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70~80年代‘希望都市’亀尾(クミ)、一日おきに相次ぐ‘事故都市’転落

登録:2013-03-07 23:45 修正:2013-03-08 07:18
7日午前、爆発事故が起きた慶北(キョンブク)亀尾市(クミシ)呉太洞(オテドン)の韓国鉱油貯油所で警察が破損した屋外貯蔵タンクを調べている。 ニューシス

 "人々が不安で外に出て行くことを避けている。 住民たちが集まれば不安だという話をよくする。 今まで事故が多かったが、自分たちだけが知らずにいたのではないかと疑う人々もいる。"

 7日貯油所の貯蔵タンクが爆発し黒煙が立ち昇った慶北(キョンブク)亀尾(クミ)市で会った市民キム・テヒョン(30・自営業)氏の話だ。 ‘まるで時限爆弾を抱いて暮らしているようだ’ということがこの頃の亀尾市民が打ち明ける心情だ。 パク・ジョンウク(55・山東面(サンドンミョン)林川里(イムチョンニ))氏は「頻繁な事故で都市イメージが悪くなって栽培した収穫物が外部に売れるかも心配」と話した。

 亀尾で昨年9月大きな被害を出した亀尾国家産業4団地(株)ヒューブグローバル工場のフッ酸(フッ化水素酸)漏出事故以後も有害化学物質漏出など事故が絶えないためだ。 今月に入り一日おきに一件ずつ大小の事故が続いた。

 一時我が国の輸出産業前進基地の役割をして全国から仕事を求めて人々が集まってきた亀尾が‘事故都市’という汚名を被る危機に直面した。

 30~40年前、亀尾は働き口があふれる希望の都市だった。 朴正熙前大統領が1969年故郷の亀尾に1000万㎡を越える亀尾工業団地(現在の亀尾国家産業団地1団地)を作り、東アジア最高の電子産業団地を形成した時、都市は活気が漲っていた。 1981年国家産業団地2団地(227万㎡)に続き、3団地(508万㎡),4団地(678万㎡)ができ、現在は5団地を造成中だ。

 亀尾地域全体の産業団地面積は3400万㎡を上回り、入居業者だけで1700個所余り、ここに勤める労働者は9万人に達する。 昨年の輸出実績345億ドルで貿易収支黒字286億ドルを記録した。 亀尾はこの間わが国の経済メーカーに成長し、1990年代まで「仕事場を見つけるなら亀尾に行け」という話と共に全国から若者たちが亀尾に集まった。

 だが、産業化時代が圧縮成長する中で産業団地面積と入居業者数が数倍に大きくなったが、それに相応しい産業安全網構築は遅れをとったという指摘を免れない。 1991年斗山電子亀尾工場でフェノールが洛東江(ナクトンガン)に流れ込み市民を衝撃に陥れた事故で環境・安全意識は高まったものの、これを後押しできなかったということだ。

 亀尾工業団地は当初1973年韓国東芝(現㈱KEC)が1号企業として入居し、電子・繊維業種を中心に造成された。 引き続き80~90年代にはコンピュータ・半導体・ディスプレイ業種の企業等が入り規模が大きくなり、関連部品納品業者が布陣して有害化学物質を扱う石油化学などの企業等も大挙して増えた。 現在は電機電子業者394ヶ所に次ぎ石油化学業者も143ヶ所ある。 有害化学物質を年1t以上扱う従業員30人以上の企業だけで亀尾産業団地に99ヶ所が入居して京畿道(キョンギド)安山(アンサン)の265ヶ所に次いで二番目に多い。

 しかし、有害物質事業場を点検して取り締まる安全網の構築はおろそかにされた。 李明博政府が2009年2月、政府の公務員機構縮小を掲げて大邱(テグ)地方環境庁亀尾出張所を14年ぶりに廃止したのが端的な例だ。 この時、全国環境出張所6ヶ所が消えた。 このために去る5日(株)欧尾ケミカルで塩素ガスが漏れ出た時も大邱に事務室を置く大邱地方環境庁職員が事故から2時間過ぎて工場周辺で塩素測定をした。 亀尾市民は「塩素が空気中にみな飛んで行った後に測定をしてどうするのか」として非難した。 昨年9月ヒューブグローバルフッ酸事故の時も1時間20分が過ぎてから大邱環境庁職員が現場に到着した。

 実際、亀尾市では9級公務員1人が有毒物質事業場136ヶ所をほとんど一人で管理しなければならない状態だ。 キム・ドンジン亀尾市水質係長は「環境部署の職員が取り締まり業務だけしているのではなく、猪退治に山へも行かなければならず、山火事を消しに行くこともあり、仕事に追われてくたくたに疲れている」と打ち明けた。

 地方自治体側の安全無関心も見逃せない。 民選団体長は地域経済活性化を名分に有毒物質事業場でも誘致する側に神経を使った。 フッ酸漏出事故を起こしたヒューブグローバルが入居した亀尾4団地は当初は先端業種産業だけを誘致することになっていた。 だが、1997年に経済危機が迫った後。亀尾市の建議を受け入れた政府が業種制限を緩和し有害業種が入居し始めたということだ。

 作業現場の安全不感症は以前の水準に留まっている。 5日、塩素が漏れ出た1団地亀尾ケミカルでも作業者が送風機の点検をせず、保護服など安全装備もまともに備えていなかった。 フッ酸・硝酸・酢酸の混合液流出事故が起きた2団地(株)LGシルトロンは16時間以上にわたり漏出事故を当局に申告せず住民たちの疑いを大きくした。 20年余り、亀尾で市民運動をしてきた亀尾経実連のチョ・クンネ事務局長は「有毒物質を扱う企業らがほとんど10~20人規模の小企業が多く、経費節減のために安全分野に人材を配置しない点も事故の原因」と話した。

 昨年、亀尾フッ酸事故の時、民官合同調査委員として活動した有毒物質専門家ハン・グァンヨン博士は 「今回の機会に政府が格別の対策を出さなければ事故は続く恐れがある。 取り締まり業務を遂行する環境部にだけ任せておかず、すべての関連部署が懸命に代案を出さなければならない」と指摘した。

亀尾/ク・デソン、キム・イルウ記者、キム・ジョンス先任記者 sunnyk@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/577063.html 韓国語原文入力:2013/03/07 22:09
訳J.S(2688字)

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