本文に移動

「私のような者を産んで」…北朝鮮の母親を心配する、捕虜となった若者の本音

登録:2026-09-29 01:03 修正:2026-09-29 07:33
ウクライナ軍に捕らえられた北朝鮮軍の捕虜、リさんとペクさん=MBC「PD手帳」より//ハンギョレ新聞社

 ロシア軍に派兵され、戦場でウクライナ軍に捕らえられた北朝鮮軍の2人の捕虜が韓国に非公開で入国したことについて、保守野党「国民の力」が強く非難する中、過去の韓国メディアによる捕虜へのインタビューが改めて注目を浴びている。彼らは韓国行きを切実に夢見ながらも、自身のせいで北朝鮮に残された家族の安否を心配している様子だった。

 文化放送(MBC)の番組「PD手帳」は今年1月27日、「ロシア・ウクライナ戦争と北朝鮮軍」編を放送し、捕虜たちのインタビューを公開した。それぞれ「リ・ガンウン」と「ペク・ピョンガン」という仮の名でカメラの前に立った彼らは、幼さの残る顔で慎重に口を開いた。インタビューは、紛争地域を専門とするプロデューサーのキム・ヨンミさんが昨年10月にウクライナでおこなったもの。ウクライナ軍に捕らえられてから10カ月ほどが過ぎた頃だ。

■「(韓国に)連れて行ってくれなければ死ぬしかない」

 腕とあごに銃創を負ったリさんは「私は最初から(韓国へ)行くと言っていた」と語り、韓国行きの意向を示している。リさんは「行けたらいいんだけど、行きたいけど行けない気持ちを…」、「(韓国に)行って見てみたいけど、見たい気持ちは強いんだけど、どこかが行かせてくれないと行けませんよね」と語っている。そして「連れて行ってくれればありがたいし、連れて行ってくれなければ仕方がない」として、「連れて行ってくれなければ死ぬしかないですよ」と語っている。

ウクライナ軍に捕らえられた北朝鮮軍兵士、リさん=MBC「PD手帳」より//ハンギョレ新聞社

 インタビュー時、リさんは韓国ではなく北朝鮮へ送還されることを恐れていた。リさんは「北朝鮮のニュースで北朝鮮軍の戦争への派兵のことが明らかにされたのか」と尋ねつつ、「もし明らかにされたのなら、(北朝鮮に)帰される日は遠くないだろう。送還される日が近づいているのは明らか」だとして、「(北朝鮮に送還されるのが)すごく心配だった。寝ていても、その心配のせいで目が覚めてしまうことが多い」と語っている。

 ウクライナ軍によるドローン攻撃で脚を負傷したペクさんも、「韓国へ行かなければならないということは、もう確固たるものになった」としつつも、「行きたいという気持ちは固いが、かといって、行きたいからといって行けるわけでもない」と語っている。ペクさんは「考えがこんなに固まっているのだから、私の気持ちを理解して助けてくれたら(と思う)」と述べている

ウクライナ軍に捕らえられた北朝鮮軍兵士、ペクさん=MBC「PD手帳」より//ハンギョレ新聞社

 2人は北朝鮮に残された家族のことを心配していた。1月20日に公開されたPD手帳のインタビューで、リさんは「今、母が生きているのかもわからない。私のせいで何か起きていないか」、「私のような者を産んでしまって。捕虜になったら逆賊と同じだ。国を裏切ったも同然だ」と語っている。

■戦場に行ったことすら知らない両親

 入隊以来、両親の顔を見ていないというペクさんは、自分が戦争に行ったことさえ両親は知らないと語っている。ペクさんは「私のせいで親に悪い影響が及んだら、それこそ親不孝」、「潔く死んだ方がましだと思う」と述べた。さらに、「同じ人間なのに、死にたいと思う人間がどこにいるか、命をそんなに軽く考える人間がどこにいるか」、「打つ手がないから、袋小路でそれを選ぶのだ」と語っている。

ウクライナ軍に捕らえられた北朝鮮軍兵士、ペクさんによる、脱北者たちからの手紙への返事=MBC「PD手帳」より//ハンギョレ新聞社

 「国民の力」は、非公開で捕虜が入国したことを問題視している。 李在明(イ・ジェミョン)大統領は24日にX(旧ツイッター)に「支持率の挽回に明らかに役立つ北朝鮮の捕虜の国内送還を公開しようという内部の主張がなかったはずがない。しかし、公開によって生じる様々な問題を考えると非公開があらゆる面で妥当であったし、そのように合意した」と投稿。

 これに対し国民の力のチョン・ジョムシク院内代表は25日、フェイスブックで「非公開に執着したのはなぜか。金正恩(キム・ジョンウン)の機嫌を損ねるのがそんなにも怖かったのか。『対北朝鮮送金事件』の弱点のせいか」と述べた。これに対し、与党「共に民主党」のパク・ソンジュン首席報道担当は27日、「帰順(亡命)者の安全と北朝鮮に残された家族の安全、また朝鮮半島情勢に及ぶ影響を考慮して非公開で合意したものだが、国民の力は陰謀論を広めている」と反論した。

ソン・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1279725.html韓国語原文入力:2026-09-28 11:17
訳D.K

関連記事