなるか、全く見当が付きません。 去る10年間に交換した部品が十数万件に達します。 その間処罰を受けながらも懲りもせず金を受け取ってやってきたのですから、その数多くの部品をどうして信じることができましょう。 私たちの原発は、それこそいつ爆発するか分からない爆弾です。 さらにぞっとさせられるのは、それらの部品がどこに嵌められているのかも分からないということです。 統制できないということでしょう。

 政府が非寛容の原則を明らかにしました。 ささいな不正も厳罰に処するというのです。しかし今までも、そういうことを言わなかっただけであって、不正があらわれれば厳罰に処してきました。 それでも不正は発生し続け、原発の故障も続いたし、政府の対策発表も繰り返されました。 非寛容、建設と運営の分離、最高価落札制を導入したからといって不正が解消されるわけではないと見る理由です。 糞があれば蝿がたかり、米粒がこぼれていればネズミが集まり、お金があるところには不正と非理が溜まります。 原発に対する根本対策は原発をなくしていくことしかありません。 原発はあまりにも危険なものです。 費用もまた途方もありません。 代案がないわけではないのです。 今はお金がもっとかかっても、無限の再生可能エネルギー資源を開発しなければなりません。 当座は費用が少なくて済むからと言って、雷管が外れた核爆弾のすぐ傍で暮らすわけにはいきません。 北の核に対するのと同じくらいに、私たちの原発に対しても根本的な対策と意志を持って接近して下さい。 北の核の危険性が原発の危険性の陰になってしまうかもしれないほどの状況なのです。

クァク・ビョンチャン大記者 chankb@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/591176.html 韓国語原文入力:2013/06/10 15:13
訳A.K(3564字)

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