李在明(イ・ジェミョン)大統領の支持率は、歴代大統領と比較してもそれほど悪くありません。6月26日に発表された韓国ギャラップの定例調査結果によると、李大統領の任期1年目の第4四半期における職務に対する支持率は63%で、不支持率(28%)よりもはるかに高くあらわれました。歴代大統領の任期1年目の第4四半期における職務に対する支持率は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が68%で最高でした。李在明大統領の63%は金大中(キム・デジュン)大統領(63%)と同水準で、金泳三(キム・ヨンサム)大統領(59%)よりも高い数値です。
問題は最近の傾向です。6月3日の統一地方選挙後の6月第2週には支持57%、不支持35%だったのが、第4週には支持51%、不支持41%へと急速に悪化しました。支持率は就任以来最も低い水準となりました。不支持が40%台となったのも初めてです。政党支持率は、与党「共に民主党」41%、野党第一党「国民の力」27%で、2週間前と大きな変化はありませんでした(以下、中央選挙世論調査審議委員会のウェブサイトを参照)。
李大統領の支持率は、なぜ突然低下しているのでしょうか。ジャーナリストのキム・オジュン氏やユ・シミン元長官らは、いわゆる「コア(中核)支持層」が離反しているためだと主張しています。ところが、そうは思えません。世論調査の内容を詳しく分析しても、そのような兆候は見当たりません。
韓国ギャラップの6月第2週における中道層の大統領職務支持率は60%、不支持率は29%でした。ところが、第4週には支持51%、不支持41%に変わりました。コア支持層ではなく、中道層が急速に離反しているのです。その理由は何でしょうか。
第一に、選挙での敗北です。
6月の統一地方選挙は全国的には民主党が勝利しましたが、勝利が予想されていたソウル市長選挙、京畿道平沢(ピョンテク)乙の再選挙、釜山(プサン)北甲の補欠選挙で落選し、「事実上の敗北」という結論に至りました。選挙結果は、客観的な数値よりも有権者の心理的な評価の方が重要です。
もともと、大きな選挙で与党が負けると、大統領の支持率は急落するものです。2024年4月の総選挙で当時与党の「国民の力」が惨敗した後、4月第3週の韓国ギャラップ調査では、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の職務に対する支持は23%、不支持は68%で支持率が急速に悪化しました。3週間前は支持34%、不支持58%でした。政党支持率は民主党31%、国民の力30%で拮抗していました。
第二に、傲慢さです。
選挙の翌日、チョン・チョンレ代表は「全国的に大きな勝利をもたらしてくださった国民の皆様に深く感謝する」と述べ、民意とはかけ離れた認識を示しました。李大統領は「国民が私、あるいはこの政権に送った警告」としながらも、統一地方選挙における最大の悪材料だった公訴取り下げについては言及しませんでした。むしろ「与党は器にならなければならない」と民主党を叱責しました。有権者が腹を立てるのも無理はありません。
第三に、分裂です。
地方選挙のかなり前から、チョン・チョンレ代表を嫌う人々が、文在寅(ムン・ジェイン)元大統領、キム・オジュン氏、ユ・シミン元長官を露骨に非難していました。選挙が終わると、キム・オジュン氏とユ・シミン元長官が李大統領を直接攻撃し、反撃に出ました。キム・ミンソク首相とソン・ヨンギル元代表、親李在明派の議員たちは再反撃に出ました。与党全体が二分化され、ますます激しく争う様相を呈しています。蔑称や罵詈雑言が飛び交っています。中道層が離反するのも無理はありません。
最近起きている与党内部の対立を、マスコミは「明チョン大戦」と呼んでいます。李在明大統領とチョン・チョンレ前代表、つまり現在の権力と未来の権力の闘争としてとらえているのです。そのような側面がないわけではありませんが、正確ではありません。李大統領はチョン前代表と争っているのではなく、牽制しているに過ぎません。チョン前代表が後ろ盾だと信じている強硬派の党員を恐れているのでしょう。チョン前代表も李大統領を直接攻撃したりはしません。むしろ、自分が真の「親明派」であることを強調しています。李大統領を恐れているのでしょう。
最近の与党内部の対立の本質は、キム・ミンソク首相、チョン・チョンレ前代表、ソン・ヨンギル元代表の3人による次期大統領争いです。民主党には「代表にならなければ次期大統領にはなれない」という「学習効果」があります。文大統領もそうでしたし、李大統領もそうでした。二人とも、代表になるべきではないと周りから引き止められたにもかかわらず、それを振り切って代表になり、そのおかげで大統領になりました。キム・ミンソク、チョン・チョンレ、ソン・ヨンギルの3人が代表の座を狙うのは当然のことです。
しかし、有権者がこの3人を果たして次期大統領候補とみなしているかは疑問です。韓国ギャラップの6月第2週の「将来の大統領候補」自由記述式調査では、キム首相は5%、チョン前代表とソン元代表はそれぞれ1%でした。オ・セフン・ソウル市長(9%)、ハン・ドンフン議員(8%)、チョ・グク前祖国革新党代表(7%)よりも低い数値でした。チョン前代表とソン元代表は、国民の力のチャン・ドンヒョク代表(3%)、カン・フンシク大統領秘書室長(2%)よりも低い結果でした。
「民主党代表にならなければ大統領にはなれない」という「学習効果」も、実は間違ったものです。歴代の共に民主党代表のうち、チュ・ミエ、イ・ヘチャン、イ・ナギョン、ソン・ヨンギルの4人は大統領にはなれませんでした。民主党代表と次期大統領の間には、因果関係はほとんどありません。
いずれにせよ、8月17日の民主党党員大会で、キム・ミンソク、チョン・チョンレ、ソン・ヨンギルの3人のうち1人が代表になるでしょう。民主党代表の選出は、予備選挙を経て3人に絞り込み、本選挙を行います。代議員と権利党員の70%、国民世論調査の30%で選出されます。過半数の得票者がいない場合は決選投票を行います。
キム首相には、李大統領と息が合うという強みがあります。チョン前代表は、党員からの支持が強みです。ソン元代表は、湖南(全羅道地域)出身であるという強みがあります。
韓国ギャラップの6月第4週の調査で、民主党代表候補の支持率を尋ねました。キム首相が26%、チョン前代表が19%、ソン元代表が13%でした。民主党支持層では、キム首相が45%、チョン前代表が24%、ソン元代表が15%でした。
李大統領と息が合うキム首相がリードしている流れです。ですが、支持層と党員の意向は異なる可能性があります。誰が代表になるかは、現時点では分かりません。
今から8月17日の党員大会まで、一体何が起こるのでしょうか。キム首相とチョン前代表、そして両者を支持する民主党の一部議員たちは、最近、検事の補完捜査権の廃止と立法時期をめぐり、低レベルな口論を繰り広げています。国民への被害防止策を講じる考えはなく、この問題を予備選の燃料として利用しようとするつもりなのです。
3人の争いにおいて、路線や政策はあまり見えてきません。例えば、20~30代の不安や資産・所得の二極化をどう克服するかという解決策を提示し、激しく論争すべきところですが、3人ともあまり関心がないようです。このような状況では、相手を非難するネガティブ・キャンペーンを繰り広げるしかありません。
キム首相には、2002年の大統領選挙を前に、盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補ではなくチョン・モンジュン候補を支持した前歴があります。その件で「キム・ミンセ(セは韓国語で鳥を意味し、渡り鳥のように移りまわることを皮肉った言葉)」というあだ名をつけられました。チョン前代表は「盧サモ(盧武鉉を愛する人々の会)」出身ですが、盧大統領の任期末にチョン・ドンヨン候補を支持しました。親盧武鉉派の中には、チョン前代表を裏切り者とみなす人々もいます。ソン元代表は、2021年の民主党全党大会で現金入りの封筒をばらまいた容疑で拘束されたことがあります。裁判所は録音ファイルの証拠能力を認めず無罪を言い渡しましたが、お金をばらまいたというイメージは残っています。
もしこの3人と支持者たちが、今後も互いの弱点を執拗に攻撃するネガティブ・キャンペーンを繰り広げたらどうなるでしょうか。李大統領の支持率と民主党の支持率は共に低下するでしょう。誰が代表になっても回復は難しいでしょう。「コンベンション効果」のようなものは期待できません。国民の力でチャン・ドンヒョク代表が退き、保守再建が始まれば、李大統領と民主党は現在よりも大きな危機に直面する可能性があります。
どうすればよいのでしょうか。それは李大統領次第です。李大統領の就任以降、支持率が着実に上昇したのは、包容と統合、中道拡大路線のおかげです。人事や経済、外交・安保政策において中道実用主義を貫いてきたからです。
2024年の総選挙の党内予備選挙で脱落したパク・ヨンジン元議員を規制合理化委員会の副委員長に抜擢しました。大統領選の党内予備選挙候補だったキム・ギョンス元慶尚南道知事を地方時代委員会の委員長に抜擢しました。うまい人事です。
尹政権の一員だったソン・ミリョン農林畜産食品部長官を留任させ、クォン・オウル元議員を国家報勲部長官に任命しました。イ・ソギョン元法制処長を国民統合委員会委員長に、キム・ソンシク元議員を国民経済諮問会議副議長に抜擢しました。適切な人事です。
ユ・シミン元長官は、李在明大統領が中道拡大に対する過剰な自信を持っていると指摘しました。チェ・ドンソク人事革新処長などの人事を批判しました。チェ・ドンソク人事革新処長、ファン・ギョイク文化観光研究院長、イ・ヘフン企画予算処長官候補者、イン・ヨハン大韓赤十字社会長などはうまくない人事です。人選を見誤ったからです。だからといって李大統領の包容と統合、中道拡大路線が間違っているわけではありません。
李大統領がすべきことは、このようなことです。民主党が提出した特検法から、公訴取消権限を特検に与える内容は、ひとまず削除すべきです。包容と統合の人事に拍車をかけなければなりません。政治を立て直し、野党と対話すべきです。そうしてこそ、大統領の支持率も上がり、民主党の支持率も上がるでしょう。そうしてこそ、民主党の総選挙での勝利と政権継承の可能性も高まるでしょう。皆さんはどうお考えですか。