セヌリ党と朴槿恵(パク・クネ)大統領候補が投票時間延長に反対する本当の理由が何か、わからない人はまずいないだろう。過去の選挙の経験に照らしてみると、投票率が上がるほど朴候補に不利になるという心配のためだ。事情がそうであるから投票時間延長に反対する理屈も貧弱なことこの上ない。朴候補は数日前、「100億ウォン程度の予算がいるのに、それだけの価値があるのかという問題がある」「投票日を公休日に指定している国は(韓国)1ヶ所しかない」として投票時間延長に反対の意を明確にした。
まず、経費が惜しくて投票率を高める対策をとれないという発想は実にあきれる。朴代表の理屈に従えば天文学的費用がかかる大統領選挙の代わりに、自分の父親の時代のように体育館で大統領を選ぶ方がはるかに効率的だ。朴候補については民主主義的な素養が不足しているという話が絶えずついて回るのもまさにこのような認識のためだ。その上、朴候補が引用した中央選管委の‘100億ウォン予算増加’発表をめぐっては、計算法自体が間違っているという指摘もされている。百歩譲って仮に100億ウォンが追加でかかるとしても国民の参政権拡大のためにそれ位の費用は惜しくないというのが常識なのに、朴候補は金の話ばかりだ。
投票日が公休日という主張も厳密に言えば間違いだ。大統領令の規定により公務員たちには投票日が公休日の効力を持つが、一般企業では団体協約で投票日が休業日になっていなければ正常出勤しなければならない。去る19代国会議員選挙日に正常勤務した会社員が全体の半数に達しており、840万人余りの非正規職労働者中の64%が投票時間のために投票権行使ができないという調査結果もある。朴候補の公休日うんぬんは一般民衆の生活の現実を全く知らないか、知っていながら知らぬふりをしているように見える。
我が国の投票率は経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均水準にもはるかに及ばない。だんだんと低調になってきている投票率は、民主主義の価値を損ねて代表性の危機を招いている。したがって投票率を高める問題は党派的な利害関係を離れて、政界が共に知恵を絞らなければならない事柄だ。3年前に親朴系の議員が‘24時間投票法案’を発議したのもこのような認識からであったろう。
選挙で投票率が高まることを恐れる政党は卑怯だ。選挙で民意が忠実に反映されることを心配する政党が、国の未来を語って、政治発展を口にすることからしてナンセンスだ。セヌリ党と朴候補は胸に手をおいて考えてみることを望む。