原文入力:2011-01-16午後04:52:34(2277字)
‘貧しい国’ブータン、幸福指数では米・英・独 を凌ぐ
国家幸福指数 順位 OECD 30ヶ国中 韓国は25位
ファン・ボヨン記者
[創刊22周年企画大論争] 韓国社会 未来を語る 3部 政策を語る-経済
②何のための成長か‘4万7186ドル対1933ドル’
去る2008年を基準とした米国とブータンの1人当り国内総生産(GDP)規模だ。米国の1人当り国内総生産はヒマラヤ辺境の小さな仏教国家 ブータンに比べ24倍程も多い。しかし両国の自殺率(人口10万人当たり自殺者数)比較では正反対の結果が出る。米国自殺率は10.1人(2005年基準)であるが、ブータンは5人(2006年基準)に止まる。米国で自殺する人々の数がブータンに比べて2倍ほど多いわけだ。両国の中で国民が幸せな国は果たしてどちらであろうか。
■ GDPでなく‘生活の質’で未来設計
‘貧しいけれど幸せな国’として良く知られたブータンは早い時期に国家指標として‘国民総幸福指数’(GNH)を採択した国だ。隣国たちが速い速度で国内総生産規模を増やしている間にこの国は心理的ウェルビーイングと健康、生態系保護などを重視してきた。 例えば国土の60%を占める森を保護するために外国人観光客の入国を毎年数千名台に制限するほどだ。ブータンは去る2006年英国レスター大学のエイドリアン ホワイト教授が作成した‘世界幸福地図’で米国と英国、ドイツなどを抜き10位圏内に入った。
各国国民の生活水準を評価する代表的尺度である国内総生産に対する懐疑論はすでに1970年代以後に出てき始めた。ある国の経済主導者が創り出した付加価値の合計を意味する国内総生産が俎上に上がったのは、国内総生産規模と国民の幸福度間の乖離が大きくなったためだ。1974年に米国の経済学者リチャード イストリンは米国の1人当り国民所得が去る数十年間に増えたが、国民の幸福水準はむしろ低下したという主張を展開し注目された。一例として年間勤労時間が増えれば国内総生産規模は大きくなるが、国民幸福道は大きく下落しうる。国内総生産が正確に反映できない問題も少なくない。交通渋滞が深刻になれば環境汚染などの問題を起こすが、国内総生産統計には反映されないわけだ。
こういう背景で国民幸福度と生活の質水準を測定する代案指標開発の試みは各所で行われてきた。国連開発計画(UNDP)が毎年発表する人間開発指数(HDI)が代表的だ。ノルウェーとオーストラリア、アイスランドなどが上位圏を占めてきたこの指標は元気な長寿(期待寿命),知識(教育機会など),適正な人生の水準などを定規に測定する。また、英国、ロンドンに本部を置く‘新経済財団’(NEF)が発表する幸福指数(HPI)は主観的生活満足度、期待余命、生態痕跡(エネルギー消費量など)等を中心に作られた代案指標であり、この調査では先進国らが概して中下位圏に留まる。この他にも個別国家次元ではカナダの幸福指数(CIW)等が国内総生産の限界を克服しようとする試みとして挙げられる。
■高速成長に垂れこめる陰、韓国の自画像
それでは韓国人の生活の質水準はどうだろうか。昨年、韓国保健社会研究院が経済協力開発機構(OECD)とヨーロッパ連合の‘ウェルビーイングと社会進歩測定’ワークショップで提案された‘国家幸福指数’(NIW)を土台に各国の幸福水準を測定した結果を見れば、我が国は経済協力開発機構会員国30ヶ国中で25位に留まった。経済的資源、自立、公平性、健康、社会的連帯、環境、主観的生活満足度など7個の範疇を総合した韓国の点数は0.475点で、1位を占めたスイス(0.747点),ルクセンブルグ(0.745点),ノルウェー(0.736点)等とは格差が大きかった。特に児童貧困率、ジニ係数、性別賃金格差などの指標を見る公平性(27位)部門での点数が低く、生活満足度(26位)と社会的連帯(26位、自殺率・犯罪被害率など)等でも低調だった。
実際、企画財政部が昨年出した‘2010年国家競争力報告書’を見れば、速い経済成長で先進国と経済的格差を減らしたものの国民生活の質と直結した社会福祉などでは最下位水準であることが分かった。2007~2009年 韓国の平均経済成長率は2.5%で経済協力開発機構会員国の中で3位だったことに加え、経済協力開発機構会員国平均(0.4%)をはるかに上回った。反面、韓国は国内総生産対比社会福祉支出比重が7.5%(2007年基準)で29位に終わった。経済協力開発機構会員国平均は19.8%に達する。年平均勤労時間は2255.8時間(2009年)で経済協力開発機構会員国の中で最も長く、自殺率も人口10万人当たり28.4人(2009年)で最も高い。これらの指標は我が国に国民生活の質を下げる要因が多いという傍証として見ることができる。
イ・ジョンウ慶北大教授(経済学)は「国民の生活の質水準で見れば、我が国は‘ストレス大量生産国’と言っても過言ではない」とし「政府が成長至上主義的政策方向を乗り越え劣悪な福祉分野などに対する投資をさらに拡大する必要がある」と強調した。
ファン・ボヨン記者 whynot@hani.co.kr
原文: 訳J.S